静岡第33回コミュニティ・ユニオン全国交流集会
全国から300人以上が結集
コロナ禍で問われる労組の意義
【静岡】東京江戸川区労協の「パート110番」の相談に訪れたパート労働者が「私たちでも入れる組合があればいいのにね」と言ったのがきっかけとなり1984年、「ふれ愛」「友愛」「たすけ愛」を合言葉に江戸川ユニオンが結成されたのがコミュニティ・ユニオン運動の始まりだ。
コミュニティ・ユニオンは地域社会に密着してパートでも派遣でも、外国人でも誰でも1人でも加入できる労働組合で組織形態としては地域合同労組と言われる。そんな労働組合が集まったのが「コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク」で1989年に初めての全国交流集会が開かれ、翌年第2回全国交流集会で全国ネットワークの結成が確認された。
北海道から鹿児島まで全国32都道府県の76ユニオン、約2万人の組織。
静岡での開催は33回目となり始めて大学施設を会場に開催された。昨年、神奈川県横須賀市で開催された第32回交流集会は、コロナ禍で日程は半分、参加者も限定での開催となった。静岡集会もコロナ感染症の状況次第で開催そのものが危ぶまれる中で集会準備が一昨年の2月から始まった。
静岡県ではコミュニティ・ユニオン加盟組織はわずか2組合であることからコミュニティ・ユニオン東海ネットのバックアップのもと静岡県労働組合共闘会議、中部地区労、県ユニオンネットの支援を受けての取り組みとなった。幸いなことにコロナの状況が沈静化していることからコロナ対策を考慮して従来通り2日間の日程で、夜のレセプションは行わない形で開催された。
闘いの交流と
争議組合の報告
12月4日~5日の両日、静岡県立大学を会場に開催され、北海道から九州・鹿児島まで32都道府県の76組合(組織人員2万人)の組合員が参集し、全国組織の運動の総括と新たな運動方針を決定する総会と第2部では、記念ステージと記念講演がもたれ、宮田薫さんによる素晴らしいハーモニカ演奏、笹沼弘志さん(静岡大学教育学部教授)の記念講演、12の分科会(新型コロナと労働災害や外国人労働者など)を通して闘いの交流と討論を深めることができた。
第1日目は、コミュニティ・ユニオンの全国総会と全体集会が行われた。総合司会を三宅龍嗣さん(静岡ふれあいユニオン)がつとめ、現地実行委を代表して藁科亮さん(静岡ふれあいユニオン)が歓迎の挨拶を行った。コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク共同代表の寺山早苗さんの主催者挨拶を受けて全国ネットの総会が開会された。
来賓には、日本労働弁護団 井上幸夫会長、福島瑞穂社民党参議院議員、杉山敦静岡県会議員、静岡で日頃大変お世話になっている弁護士の増本雅敏さん、植松真樹さん、太田吉則さんからごあいさつを頂いた。
総会では、この1年間の活動経過報告、向こう1年の活動方針、会計報告、予算案、役員体制といった議案の提案・質疑・採択が行われ、争議組合からの報告を受け閉会した。
休憩を挟んで第2部は記念ステージと記念講演が行われた。
記念ステージではハーモニカ奏者の宮田薫さんがクロマチックハーモニカの演奏を披露。
彼女は浜松市出身で関西と浜松を中心とした演奏活動に加え講師としてハーモニカの普及に努める素敵な女性だ。西日本ハーモニカコンテストクラシック部門第1位、FIHジャパンハーモニカコンテスト ジャズ・ポップス部門第2位といった実力者でもある。素敵な演奏に会場はウットリ! 短い時間が惜しまれる素晴らしい時間を堪能した。
社会的排除を
許さぬ闘いとは
記念講演は、野宿者支援で全国的にも著名な憲法学者の笹沼弘志さん(静岡大学教育学部教授・憲法学)。「コロナ禍において問われる労組の意義~憲法から考える」と題してコロナが顕した日本社会の脆弱性では各給付金から排除される人々(風俗業、ホームレス、DV被害者等)と、憲法の定めた「日本に暮らすすべての人に平等に憲法上の権利が保障されている」ことの対比を通して社会的排除と「権利を持つ権利」が語られた。
日本国憲法(が定めた日本国)の目的とは、外国人を含めすべての人の人権の保障を伴って「わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保すること」であること、そのような観点から労働組合が果たす役割を
⑴「人々が連帯して一致団結」するのを妨げる社会的排除との闘い。
⑵一定の人々を「権利を持つ資格」のないものとみなす根強い優生主義との闘い
⑶排除され孤立し、自責感情に囚われ、自信も生きる希望も失っている人々に語りかけ、共に考え、ともに元気になっていくこと(エンパワメント)
⑷様々なリスクのある世の中ですべての人が自由に自分の幸福を追求する条件をつくりあげることと語った。とても有意義で示唆に富んだ講演だった。
第2部の最後に、北海道から九州まで各ブロックごとに参加組合の紹介がされ、最後に静岡からの参加者が登壇して「団結ガンバロウ」を三唱して第1日が終了した。
反原発とリニア
反対の取り組み
第2日は、教室を会場に「新型コロナ感染症と労災問題」(第1分科会)をはじめ12の分科会が開催された。第11分科会「反原発 浜岡からの報告」、第12分科会「リニア中央新幹線」は静岡提案の分科会。各分科会ともに活発に議論が行われ時間が足りない様子だった。コロナ禍であることから使用した机や椅子も最後にアルコールシートで拭くなどの処理をして分科会を終えた。
会場を再び大講堂に移し全体集会が行われた。2日間にわたる集会集約と集会宣言の提案・採択。
次回開催地の札幌地域労組の決意表明と閉会あいさつ、遠州労働者連帯ユニオンの岡本真弓書記長による「団結ガンバロウ」で全日程を終えた。(S)

週刊かけはし
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009 新時代社