投稿 基地強化の現状を知り・地元とつながり・止めよう

―沖縄・西日本で進む軍事強化―
尾形 淳/「南西諸島への自衛隊配備に反対する大阪の会」会員

 2月22日、鹿児島市で「戦争止めよう!沖縄・西日本ネットワーク」の結成集会が、17都府県の30団体、300人、オンライン参加者200人で開催された。
 結成総会の前に各地区報告がなされ、「大分敷戸ミサイル弾薬庫問題を考える市民の会」の池田俊宏さんが、沖縄・西日本で進むミサイル配備、弾薬庫建設、日米軍事訓練の状況と各地の反対運動について報告した。

馬毛島全体が巨大な軍事施設に

 「馬毛島への米軍施設に反対する市民団体連絡会」の長野広美さんは、「防衛省は鑑定評価額が45億円の馬毛島を160億円で買った。基地建設費用も当初予算を大幅に上回る、1兆円を超えると言われている」「大金をつぎ込むことで、自衛隊と米軍が自由に使える軍事基地を早急に完成させようとしている」と述べ、馬毛島基地の概要について説明した。2450メートルの主滑走路、1830メートルの横風用の滑走路、米軍の巨大空母を係留できる施設等の建設である。そして、最後に「島の環境破壊を無視する環境省と、工事現場への立ち入りを国会議員にも認めていない」ことへの怒りの声を上げ、報告を締めくくった。

軍事色に染まる奄美群島

 「戦争のための自衛隊配備に反対する奄美ネット」の城村典文さんは、「2019年3月に陸自奄美駐屯地と瀬戸内分屯地が開設され、地対艦、地対空ミサイルが配備された。瀬戸内町主催で市中パレードが行われ、小銃を携行した隊員とミサイル搭載車両が市街地を行進。奄美駐屯地の開設記念行事には、2800人の島民が招待された。島内では迷彩色を見る機会が多くなっている」と、まず島の現況について語った。
 そして、「昨年の日米合同の軍事訓練(キーン・ソード25)では徳之島で離島奪還訓練が行われ、陸自水陸機動団、米海兵隊が参加した。陸自第一空挺団の降下訓練、米軍と自衛隊のオスプレイによる兵員輸送訓練も行われた。沖永良部島では離島奪還の日米合同訓練が2月27日から、サンゴ礁のある海岸で行われる」と日米合同軍事訓練の状況を報告した。

住民を無視のさつま町の弾薬庫建設計画

 「さつま町の弾薬庫問題を考える会」の武さとみさんは、「2023年12月、突然、地元の新聞にさつま町に弾薬庫建設という記事が載りました。さつま町は2018年以来何度も防衛省に防衛施設誘致請願書を提出していたのですが、住民にはほとんど知らされてこなかったのです。2021年4月の町議会選挙の際にも、弾薬庫問題を話題にした議員や候補は一人もいなかったです」と怒りを露わにした。

【結成総会】 
基調提案「知り、つながり、止める」

 「ノーモア沖縄戦・えひめの会」の高井弘之さんは、「石垣・宮古・沖縄・奄美と連なるミサイル基地群は中国封じ込めのためのもの。日本が参戦しなければ、米国は対中戦争ができない。日本を中国包囲網から抜けさせることが、東アジアでの戦争を阻止し、平和を実現させる道だ」とする基調提案を行った。
 「ピースリンク広島」の新田秀樹さんがネットワーク結成の提案をおこなった。「知り・つながり・止める」を合言葉に、互いの状況を共有し、共同の闘いを実現するための「緩やかなネットワーク」ということである。
最後に共同代表と運営委員を承認し、結成宣言を確認して、結成集会を終えた。

種子島訪問記
軍事基地建設一色の種子島


 結成集会翌日の23日、私と会の仲間は種子島を訪問した。馬毛島基地反対闘争を担っている人たちから、漁船で馬毛島に上陸できるとの連絡を受けていたからである。
 私たちが種子島に滞在した2月23日も24日も波が高く、残念ながら船を出してもらうことはできなかったのだが、収穫が多い種子島訪問であった。
 船が西之表港に近づくと、東方に馬毛島が見える。工事のため、全島茶色に染まっている。島の西岸沿いに少し緑色が見える。島にわずかに残る入会地である。2年ぶりに訪問した私を驚かせたのは、基地建設一色に染まる島の姿だった(「かけはし」23年6月26日号参照)。
 西之表港は大小の工事用の艦艇で埋まっていた。テトラポットを満載した大型トラックや、工事車両を載せた大型の運搬船も10艘や20艘ではきかない。その他、支柱を2本立てた工事用の船、作業員を運搬する漁船等、数えきれない位の船舶が係留されている。
 岸壁に隣接する作業場では、型枠にコンクリートを詰めてテトラポットを制作中である。広い駐車場は全国からやってきた工事関係者の車で埋まっている。

馬毛島上陸を断念し、スタンディング

 23日は波が高く船を出せなかったのだが、24日は前日よりも風が強く、一層高い。船の出港の最終判断を午後三時にすることにし、西之表市の市会議員で住民訴訟原告団会長の和田かおりさんたちと、ショッピングモール前で横断幕を掲げてスタンディングをする。強風に横断幕が煽られ、みんな馬毛島への上陸は無理かなと思い出す。
 スタンディングの後、集落の奥深くまで建設されている工事関連施設や自衛隊の官舎の建築現場を見て回る。至る所に作業員用のコンテナ宿舎やコンテナホテルが設置されている。現在の作業員の数は馬毛島3000人、種子島2000人、最盛期には合計で6000人になるという。日当3万円、月給100万円と言われている。
 自衛隊員の官舎は西之表市、中種子町、南種子町の3か所に建設中である。最終的に6~700人の自衛隊員と家族が住むことになる。3か所に分かれているのは、種子島の1市2町での選挙対策と、住民税等の平等な利益配分のためではとささやかれている。
 何千とも、それ以上ともとれる数のテトラポットが見渡す限り並べられた作業場もある。道路沿いには淡い紅色の花を咲かせた満開の緋寒桜、より濃い紅色の花の河津桜が所々で群れを成して咲き、私たちを楽しませてくれる。
 途中、馬毛島を望見できる展望台に立ち寄る。風は強いが、今日は晴れ、馬毛島までは12、3キロ。茶一色の馬毛島から砂埃が高く舞い上がっているのが見える。展望台の下の海では波が岩礁に砕けて高く舞い上がり、あるいは防波堤を越えている。
 私たちはこの光景を見て、馬毛島上陸することを最終的に断念した。

全国の仲間たちが参加してネットワークを結成(2.22/鹿児島)

馬毛島基地建設反対をアピールする仲間たち(2.23種子島)

基地建設のためのテトラポット(2.23種子島)

週刊かけはし

購読料
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009  新時代社