投書:新聞の使命は、国に2度と戦争をさせないこと
文京区で、東京新聞の菅沼堅吾さんの講演会
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第195回市民憲法講座が、7月26日の土曜日に、18:30~20:30ごろにかけて、文京区民センター3C室でおこなわれた。テーマは「東京新聞はなぜ、空気を読まないのか~戦後80年、『新しい戦前』を『新しい戦中』にしないために」で、お話は菅沼堅吾(すがぬま・けんご)さん(東京新聞前社長・元編集局長)だ。主催は「許すな!憲法改悪・市民連絡会」だ。参加者は、50人ぐらいということだった。
以下はメモとレジュメにもとづいて作成した。
新聞の役割は何か
菅沼さんの話は、こうだ。〈1955年生まれ。伊豆の国市(いずのくにし)出身。早稲田大学を卒業して東京新聞に入社した。「筆洗」(東京新聞のコラム。朝日新聞の「天声人語」のようなもの)を3年間書いていた。主に政治部と社会部で育った。編集局長を6年間やった。
2003年3月にイラク戦争がおこった。小泉政権のころだ。イラク戦争は、国連安保理の承認がなしにおこなわれた。日本は支持するのか・しないのかが論争になった。小泉は支持した。イラクに自衛隊を送った。自衛隊のいるところが非戦闘地域だ。小泉はそう言った。迷言だ。「未来は後方にあり」。アンデス・ケチュア族の言葉だ。過去に何があったかを検証していくことが大事だ。新聞読者の投票率は8割を超す。
新聞発行部数は20
13年に4699万部だったのが、2023年には2859万部になった。新聞の発行部数は、読売550万部、朝日330万部、日経120万部、毎日130万部、東京35万部前後、産経80万部だ。
ドラマなどでは、編集局の「上」は「悪者」扱いですが、そんなことはありません。ネット上にニュースがあふれている中で、新聞の役割は何か。新聞の使命や存在価値は何か。権力を監視し、本当のことを伝え、警鐘をならす。権力監視の4文字が新聞の使命だ。さらに使命を深堀すると、かけがえのない命を守ること、国に2度と戦争をさせないことだ。
何で新聞社が権力監視を使命としているのか。「大本営発表」をたれながし、戦争に加担した。過ちを2度と繰り返さない。さきの大戦の反省と教訓だ。これが、新聞の第1の起点だ。
東京新聞の創刊(1942年10月1日)の辞は「国家総力戦の重要なる一兵器たらん」というものだった。憲法が予定していた報道機関の存在。国家権力の監視で最も高い憲法的価値。東京新聞の第 2の起点は、3・11だ。「大本営発表」を再び垂れ流すのか!と批判された。こんどは「戦争」ではなく「原発安全神話」に加担した反省と教訓だ。人の命と安全は経済性に優先する。「脱原発」の旗をかかげる。
3・11世代(3・11を経験した世代)の責任について考えた。東京新聞も、原発安全神話に加担したことは間違いない。脱原発をはっきりうちだそうということになった。2011年の8月6日・朝刊に「原発に頼らない国へ」という論説(記事)を1面に掲げた。
3・11世代の編集意思その1。自分たちの力で本当のことを伝える努力をしよう。「へ」と「か」と「も」はやめろ。権力にとりこまれていく、それをなくすには官僚や政治家の手の中で踊らないことが大事だ。政治記者は、国民(民衆)から送り込まれた内部告発者にならなければならない。
3・11世代の編集意思その2。国民主権(主権在民)の新聞をつくる。新聞は、戦前戦中も迫害・弾圧された。言論機関として肝に銘じていることは、言いたいことは権利で、言わねばならないことは義務だということだ。義務の履行には多くの場合、犠牲を伴う。「抵抗の新聞人」桐生悠々の言葉だ。
新聞は、記事と見出しと写真で読者に伝えるものだ。見出しは、8文字が基本だ。論点明示報道が、東京新聞流ジャーナリズムだ。防衛費といういい方はやめた方がいい。軍事費に統一した方がいい。ジャーナリズムは、昔も今も「まやかしの言葉」とのたたかいだ。
安倍政権下で、日本は原発回帰し「戦える国」に変質した。安保法制成立(2015年9月19日)が「新しい戦前」の始まりではないか。特定秘密保護法は、新聞記者の仕事(民衆の知る権利に奉仕)をボウガイするものだ。10年後、戦後80年「戦える国」の現在地。軍事化が進めば、力の強いものが勝つ社会、軍人がいばる社会になっていく。暴君たちの先・先制攻撃の世界。「やられる前にやる」。オバマ時代に2正面作戦を放棄。1正面作戦(対中国)に。台湾有事、北朝鮮リスク。日本は戦えるのか。軍事一辺倒こそリスク。目指そう「不戦100年」。2010年1月10日・朝刊の社説だ。
過去に目を閉ざす者は現在にも盲目になる。ワイツゼッカー(リヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー)氏の言葉だ。SNSの時代の危うさ。今や誰もが「大本営」になっている。毎日ウソをチェックしないと選挙期間中だけでは間に合わない。4人に1人が期日前投票に行ったことがわかっている。ネット動画のアルゴリズム。自分の好きな情報がはいってくる。ニセ情報、誤情報の行きつく先は戦争だ。安保法制。20~30代は、反対が70%(69・7%)(2014年8月)。シニアに支えられているのが自民・立民だ。
質疑応答
質疑応答では何人かから質問や意見が出た。その中の1人がつぎのような質問をした。
①「東京新聞をふくむマスコミの天皇制に対する屈服をどう考えるか。天皇制と軍部が一体化したのが戦争中の社会ではないか。反天皇制抜きの反戦はありえるのか。東京新聞をふくむマスコミは、天皇制とたたかうことが出来るように、自己を変革することが出来るのか」。
②「神奈川新聞の記者が参政党の会見から排除された。東京新聞をふくむマスコミは、意見の違いを超えて、神奈川新聞への連帯と参政党に対する抗議をおこなうべきではないか」。
はじめの質問に対する回答はとても満足出来るようなものではなかったような気がする。
いろんな面で良心的な報道をおこなっているのは(神奈川に住んでいるものからすれば)朝日新聞・毎日新聞・東京新聞・神奈川新聞で、反戦・平和や原発その他の問題で1番がんばっているのが東京新聞で、差別・排外主義批判の問題で1番がんばっているのは神奈川新聞ではないか。
ただし、テレビはほとんどダメ、天皇制の問題では新聞も全部ダメ、全部失格ではないか。そういう印象をもっている。マスコミがこんご、良い方向に変わることが出来るのか、それとも悪い方向に進むのか、それは私たちみんなの問題だ。
後、(1)「ワイツゼッカーの言葉」は、大変すばらしいものであると思うが、視覚障がい者からしたらどうなんだろうかと思う。(2)国民という言葉は、好きではない。国民は非国民とセットの言葉で、「外国人」差別を内包しているのではないか。私はそう思っている。
「客観主義」をこえる報道が必要だ。
(2025年11月4日)
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