6.6一審判決を破棄し公正な判決を!

東京電力幹部3人を強制起訴
福島原発刑事訴訟が事実上結審

 検察審査会が東京電力幹部3人を強制起訴した福島原発刑事訴訟控訴審の第3回公判が開かれ、事実上結審した。
 関東甲信でも梅雨入りした6月6日、午前11時からの傍聴券抽選のため、雨が強まるなか東京高裁にはおおぜいの市民が集まった。事故後もとどまったなかま、県外の避難先から帰還したなかまが福島から上京した。多くの避難を続けるなかまも全国から集まった。抽選に当たらなかった福島のなかまに傍聴券が渡るよう、この時間帯だけに参加した東京周辺のなかまも多くいた。添田孝史さんの傍聴記によれば「傍聴希望者は169人で、傍聴できたのは32人(倍率5・3倍)だった」。

 午後2時開始の公判に併行した院内集会が行われ、俳優の中村敦夫さんのDVD化されたばかりの朗読劇『線量計が鳴る』(*2)を鑑賞した。
 傍聴した福島のなかま、弁護団が高裁から参議院議員会館にかけつけ、午後4時から公判の内容、それぞれの印象などの報告、判決までの行動についての決意などを訴えた。
 被告東京電力元幹部3人のうち、公判に出席したのは1人だけだったという。公判後の協議で、裁判所は原告側、被告側双方に、3つの判決候補日を示した。告訴団・支援団の弁護団の甫守弁護士から次の日程を告げられた。優先される順で、 12月14日水曜日、1月16日月曜日、1月18日水曜日で、開廷時間はいずれも午後2時だ。他の弁護団の報告では「今後の状況での変化の可能性がゼロではない」との印象だ。
 今後の変化は次の2つの司法判断だ。まず最高裁、6月17日に民事の賠償訴訟関連で推本(政府の地震調査研究推進本部)の長期審査の信頼性と国の責任について、高裁では分かれた判断を最高裁が統一判断を示す。そして東京地裁、7月13日に株主代表訴訟の判決があり、東電の重大な責任を認めなかった刑事訴訟の一審判決と食い違う判決となった場合には、東京高裁の判断に与える影響が大きい。
 加えれば「一審判決を破棄し公正な判決を求める署名(高裁へ提出)」集めの強化だ。告訴団・支援団は7月末の第二次集約を目指し、いっそうの拡大に向けた呼びかけを行っている。
 関連情報などは次号以降に順次報告する予定。また、今回の行動に参加した仲間たちからの投稿も期待している。
(6月11日加筆 KJ)

*支援団のホームページに、東電刑事裁判控訴審第3回公判に関連した高裁前行動と報告会の動画、添田孝史さんの傍聴記がアップされている。これらの視聴、閲覧は次のURLから、もしくは二次元コードをスマホで。
https://shien-dan.org/

【二次元コード】


*1 添田さんは国会事故調にかかわった科学ジャーナリストで、推本の長期審査と東電の対応を読み解き、関連裁判の多くに参照されてきた。『原発と大津波 警告を葬った人々』『東電原発裁判』(ともに岩波新書)、『東電原発事故 10年で明らかになったこと』(平凡社新書)などの著書がある。
*2 『線量計が鳴る/元・原発技師のモノローグ』のDVD化と販売について。
中村敦夫さんは自身のHPに経過を載せている。「私がすでに95回を重ねてきた朗読劇『線量計が鳴る』は、休演が(コロナ禍によって)2年も続いています。81歳の年齢から判断しても、簡単に再演が可能かどうか、定かではありません」「徳島の市民グループが、この作品がもつメッセージを次の世代に伝えたいと、朗読劇を丸ごとDVDに映像化」。
 この資金をクラウドファンディングで集め、本編104分+8頁の中綴じ冊子の書籍として製作した。クラファン収益で、英語版も製作するという。販売は西日本出版社から(1500円+税)。

福島原発刑事訴訟控訴審第3回公判。東電幹部の刑事責任を追及(6.6)
福島原発刑事訴訟控訴審第3回公判。東電幹部の刑事責任を追及(6.6)

週刊かけはし

購読料
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009  新時代社