8.10平和の灯を!ヤスクニの闇へキャンドル行動
核武装論、核共有論の台頭
【東京】8月10日・日曜日に「平和の灯を!ヤスクニの闇へ 第20回キャンドル行動」が全水道会館の大会議室で13:30~18:30にかけておこなわれた。主催は「平和の灯を!ヤスクニの闇へキャンドル行動実行委員会」だ。
19:00からキャンドル・デモがおこなわれた。参加者は、約160人だった。
主催者あいさつは、今村嗣夫(つぐお)さんのビデオメッセージだ。日本国憲法前文をよみあげる。「日本国民は、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」。「(小説家稲垣眞美が法学セミナーの特集『私と天皇』で紹介した数例を読んだだけで)戦時下の不平不満を禁圧された民衆の胸の底に、本当はどんな思いがあったかはお判りいただけるだろう。まさに天皇制があるから民衆は思考を停止したのだ。最近のヤスクニ・システムの復活の動きは、国民に国家への所属感を味あわせる大衆操作ではないだろうか。日本国憲法前文に立ち返るキャンドル行動を、今日も、これからも、休まず続けてゆこう」。
「戦争と靖国」を分析
次は、シンポジウム『戦争する国と「ヤスクニ・システム」の復活』だ。4人のパネリストのうち、魯永基(ノ・ヨンギ)さん(韓国・朝鮮大学教授)のみが会場参加だ。
高橋哲哉さん(東京大学名誉教授)(別掲)、石原昌家さん(沖縄国際大学名誉教授、ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会共同代表)、魯永基さん、傅琪貽さん(台湾・台湾政治大学教授)が発言した。
遺族等証言では、韓国の李熙子(イ・ヒジャ)さんが発言した。次に、台湾のチワス・アリ(高金素梅)さんの「音と映像」が流れた。
特別アピールでは、川見公子さん(日本軍「慰安婦」問題解決全国行動)、梶野さん(国家・天皇による『慰霊・追悼』を許すな!8・15反「靖国」行動実行委員会)、山本直好さん(ノー!ハプサ)、上田慶司さん(長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会)が発言した。
韓国のソン・ビョンフィさんとイ・ジョンヨルさんらによるコンサートにうつった。
閉会あいさつは、徐勝(ソ・スン)さんだ。
その後、キャンドル・デモにうつり、右翼と警察の妨害の中でデモは貫徹された。
(資料を参考にした。「ですます調」を変更した。字数の問題と「SМの能力的な問題」で、ほとんどの人の発言等の中身を省略したことをおわびする)。
(SМ/2025年8月24日)
戦争する国と「ヤスクニ・システム」の復活
高橋哲哉さん(東京大学名誉教授)の提起
今年は情勢が一段と進んで、「ヤスクニ・システム」としての「戦争する国家」が紛れもなく現れつつある。これをどう阻止するか。
自衛隊と靖国神社の結びつきについては、新たに若干の事実が明らかになった。陸上自衛隊が「各種災害」や「武力攻撃事態」、「存立危機事態」の発生時に「隊員に万が一のことがあった時に備え」るためとして、「全葬連」(全国の葬祭業者らでつくる団体)と協定を結んだのも、まさに「有事」において多数の戦死者が出る事態を想定したものと考えるほかはない。
つい2か月前、イスラエルがイランを奇襲攻撃して成功したと見るや、即座にトランプはバンカーバスター爆弾でイランの核施設を攻撃し、「ならず者国家」ぶりを露わにした。「アメリカ・ファースト」とは、自国にとって得だと見た場合には軍事行動に訴えることも含んでのことなのだ。グリーンランドの領有についても軍事行動を辞さないなどと、帝国主義そのもののような脅迫をする始末だ。
とくに東アジアについては、中国を最強のライバルと見て、ヨーロッパや中東から軍を引くのは中国との対決に全力を注ぐためだという姿勢を崩していない。戦後の日中関係の基礎中の基礎は1972年の日中共同声明にある。4年前に安倍元首相が「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事である」と発言し、2年前に麻生元首相が「防衛力はもっているだけではだめで、いざとなったら台湾防衛のために使う。戦う覚悟が必要だ」などと発言して、日米両軍が沖縄・琉球諸島で共同作戦をおこなう準備を進めるなかで、そもそも、日本政府は日中共同声明で約束したことをどう考えているのか、この根本問題がじつは曖昧なままにされているのだ。
一般に、条約treatyには法的拘束力はあるが、声明statementには法的拘束力がなく、外交上の道義的拘束力しかない、とされている。他方で、1978年の日中平和友好条約(これは日本の国会で批准しており、法的拘束力を持つことは明らかだ)は「(日中)共同声明に示された諸原則が厳格に遵守されるべきことを確認」している。
また、日本の最高裁判所は、中国人強制連行広島訴訟判決(西松建設事件)で、日中共同声明は「平和条約としての実質を有するものと解すべき」であり、「国際法上の法規範性が認められることは明らか」としている。日本政府はこの点をどう説明するのか。
もうひとつ、今回提起しておきたいのは、核兵器の問題だ。ポジティブな展開もある一方で、現実政治では逆に核兵器が使われる可能性が近年になく高まっている。ロシアはウクライナ戦争で繰り返し核使用の脅しをかけているし、イスラエルの閣僚はガザに原爆を落とすのも選択肢だと言って核兵器保有について口を滑らせたし、トランプ大統領はイランの核施設を爆撃して『ヒロシマ、ナガサキと同じだ』と言い放った。核兵器の使用と核武装へのハードルが低くなっているように感じられるのは、東アジアでも同じだ。
つい先日、共同通信が2日続けて重要な報道をおこなった。日米両政府が有事を想定した机上演習を実施し、米軍が核兵器を使用するシナリオを議論してきたこと、さらに、昨年2月に実施した『台湾有事』の机上演習で、中国が核使用を示唆した際に、自衛隊が米軍に「核の脅し」で対抗するよう再三求めていたということだ。
つまり、日米両軍の最高幹部が状況によっては中国軍に対して『核の脅し』をかける可能性がある。『核の脅し』が有効であるためには実際に使うことがありうるという前提がなければならないから、核戦争も想定内だということだろう。ここまで来ているのだ。
核武装または核共有をめぐる議論も活発になっている。6月2日、日本政府と自衛隊の元高官たちが、日本の非核3原則(核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず)を見直して、アメリカの核を共有する『核共有』(nuclear sharing)の提言を発表した。
また、先日の参議院選挙では、「核武装が最も安上がりな安全保障」と主張する候補が東京選挙区で66万票を得て当選した。韓国では、在韓米軍が今後どうなるかの議論とも絡んで、北朝鮮の核に対する抑止力として、核武装肯定論が高まっていると聞く。世論調査では6・7割が賛同しているとの報道にも接した。
鄭成長(チョン・ソンジャン)氏の著書『なぜ我々(韓国)は核保有国にならなければいけないのか』の日本語訳も、昨年、『日韓同時核武装の衝撃』という邦訳名(ビジネス社)で出版された。こうした日本や韓国での核武装論、核共有論の台頭に対して、核兵器禁止の論理をより強力に押し出していくにはどうすればよいか。もはや待ったなしの状況だ。

キャンドル行動(8.10/写真は編集委)
週刊かけはし
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009 新時代社


