CОP30の失敗とオルタ・グローバリゼーション運動の再結集

グローバル採掘主義の攻勢に抵抗する越境的同盟
ペドロ・ラミロ、モーリーン・セラヤ・パレデス

  はじめに

 11月10日から22日までブラジル北部ベレンで開催された国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は、焦点だった気候基金、気候変動への適応、脱化石燃料への公正な移行について、「金持ちのグローバルノース諸国が発展途上国を生贄にし、重要な問題に関する進展を阻止する諸決定」(国際環境運動団体「FOE(地球の友)」の声明)を行って閉会した。まさに「金持ち国によるハイジャック」(同声明)だった。その一方で、開催地のブラジルおよび南米を中心に先住民族団体や環境運動など多くの団体が各地からベレンに結集し、近年、結集点を失ってきたグローバルな社会運動の再生に向けた大きな一歩を踏み出した。以下は「EL SALTO」誌に掲載されたペドロ・ラミロ(「ラテンアメリカ多国籍企業研究所(OMAL)」)とモーリーン・セラヤ・パレデス(エコロジスト・イン・アクション)による現地レポート。原文(スペイン語)は11月16日付。「インターナショナル・ビューポイント」誌同18日付)に掲載された英語版から訳出した。英語版の原題は「Social movements and COP 30: transnational alliances against the global extractivist offensive(社会運動とCOP30―グローバル採掘主義に抵抗する国境を越えた同盟)」。小見出しは訳者による。

対照的な公式サミットと民衆サミット

 ベレンでは空約束が繰り返される一方で、多様な社会運動、先住民運動、環境運動がさまざまな集会スぺースで採掘主義に反対し、クライメート・ジャスティス(公正な気候変動対策)を進めるために行動を起こしています。
 昨日(11月10日)開幕した公式サミットでは、2週間にわたり各国代表団が緩和策、資金調達、公正な移行のための仕組みについて進展が可能かどうかを議論します。他方では、ラテンアメリカを中心に世界各地から集まった組織や社会運動団体が、この期間中にさまざまなフォーラムや集会を開催し、グローバルな採掘企業の攻勢に対抗するインターナショナリストたちの同盟を再活性化しようとしています。
 現実には公式サミットに多くのことは期待できません。あまりにも長い期間、COPは世界の主要人物たちが顔見世する儀式となってきましたが、今回は中国、米国、インド、ロシアなど排出量が最も多い国々の首脳も欠席します。そこでは新しいメカニズムを進める厳粛な宣言と覚書が発表されるでしょうが、サミットの幕が下りたときにはそれらを現実に実行するための実効的なスケジュールや予算は不明確なままでしょう。ブラジルの大統領は「私たちはサミットをイデオロギー的な商品のフリーマーケットにしたくはない。私たちは非常に真剣な議論と、実際に実行される決定を望んでいる」と述べ、グリーンウォッシュ(みせかけの環境対策)とビジネス・アズ・ユージュアル(いつも通りの仕事)を使い分けるようなサミットでは効果が上がらないという認識を示しました。
 一方、非公式のさまざまなイベントには希望の復活の兆しを見出すことができます。COP30と並行して、あるいは公式サミットに反対して、多くの先住民、環境、労働組合、フェミニスト、反資本主義の組織や運動がベレンに集まり、戦略を再考し、闘争と抵抗のプロセスを強化するための国際的な運動体を再活性化するための交流を深めました。世界社会フォーラムの経験から学び、多くの進歩的政府が陥った矛盾の克服を目指す中で、目標とされたのは社会のつながりを再建し、いつも国家に対して要求するだけの運動を超えて、その先を見通したコミュニティの自己組織化のプロセスを推進することです。

「アマゾンの声を世界は聞くべきだ」

 民衆サミットは30年にわたって、国連が主催する気候サミットの枠組みの中で開催されてきました。最近の3回のCOP会議(エジプト、UAE、アゼルバイジャン)で抗議の権利の行使が犯罪化され、政府に批判的な活動家や団体が弾圧されてきた後ということもあり、COP30期間中の民衆フォーラムには多くの社会運動組織の関心が戻っています。ベレン民衆フォーラムには世界中から千五百以上の組織の代表が一つの目的のもとに結集します。「社会環境的な課題、家父長制反対、反資本主義、反植民地主義、反人種差別、そして人権にかかわる課題など共通の課題についての民衆的な行動と結集を強化する」(「民衆フォーラムの宣言」)という目的です。
 民衆サミットは明日(12日)始まり、五千人を乗せた二百隻以上の船で川沿いに会場に向かう船上デモが予定されています。民衆サミットの参加者たちは、この海洋キャラバンを通じて、「この[アマゾンの]土地強奪モデルを永続化させるCOPの決定に対する抗議の声を全世界の海洋に響かせる」ために力を合わせます。この企画のスポークスパーソンの一人が述べているように、「アマゾンの水は世界が聞くべき声を運びます。それは命、土地、気候を守る人々の声です」。
 民衆サミットの中で4日間にわたって行われる数十の講演会、ワークショップ、集会の結集点として、15日に大規模なデモが行われ、ブラジル以外の多くの国でも地域ごとの行動が計画されています。16日には民衆サミットの要求がCOPの全体会議に提出されます。

