エコロジー:第2回ラテンアメリカ・カリブ海エコ社会主義者会議宣言

資源略奪主義との共同の闘いを

もう一つの政治のやり方へ

 11月8日から11日の4日間、COP30の開催地ブラジル・ベレンで、第2回ラテンアメリカ・カリブ海エコ社会主義者会議が開かれ、99の組織と350名以上が参加した。参加者の中には、先住民族やアフリカ系伝統共同体の人々が含まれていた。この会議は、2024年5月、アルゼンチンのブエノスアイレスで開かれた第1回会議に続いて開催されたものである。最終日に採択された宣言を紹介する。なお小見出しは編集部でつけた。

 「われわれは自分たちの土地を売らない。なぜなら、それはわれわれの母のようなものだからだ。われわれのテリトリーは自分の身体である。そして、われわれは自分の身体を売らないのだ。われわれは決して母を売らない。われわれは絶対に売らない。なぜなら、それは神聖なものだからだ」。
 「そして、われわれは侵略の圧力、鉱産物採掘や大きく拡大した農業ビジネスやわがテリトリーで森林を切り倒している木材伐採企業からの圧力に苦しみ始めている。だから、われわれは抵抗し続けているのだ」。
―オーリセリア・アラピウン(ブラジル・アマゾン先住民組織(COIAB)コーディネーター)
(訳注:COIABは1989年に創立されたアマゾン先住民の連合組織で、160の先住民族を代表する75組織で構成されている)

極右の攻撃に抗してエコ社会主義を


 われわれは、COP30に対応して民衆が組織した行動の枠組みの中で、生命に対する資本主義の深刻な攻撃が繰り広げられるこの瞬間に結集している。この会議は、われわれが、極右の台頭、および「進歩的」と自称する(にもかかわらず、ためらいなく、共有財を民営化したり、[先住民族の]テリトリーにおいて限りない資本成長という論理がもたらすものに日々直面している人々や指導者たちへの攻撃を実行したりする)政府の提案する偽りの解決策の両方に駆り立てられて、自らのあらゆる政治的構築物の中心に生命システムをすえた世界のために闘うこと、そしてあらゆる威嚇の試みを断固として拒絶することを再確認させてくれた。
 進歩的新自由主義の擁護者たちが、自らの命を賭けてテリトリーを守る[先住]諸民族の闘いを強化するのではなく、資本と略奪的資源採掘主義の道具となるときに何が起こるか、その実例をわれわれは目の当たりにしてきた。先住民族の同志オーリセリア・アラピウンが、現在の情勢に関する円卓会議で発言した際に受けた政治的脅迫は、コミュニティ内部で恐怖と分裂を撒き散らす勢力が存在することを明らかに示している。しかし、われわれは、まさにオーリセリアが脅迫に対して答えた中で表明したように、沈黙も妥協もしない。
 極右の攻撃はまた、われわれのテリトリーにおいても主権侵害の試みとして現れ、過去に存在し今日なお続く抑圧と支配という同一の論理を再生産している。われわれエコ社会主義者は、この帝国主義的攻撃に対して、抵抗と自衛のための統一戦線を防衛する。
 エコ社会主義は、新たな世界を構築する手段として、必要かつ緊急の課題となっている。生態系の再生能力が加速的に破壊されていることや、現在の気候危機を生み出したシステムそのものによって提案される「代替案」なるものが新植民地主義的・帝国主義的性格を帯びていることは、種としてのわれわれの存続そのものへの脅威であり、われわれを後戻りできない地点へと導いている。
 この課題に直面して、唯一の可能な道筋は、資本主義体制を乗り越えるために、われわれの闘争を共同して組織化することである。民衆の組織的な闘い、民衆の支配体制への抵抗、(さまざまな民族の知識や世界観、正当な自衛権・自己決定権を尊重しながら)民衆による連帯・補完性・相互扶助にもとづく新たな世界の構築に向けた進展こそが、われわれの戦略の基盤を形作っている。

