沖縄報告 12・4辺野古ゲート前県民大行動に800人

沖縄県民の意思に従い、岸田内閣は辺野古埋立を中止せよ!
政府の犯罪いつまでも許すな
沖縄 K・S

 12月4日土曜日、玉城デニー知事が防衛局の変更申請を不承認処分にしてから丁度10日目のこの日、コロナ明けの第1土曜日の辺野古ゲート前県民大行動に、全県各地から800余人が結集し、変更申請不承認の県知事支持!埋立即時中止!の声をあげた。大型バスやマイクロバスで参加した各地の島ぐるみ、乗用車に分乗して参加した地域や個人、県議・市町村議などで、辺野古ゲート前は昨年10月以来、一年有余ぶりに活気を呈した。米軍も神経を尖らせているようで、フェンスの向こう側には、ガードマン十数人と数人の米兵の姿が見える。右翼団体の街宣車2台も集会妨害に現れ、大音量のスピーカーで汚い言葉を連ねていやがらせをした。

玉城知事が登壇、共に闘うアピール

 午前11時に始まったテント前集会で、はじめに高里鈴代さん(オール沖縄会議共同代表)が開会のあいさつに立った。高里さんは「知事が変更申請を不承認にしたら工事は止まっていなければならない筈だ。沖縄の意思を無視する国に対し行動を続けていく」とアピールした。
 続いてマイクを握ったのは玉城デニー知事。知事は「ハイサイ、ゲート前のグスーヨー、チューウガナビラ」とあいさつをした後、終始こぶしを握り締め次のように力強く訴えた。参加者は大きな拍手と指笛で応えた。
 「今日は11月25日の不承認の報告をするために参加した。県庁内で審議を重ねたため不承認処分を出すまで時間を要した。国の変更申請には正当な事由が全く認められない。沖縄は新しい基地を提供しないという意思は決して揺るがない。負けてはいけない。くじけてはいけない。子や孫たちのために美しい沖縄をつたえよう」
 そのあと、辺野古バスでゲート前に通う「辺野古の歌姫たち」がリードして、全員で元気いっぱい「座り込めここへ」を歌った。
 がなり立てる右翼の街宣車を全く相手にせず、国会議員のあいさつが続く。
 「岸田はかつて専守防衛などと言っていたが、今は敵基地攻撃を言い始めるなど、アメリカと一緒に戦争への道を進む危険な内閣だ。辺野古新基地に反対する野党共闘を強化しよう」(衆院1区赤嶺政賢さん)、「今朝東京から発って先ほど那覇空港に着いた。間に合ってよかった。軟弱地盤は前から分かっていたこと。力を合わせて辺野古を止めよう」(衆院2区新垣邦男さん)、「来年の名護市長選、知事選勝利に向けてたたかおう」(参院伊波洋一さん)、「自治とは何か。沖縄の声は基地の撤去だ。地方自治を通して憲法を実現していく」(参院高良鉄美さん)など沖縄選出の4人の国会議員がそれぞれスピーチした。

