寄稿:日大三島ユニオン「ストライキ突入」
11月5日、テレビニュースで突然、日大三島高校でストライキ決行を予告する報道が流れた。今時ストライキなどという言葉は死語に近くなっていたが、その「ストライキ」を日大三島ユニオンの非常勤講師の先生たちが断行した。日大三島ユニオンは中・高校の非常勤の先生等が組織した組合で、男性2人、女性7人のようだ。日大三島にはそれ以外に大学の非常勤講師組合もある。
今回のストライキは半年前から学校当局と賃上げをめぐって交渉を続けていたが、当局の頑なな姿勢に組合員のささやかな要求さえも拒む当局の対応に怒りが爆発、ストに訴えざるを得ない状況に至ったようだ。学校法人のトップはあの有名な林真理子理事長。以前は日大のドンと呼ばれ、相撲部ОBからのし上がった田中英寿理事長であったが、不正・乱脈経営で失脚した。少しは経営改善、職員の待遇改善に向かっていたかと思われたがそうでもなかったのか?
ユニオンの訴え
日大三島ユニオンの訴えによると、今回の主な要求は15%のベースアップ。非常勤講師は私学共済への加入も認められておらず、健康保険、年金・雇用保険への加入もなく、非常勤講師の年収は200万円以下。賃金は過去20年間据え置かれたままで、このところの物価高騰、インフレが続き生活状態は貧窮し、もはや耐えられない状況に追い込まれているとのことだ。細切れの授業時間数だけの賃金、入試やテスト監督も、更には試験の採点等で時間を取られても一銭の見返りもない。補習授業も、部活動も手当なし。
その一方で学校法人が設置する県下の私立学校には、国や県から多額の私学助成金が支給されている。その趣旨は① 教育条件の維持・向上、そのため人件費補助、② 保護者の経済的負担の軽減、③ 学校経営の健全性の向上などだ。静岡県の今年度、私学助成金予算総額は約294億円、その内人件費や管理費等は172億円となっている。
県下の私立高校の総数は43校、私学助成金は概ね生徒数割で配分されが、日大は県下でも1、2を争うマンモス校で、年間8億円を超える私学助成金が支給されているはずだ。しかも、日大全体の財務資料によると合計84億円の収入超過になっているという。それにも関わらずわずかな賃上げを出し渋っている。教員の生活が困窮していてはまともな教育はできない。教育は国家設立の基本、私学も公教育の一環、その維持向上のために、教職員の生活維持と教育の質向上のために多額の助成金が支給されている。それを出し渋って、法人役員等が高額の報酬を受け取り、現場で教育を支える教員が生活に貧するようではろくな教育はできない。
日大三島ユニオンは非常勤講師の先生たち9人が数年前に結成した中学・高校部を中心とした組合で、大学の非常勤講師組合とも連携している。今回のスト通告は日本大文理学部及び日大三島高校で15分間の指名ストで、大学文理学部では11月25日15:55~16:10までの15分。
高校では12:15〜12:30の時間に5人がスト。13:15〜13:30に5人がストに入った。
正門前でスト突入集会
当日は12時から日大正門前を目指して県内各地から支援者がのぼり旗を立てておおよそ50人近くが集まった。静岡県評議長が音頭を取って参加者一人ずつから激励のあいさつを受け、最後にスト突入の組合員の決意表明があった。
第一陣でストに突入する組合員は5人全員が女性で、初めての経験で緊張している様子だった。ちょうど昼休み時間帯で校舎の塀沿いに物珍しそうに生徒たちが寄って来て「先生頑張んなよー!」と声援を送り、遠巻きにして校舎片隅で数人の学校当局者風の男が数人こちらの支援者の動きを監視していた。
60年近く前の、嘗ての日大闘争は学園当局による20億円の使途不明金が発覚し、高い授業料を払っていた学生たちに怒りが燃え広がり、大学紛争が巻き起こった。そうした動きが全国の大学に波及し全共闘運動として発展し、日本を揺るがす1968年から70年代を象徴する学生運動として拡がった。当時、日大相撲部はそうした学生運動を制圧する右翼学生の拠点で、日大前理事長の田中英寿は当時の相撲部員を率いて日大全共闘を学内から放逐した。その功績をうけ理事長の座にまでのし上がったといわれる。
今回、スト決行を実施した組合役員の面々は、スト破りや妨害工作に対しても相当な神経を使ったものと思われる。
激励に駆け付けたのぼり旗は、静岡県評、国労静岡、三島ふれあいユニオン、玉川学園労働組合、生協労連ユーコープ労働組合、日大三島ユニオン、金融ユニオン、静岡自治労連、静岡地区労連、東海大学教職員組合などが見られた。
今回のスト決行の指導的役割をしているとみられるのは、横浜地区労働組合協議会や首都圏大学非常勤講師組合、大学等教職員組合のようであった。
(森 大司)

ユニオンの仲間と「ストライキ突入集会」(11.5)

多くの仲間が激励に駆けつけた(11.5)
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