11・22 脱原発政策実現全国ネットワーク関西 福井ブロック関西集会

核燃料再処理を拒否する

加藤登紀子さんがトークと詩の朗読

 【大阪】脱原発政策実現全国ネットワーク関西 福井ブロック主催(共催:大阪平和人権センター、原発反対福井県民会議、協賛:しないさせない!戦争協力関西ネットワーク)の関西集会が11月22日、おおさかドーンセンターで開かれた。
 浅石紘爾さん(核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団代表)が「私たちが再処理を拒否する理由」として青森から報告、山崎誠さん(民主党衆議院議員)が「六ヶ所再処理工場問題での国会論議」を報告した。また、プルトニウムが発見された1943年生まれの加藤登紀子さんが、核の時代80年の歴史のトークと詩の朗読、そして「百万本のバラ」、オノ・ヨーコに会った時の話と「イマジン」を披露した。以下は浅石さんと山崎さんの報告の要旨である。

浅石紘爾さん(核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団代表)の報告

六ヶ所が選ばれた訳


 六ヶ所村は下北半島の付け根にある。1984年当時の電事連会長の小林関電社長は、「六ヶ所村は核燃が進出しなければ開けるところではない。いい地点が本土にも残っていた」といった。電事連が立地要請をし、翌年の1985年六ヶ所村が受託し、県知事は「この事業を断れば青森県は永久に救われない」と発言。以降、核燃白紙撤回闘争は続くが、電力業界・政府・青森県3者の利害が合致し、六ヶ所村が政治的適地として選ばれた。

28回の延期も必至


 工事は1993年に着工、1999年に竣工を予定していたが、27回の延期をくり返し、26年度末の竣工を目指すが、28回目の延期は必至。ガラス固化体の失敗で、アクティブ試験が中止している。実質上破綻している計画を続ける真の目的は、原発の延命と核兵器保持にある。
 これまでに、使用済み燃料プールの漏水、高レベル廃液漏れ、電源喪失、配管を支える埋込金具の施工不良など200件を超える事故が起きている。
 22年には、冷却水の仕切弁が閉止されたため、8時間にわたって高レベル廃液の冷却が停止し、蒸発乾固寸前に陥った。

配管1300km


 原発は放射性物質を閉じ込めるための5重の壁が作られているが、六ヶ所の再処理工場は、容器・配管と建屋の2つしかない。主要器機が1万基、これらをつなぐ配管は1300キロメートルに及ぶ。事故が起きたとき、その進展は緩やかだが、臨界事故は急速に進む。
 臨界発生箇所は無数にある。事故ではあちこちで水素が発生し、常時換気を要する。再処理施設は貯蔵放射性物質は原発に比べ格段に大量で、その事故被害は、原発と比べても格段に大きい。

これ以上Puを増やすな!


 再処理の目的は、使用済み核燃料からPu(プルトニウム)を取り出し、それをMOXに加工し、高速増殖炉(FBR)の燃料にすること。
 ところが、FBRの開発が頓挫したため、その実用化までのつなぎとしてプルサーマル計画が浮上した。現在プルサーマルの稼働許可を得ている原発は玄海3号・伊方3号・高浜3,4の4基である。
 しかし本来原発はウランを燃料としており、ウランにプルトニウムを混ぜた燃料は経済性と安全性に欠ける、即時中止すべきだ。六ヶ所再処理工場でこれ以上プルトニウム(年間6・6トン)をつくっても、使い道がない。

中間貯蔵は永久貯蔵に


 政府は第7次エネルギー基本計画により、新世代革新炉を導入する計画である。福井県知事はもんじゅで培った技術を活用し、周辺地域を高速炉研究の中核拠点にと意欲を示している。六ヶ所再処理工場の頓挫(六ヶ所の使用済み燃料プールは満杯に近い)により、再処理までの1次保管として、原発敷地内の中間貯蔵が推進されているが、それは永久貯蔵になる恐れがある。