各地の島ぐるみ、現場の団体が決意表明


 そのあとは各地の島ぐるみ代表が決意表明した。「沖縄戦で南部に追い込まれた住民が10万人以上殺された。なぜそのような土地の土を辺野古の埋立に使うのか」(糸満)、「八重岳の自衛隊演習を阻止する行動に全県各地から36人が結集した。レーダーを積んだ大型車を止めたのは三中学徒隊やなごらん学徒隊の犠牲者の命を吸い込んだ桜だ」(本部)、「軟弱地盤が明らかなのに辺野古唯一と言って突き進む公共工事がどこにあるか」(うるま)、「南部の土砂を辺野古埋立に絶対に使わせない」(八重瀬)、「玉城知事の不承認をバネに世論を変える努力をしよう。クリスマス・カードも年賀状も寒中見舞いもみんなに送り、辺野古埋立ストップを訴えよう」(浦添)、「大浦湾で起こっていることは重大事件だ。今の名護市長は‘見ざる言わざる聞かざる’で何の役にも立たない。ウチナーンチュの地方自治と民主主義を。決してあきらめない。ナランシェーナラン(駄目なことはダメ)、皆で辺野古を止めよう」(名護)と訴えた。
 辺野古住民訴訟弁護団の赤嶺朝子弁護士の発言に続いて、現場の責任団体(統一連、平和市民連絡会、平和運動センター、ヘリ基地反対協議会)がそれぞれアピールした。
 その中で、平和市民の北上田さんは「不承認を契機に全国で新たなうねりが生み出されている。勇気をもらう。遺骨の土砂を辺野古に使わせない。全国の仲間とともに埋立を止めよう」、ヘリ基地反対協の仲本さんは「海上チームは今朝も7時半に浜のテントに集まり海上行動をしてからこの場に参加した。ウソつきはドロボーのはじまりという。日本政府はいつまでウソをつき続けるのか」と強く非難した。

名護市長選に立つ岸本洋平さんがあいさつ

 さらに、先月の北谷町長選挙で当選した渡久地政志さん、来たる名護市長選の予定候補者で名護市議の岸本洋平さん、同じく南城市長選挙に立候補する現市長の瑞慶覧長敏さんが決意を述べた。現地闘争部の前部長・山城博治さんもマイクを取り、「辺野古の闘いはこれからだ。勇気をもってそれぞれの現場で闘い抜こう」と呼びかけた。
 全員で「沖縄今こそ立ち上がろう」「We shall overcome」をうたい、最後に「知事の不承認支持」のボードを高く掲げながらシュプレヒコールして集会を閉じた。
 実に1年2か月ぶりの辺野古ゲート前での県民大行動だった。この間、沖縄防衛局は辺野古側への土砂投入を強行に進めてきた。サンゴを生かすためではなく埋立工事を進めるためにサンゴ移植を行った。

再び全県的な闘いのスタートを切った


 辺野古周辺の電線鉄塔の地中化工事にも着手し、各地に工事エリアをつくった。大浦湾側のN2護岸も不法に築造した。コロナで窒息させられそうになっていた辺野古の闘いは、安倍・菅から「辺野古唯一」を受け継いだ岸田内閣に対する新たな闘争のスタートを切ったのである。
 12月3日(金)夕には、玉城知事の変更申請不承認を支持する集会が、沖縄県庁前で開かれ500人参加し、牧志ウガン(御願)まで国際通りをデモ行進した。東京でも沖縄に呼応し首相官邸前で500人が参加した集会が開かれた。全国で沖縄に連帯する動きをさらに大きくつくり出そう。
 沖縄県知事を先頭に県民の大半が変わることなくNO!をつきつけている辺野古埋立・新基地建設を絶対に許してはならない。沖縄を無視する日本政府に日本国民は責任を持っている。なぜなら自らが選出した自国の政府だからだ。
 政治家は声高に、中国政府の香港や新彊ウィグル自治区への暴力支配を非難する。県民の大半の意思を踏みにじり、自治を奪うという行政の根本の誤りの問題において、日本政府が沖縄に対して行っていることは同じことだ。違いは、国家の暴力を押し通すうえで司法の中立の擬制を隠れ蓑にしているという点である。日本国民よ、覚醒せよ。自国政府の政治的犯罪をいつまでも許すべきではない。

2021.12.4  辺野古ゲート前テント。第1土曜日の県民大行動。こぶしを握り締める玉城知事の熱弁
辺野古ゲート前テント。第1土曜日の県民大行動。開会のあいさつに立つ高里鈴代さん
辺野古ゲート前テント。第1土曜日の県民大行動。道路の両側を埋めた参加者
2021.12.3  県庁前広場での集会・デモに500人

2021.12.4  辺野古ゲート前テント。第1土曜日の県民大行動。遺骨混じりの土砂を辺野古に入れるな!と訴える島ぐるみ南部の代表

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