生存のための闘争


 この数日間の議論には、アビア・ヤラ[アメリカ大陸の先住民による呼称で「生命の大陸」を意味する]やその他の大陸から、闘争を続ける諸民族の代表者が結集した。彼らは資本主義と帝国主義による資源略奪主義が多くの地域で環境破壊と人間破壊を引き起こしていると告発するため、世界的に声を上げてきた。この破壊と闘うためには、抵抗する諸民族間の同盟を強化するとともに、歴史的に諸民族が発展させてきたが、今日では多国籍企業や政府による水・土地・空気の汚染と収奪によって脅かされている生活・生産の形態を強固にする必要がある。
 この結集においては、先住民族の声が中心となって、植民地主義・侵略・収奪・資源略奪主義・偽りの解決策という共通の状況が浮き彫りになった。その中には、先住民族を殺戮するだけでなく、犯罪化や迫害を通じて彼らを不可視化する絶滅政策やジェノサイドが含まれている。この段階において、われわれは身体とテリトリーの関係を、構造的暴力が潜んでいる構造物としてだけではなく、生命のための闘争としても考えている。この闘争は、祖先と自然が不可分である知識と宇宙観の価値化と統合を通じて、抵抗のオルタナティブな形態として現れる。つまり、自己防衛、自己決定、共同体生活、テリトリーを越えた希望と団結の重要性を通じて現れるのである。
 こうした生存のための闘争はエコフェミニズムにおいても現れており、女性が資本主義と土地・テリトリー・女性に加えられる暴力との密接かつ歴史的な関係に直面するとき、アビア・ヤラのさまざまなテリトリーのいたるところで女性や女性化された身体を持つ人々(feminized bodies)の闘争を浮き彫りにする。
 さまざまな形態の資源略奪主義から暴力が生まれ、それは土地の汚染と破壊、共有財の略奪と窃取、文化的視点の断片化を通して、そしてグローバル・サウスの何千人もの女性たち、女性化された身体を持つ人々、貧困者、人種差別を受けている人々に対して現れている。
 この分析は、テリトリーに対するあらゆる暴力の構造的根源として資本主義を特定するだけでなく、これらの矛盾を克服することのできる解決策をも提案する。つまり、共同体による水管理、食料の自律性、自治、共同体司法、ケアという反体制的な概念がそれである。このケアというビジョンは、新自由主義的なケア言説に対する構造的批判から生まれる。それは資本の論理を支持し続けているからである。対照的に、われわれは急進的な変革に向けて集団的で共同体的なケアを支持する立場に立つ。
 エコ労働組合主義はエコ社会主義闘争の基本的な要素である。労働条件の改善を求める闘争は、労働者階級の搾取と共有財の収奪が資本の利益に奉仕するもので、相互に強化し合うという認識と結びつくことで、資本主義のもとでわれわれが受けている抑圧の構造的要因に対する闘いを動員し、前進させるために必要とされる条件を生み出す。この意味で、コロンビア、ラテンアメリカ、カリブ海地域、そして世界において、フラッキング(水圧破砕法)を拒否することは、自由なテリトリーを構築するのに貢献するために、われわれが責任を持って引き受ける任務である。このことは、労働組合が各国の社会運動、大衆運動、先住民族運動、農民運動と連携しながら、テリトリーや生命および生命の再生産を守るという点で自律性を維持する場合にのみ可能となることをわれわれは知っている。国際主義的連帯を通じて、われわれは労働権、人権、自然権の侵害を告発する場を作り出すことに全力を尽くす。

パレスチナ人民との連帯を

 この共有された枠組みの中から、われわれは声を揃えて叫ぶのだ。ヨルダン川から地中海までの自由なパレスチナを! ガザでの停戦を! そしてパレスチナ人民の虐殺をおこなったジェノサイド国家イスラエルを断固として非難する。抵抗し、種を蒔き、自信を持って堂々と振る舞う信念を持ち続けている民衆――われわれはこの人たちを国際主義的連帯で抱きしめ、イスラエル国家が脅威と見なす草の根的抵抗の例であるBDS運動やフロティラ(船団)行動などを世界的に支援する行動を拡大していく。
 われわれはまた、中東地域の各国政府に対し、イスラエルとの関係を断絶するよう要求する。たとえば、イスラエルの国営水道会社メコロットとの協定は、植民地支配の道具と化している。水は公共財であり、パレスチナでは政治的・経済的武器として利用されている。イスラエルは水源を支配し、パレスチナ人が井戸を掘削したり、雨水を集めたり、貯水槽を維持することを妨害し、その上で完全な依存状態と水のアパルトヘイト体制を作り出している。パレスチナは支配の実験場であり、その手法は他の地域へ拡散している。したがって、抵抗とパレスチナ人民との連帯は世界的なものでなければならない。われわれ、世界のエコ社会主義者は、パレスチナ人民とともに立ち上がり、パレスチナ人民とその生存権との積極的な連帯を構築する。

