「判決」「統一教会解散」
コラム「架橋」
3月末、東京地裁は、宗教法人法に基づき世界平和統一家庭連合(旧・統一教会)に対して解散を命じた。そして解散理由としてあげたのは「高額の献金集めなど例のない膨大な規模の被害を生じさせたうえ、同時に途切れることなく続いており、著しく公共の福祉を害することが明らかだと判断した」。一般に言われる「霊感商法」という献金方法が社会的問題の核心として上げられたのである。教団は、「原理集団」という活動家集団を中核とする部隊を中心に、2023年までに1559人から204億円を無理矢理に集めたと述べられている。この数字は捜査段階で警察に駆け込んだ人数とその人たちが主張している被害額に過ぎない。もしかしたら、1960年代から試算すると百倍しても足らないかもしれない。「解散命令」は、会社や法人という制度を利用して集めた財産を違法な活動に用いられないようにするためであるが、同時に法人格を失えば財産は清算されるし、税制上の優遇もなくなると力説されている。
しかし法人がなくなっても宗教が禁止されるわけではなく、宗教団体として継続されるし、ひとつひとつの信者の宗教行為は規制も禁止もされないのだ。ここにザル法たる由縁がある。教団は一応判決に抗議しているが、「原理の活動家」たちは明日も今までと同様に胸を張って活動するだろう。教団は結局のところ、右翼集団なのである。教団はあらゆる理由をつけて、人々の財産を奪い取ろうとするだろうし、自民党などの権力者たちはこれを利用するために必死になって動くであろう。
問われているのは、左からの反撃であり、人々の闘いに他ならない。この東京地裁の判
決に対して、最も統一教会と結びつき、利用してきた自民党は、3月28日の衆議院予算委
員会で石破自民党総裁が「国側の主張がおおむね認められた」のだと評価し、「もし教団と結びついていることが明らかになった場合は、党として厳しく対応する」と述べた。安倍晋三が「教団を賛美する」ビデオをつくり、岸信介は文鮮明と教団の出発から関係を続けてきた。自民党が教団をバックアップし、教団が選挙の票と人を保障する関係は50年をはるかに超えて続いている。この構造を打ち破る闘いが問われている。 (武)