核燃裁判の争点:レッドセル


 核燃裁判の争点の1つはレッドセル(強度汚染区域)問題だ。六ヶ所再処理工場は既設であり、立ち入り検査も出来ず、修理も出来ない。工場着工当時の耐震設計は基準地震動375ガルで設定されていたが、現在は700ガルに引きあげられた。
 工場は、アクティブ試験によって工場の主工程である高レベル廃棄物関連建屋と内部の設備・機器や洞道などが高レベル放射性物質で強く汚染されていて、人がアクセス出来ないセルが多数あり、基準が要求する安全機能を保持できない事態が判明した。レッドセルが解決できないとどうなるか。規制委員会は、裁判では、詳細設計に属するから検査・修理は不要と主張しているが、検査・修理が不可欠と判断されれば、許可取消となるはずだ。

核燃裁判の争点:墜落事故の可能性


 裁判のもう1つの争点は、近くに米軍三沢基地・三沢対地射爆場があり、米軍の特別管制空域があり、事故多発地帯であることだ。被告側には、落下確率の過小評価がある。放射性物質が施設外に異常放出する重大事故に対する設備は極めて貧弱で、実効性がない。
 専門家による最大想定事故は、風向きが東北地方を縦断して東京方面に向かう場合、ガン死190万人(小出裕章さん)、国民の3050万人が死亡(西独原子炉安全研究所)と評価されている。ところが、国の対応は、基本的には原発へのテロ攻撃以外は考慮されていない。格納容器破壊なら急性死亡最大1万8000人、急性障害最大4万1000人だ。

平常時の放射能汚染


 さらにもうひとつの問題は、平常時の被爆の危険性だ。六ヶ所再処理工場は英・仏の技術を使って作られているから、英仏の再処理工場の周辺の深刻な放射能汚染は人ごとではない。再処理工場の場合、気体廃棄物は濃度規制があるが、液体廃棄物には規制がない。そのため、福島第1原発の汚染処理水の440倍のトリチウムが放出される。
 当初電事連の試算では、再処理の総事業費は40年間で11兆5800億円だったが、15兆6000億円に膨れ上がっている。これら増えた分はすべて電気料金に跳ね返る仕組みになっている。
 再処理が停まれば原発が停まる。原発が停まれば再処理が停まる。次世代に負の遺産(核のゴミ)を残さない。再処理の軍事利用を許さない。住民の命と暮らしを守ろう。

破綻寸前の六ケ所再処理工場を廃止へ


 国会での議論─以下は、衆議院経済産業委員会での山崎議員の質問(Q1は22年、あとは24年)と政府側回答の要約である。

Q1・内閣府の地震の想定がM9・0からM9・1になった。エネルギーでは1・4倍になる。
 原燃の「地震動評価はM9・0で実施」が、М9・1に変わっても揺れに耐えられる根拠は?

A・エネルギーが1・4倍になることは認識している。そのような地震が発生しても、既許可に影響を与えない。M9・1規模でも、既許可の評価で安全と判断した。

Q2・再処理工場はなぜ30年以上経っても運転再開できないのか。

A・直近の延期の主因は、新規制基準への適合性審査の対応。設備数が膨大で審査に時間がかかっている。

Q3・ガラス固化体は完成しているのか、検査は行われているのか。
A・(ガラス固化工程そのものの検査状況への明確な回答は確認できず)

Q4・事故のリスク評価はどうなっているのか。冷却機能喪失しても、蒸発乾固でとどまると説明されているが、その先の溶融・揮発・化学爆発まで想定すべきではないか。

A・再処理施設は原子炉のように高温ではない。重大事故は複数箇所で起こりうるが、対応の時間的余裕が大きい。放射性放出物量は福島原発事故の100分の1に抑えられる。

Q5・再処理を続けるべきか、それとも直接処分へ転換すべきか。長年成功していない技術に依存し続けるべきではない。

A・(規制側、経産省側から明確な「可能・不可能」の断言はなし)

 最後に山崎さんから、使用済み核燃料再処理問題議員連盟を立ち上げるとの表明があった。
    (T・T) 

浅石紘爾さん(左)と加藤登紀子さん(右)のトーク(11.12)

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