COP30からは何も期待できない


 COP30開幕を目前に控え、われわれは、この空間[COP30]が地域のニーズに応えられないものであることを再確認する。むしろ、COP30は、自然の金融化を推進する仕組みとして機能している。だからこそわれわれは、嫌悪すべき不当な債務の支払いを非難し拒否することを再確認するのであり、それを推進し正当化する国際的メカニズムの解体を要求するのである。このメカニズムは、資本が無制限に再生産するために必要とする戦略的財を引き渡すのと引き換えに、われわれの未来を抵当に入れてしまうことになる。その債務システムを解体することが不可欠である。それは、そのシステムから計画的に脱け出すための能力を軽視し、制限するからである。
 炭素クレジットのようなプロジェクトを提案する空間からは何も期待できない。それはTFFF[熱帯林保全基金]と同様に、「問題は共有材が完全には商品化されていないことであり、克服すべき『市場の失敗』が存在するということである」という言説を信奉しているからである。われわれはまた、生態系破壊プロジェクトに加担する政府を糾弾する。たとえば、ブラジル政府は、ベレン-アマゾン先住民族のテリトリー-でのCOP30開催のわずか数日前に、アマゾン河口での海洋石油開発を承認し、COP30開催中には30種類の新たな農薬登録を承認した。
 われわれは、アグロエコロジーをエコ社会主義戦略構築の道の一つとして再確認する。農民と先住民の伝統に根ざしたアグロエコロジー的食料生産は、農業ビジネスと商品生産を主たる主体とする支配的な農業食品システムへのオルタナティブであるだけでなく、生態系の回復と再構築、そして農村と都市の疎外関係を断ち切る手段でもあり、気候変動との闘いにおいて根本的な役割を担う。アグロエコロジーがグリーン資本主義の枠内では存在できないことを理解するのがきわめて重要である。なぜならば、それは政治的実践として、現在の生産関係と生活様式の構造的変革をともなうからである。

エコ社会主義戦略の発展に向けて


 エコ社会主義が長年、この戦略を定義する宣言やプログラムの構築に取り組んできたことを認識しつつ、われわれは次の段階について議論し、自由なテリトリーなしにエコ社会主義はあり得ないという結論に至った。われわれは、連帯によるとりくみを強化し、諸民族に起源を持ち諸民族のためのエコ社会主義構築を推進できる空間を創出しながら、エコロジー的・地域的な闘争と住みよい世界を構築することがわれわれの歩むべき道であることに確信を抱いている。
 この目標を達成するためには、道筋を示す勝利を積み重ねる必要がある。このエコ社会主義プロジェクトの構築にとりくむさまざまな集団間で動員とキャンペーンを展開することは、共同の抵抗と共有された戦略によって統合された国際主義的なプロセスを固めるために不可欠である。
 この闘争の継続と必要なエコ社会主義プログラムの構築は、エコ社会主義運動の国際化とともに、10年前にこれらの集会においてわれわれが着手した課題であり、2024年のブエノスアイレスでの第1回会議に続いて、同年に「エコ社会主義者国際主義ネットワーク」が形成されたことによって確固たるものとなった課題である。
 われわれは、新たなとりくみとして、2026年5月にベルギーで開催される第7回国際主義的エコ社会主義者会合、第1回国際反ファシスト会議の一環としてブラジルで開催される国際エコ社会主義セミナー、そして2027年にコロンビアで開催される第3回ラテンアメリカ・カリブ海エコ社会主義者会議を公表する。これらの集会が国境を越え、われわれが存在する各地域における資本主義の資源略奪主義の集中した権力に同時に打撃を与えることのできる闘争統一行動を生み出すべきであると確信している。
 しかしながら、エコ社会主義者の結集だけでは、具体的な闘争に真に根差したプログラム構築を推進するには不十分である。このため、われわれは、パレスチナ・化石燃料・鉱物採掘・債務・自由貿易協定に関する共同行動やキャンペーンを創り出すこと、水を守ること、アグリビジネスに抵抗すること、森林を再生させることを提案する。われわれはまた、共同の弾劾声明やコミュニケを発表するために、ラテンアメリカ・カリブ諸国における生態破壊プロジェクトに関与する企業を特定することを提案する。加えて、われわれは、コロンビアでの第3回ラテンアメリカ・カリブ海エコ社会主義者会議に先立ち、議論がエコロジー的・地域的な提言や提案を反映するように、地域ごとのエコ社会主義者会議を組織することを提案する。
 最後に、われわれは、われわれが構築する空間を、生き生きと多様性に満ち、集団間で深い議論を生み出すことができるものにしたいと願う。それはエコ社会主義への理解を思索し問い直すためであり、エコ社会主義が単なるグリーンを帯びた社会主義ではなく、人間相互の関係性および人間と自然の関係性という両面において、われわれの関係を根本から変革する提案であることを再確認するためである。エコ社会主義とはもう一つのやり方で政治をおこなうということであり、人間とあらゆる他の生物にとって尊厳に満ち、美しく生きられる新たな世界を築く可能性を秘めているものなのである。

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