社会運動は進歩的政府とどう関わるべきかをめぐる論争

 民衆フォーラムはCOP30に関連して活動家や社会運動団体を結集する最大のイベントとなるでしょう。そこではさまざまな運動と進歩的政府の関係性が大きなテーマとして議論されるでしょう。たとえば3週間前に、国営企業ペトロブラスはアマゾン川の河口から約五百キロのところにある深海での石油採掘について、ルラ政権からの承認を得ました。今回のCOPのために、アマゾン保護の重要性を印象付ける何千枚ものカラフルな広告ポスターが飾られているこの街で、お決まりのグリーン資本主義のレトリックと、一次産品輸出依存からの転換という緊急の課題とのギャップが改めて白日に晒されるでしょう。
 民衆フォーラムだけがブラジル政府の支援を受けていないイベントではありません。8―11日に「第2回ラテンアメリカ・カリブ地域エコ社会主義者会議」が開催され、非常に多様な国々から二百人の草の根活動家が集まりました。そこでは土地強奪に対する闘争の経験を共有しながら、社会学的・生態学的危機に立ち向かうインターナショナリストの共同戦線を強化する戦略が議論されました。7―12日には「第4回ダム被害者国際会議」が開催されました。これは大規模発電所や電力会社に対する地域コミュニティでの30年以上にわたる闘争の国際的な連携の成果です。

「グリーンな軍事資本主義」の無慈悲な犠牲を拒否し、共闘を拡大

 11月9日には「採掘主義に反対する人々の連合」の初めての国際会議が開催されました。これは気候緊急事態と、キャピタロセン(*1)やグリーンウォッシュの政策によって生み出された極端な不平等に囚われた惑星の上で、採掘主義モデルに反対するさまざまな抵抗の声を結集するために企画されたイベントです。この連合は収奪に立ち向かい、命と土地を脅かすシステムの根本的な変革にコミットする運動、地域コミュニティ、さまざまな組織を結びつけ、連携させることを目指しています。

*訳注:アントロポセン(人新世)と対比して、資本主義が地球環境の大きな変化を引き起こしていることを強調する用語。仮訳として「資本新世」という用語が使われることもある。
 この国際的ネットワークは主にラテンアメリカとヨーロッパの経験を統合していますが、アフリカ大陸にも活動範囲を広げています。この連合は草の根の運動、先住民、アフリカからの移民の子孫、農民、そしてさまざまな大衆的社会組織で構成されています。それぞれの組織はそれぞれ異なる戦線で、同じ敵と闘っています。つまり、共有材の過剰搾取を永続化させ、商品生産のフロンティアを自分たちが「非生産的」と見なす領域へと拡大しようとする採掘主義モデルです。それは鉱山や石油採掘だけでなく、モノカルチャー、アグリビジネス、バイオ燃料や巨大エネルギー事業・プロジェクトも含めて、依存モデルを強化し、周辺的経済地域における一次産品の輸出による収益を得ようとしています。
 このネットワークにとって採掘主義は単なる経済的手法ではなく、自由・民主主義の下での権力の組織化の一形態であり、地域コミュニティの生活条件を支配する仕組みでもあります。この資本主義的蓄積の新たな段階では、地域の人々とその土地の収奪が強行され、それらの地域は無慈悲に「犠牲になった地域」に変わり果ててしまい、それが今ではエネルギー転換の名の下に正当化されています。
 「グリーンな軍事資本主義」となったEU、米国、中国が資本主義中心部の経済における代謝を維持するために不可欠な鉱物の支配権をめぐって競合しています。不可欠な原材料へのアクセスを確保するための競争――それはエコ社会的な移行にとっていかなる進歩も意味しません――の中で、鉱業は現在、最も暴力的な採掘主義の表現となっており、軍事化、強制移住、人種差別、抵抗の犯罪扱い、さらには共有地を守る人々の殺害さえ伴っています。

エクアドル・パナマ・ペルーで闘いが始まっている

 「採掘主義に反対する人々の連合」は、居住地や生態系の保護が新植民地主義的な採掘主義の攻勢に対する闘いと一体であると主張しています。このインターナショナリズムは、まず、この数カ月間に令状なしの拘束やコミュニティの軍事化、環境運動・社会運動のリーダーたちへの司法を通じた弾圧などの国家による弾圧が激化しているエクアドル、パナマ、ペルーの人々への支援と、そうした弾圧への非難から行動を開始します。同時に、採掘のフロンティアの拡大に直面している中で、この運動は下からのオルタナティブの確立を基礎としています。
 土地を守るための抵抗運動は水、土地、居住地域、そしてそこに住む人々を防衛する運動として組織され、さまざまな闘争や要求として表現されています。エクアドルではアマゾンのコミュニティが石油プロジェクトを中止させ、パナマでは民衆運動が数週間にわたる行動によって鉱山の採掘許可を阻止することに成功しました。ペルーでは農民のパトロール隊が共有財の防衛を継続しています。このような行動は、抵抗の権利を採掘主義の形をとった新植民地主義に対する共通の行動原理として復活させています。
 地球と地球上のコミュニティは、採掘ブームを助長している政府の善意を待ち続けることはできません。土地の喪失、軍事化、企業の免責に直面する中で、このインターナショナリストのネットワークは土地を生命体として、一層強力に防衛することを目指しています。なぜなら土地は資源ではなく、コミュニティの生活とそこに生息する自然の物質的基盤であり、先住民にとっては人生の精神的基盤でもあるからです。私たちは環境および社会における公正の支柱として、抵抗と自衛と自己決定の権利を保障されています。そしてコミュニティを基盤としたオルタナティブ、たとえば草の根の組織が進めてきた連帯経済、住民自治、フェミニストやアグロエコロジーの視点からのネットワークなどの多くの実践も不可欠です。
 支配に抵抗する越境的なネットワークの強化は、企業の権力に立ち向かい、尊厳ある生活とクライメート・ジャスティスが実現される未来に向かって進むためのカギです。「採掘主義に反対する人々の連合」が議論の中で繰り返し主張していたように、私たちの土地は売り物ではなく、守られるべきものです。

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