5.12入管法の改悪に反対する国会前大集会

「人の生き死にに関わる問題だ」
4000人が国会包囲の行動


 【東京】5月12日午後7時から、国会議事堂正門前で、「入管法の改悪に反対する大集会」が同実行委主催で開かれ、4000人が集まった。
 最初に、外国人労働組合をやっている人が「4月28日の衆院法務委員会を傍聴した。賛成派の議員の発言にむかむかし、許せなかった。それは審議時間が19時間ということで、丁寧な審議を尽くしたというものだ。人の生き死にをそんな審議時間で決める。冗談じゃない。日本は難民申請の0・7%しか認定していない。生きている人間の苦しみ、どれほど過酷な状態なのか、分かっているのか。分からないようなら、議員の資格はない。人間の尊厳を守る。がんばろう」と話した。

1%に満たぬ
「難民認定率」
 仮放免中の夫をもつまゆみさん(仮名)は「夫はトルコ国籍のクルド人。来日15年。難民申請4回目で、仮放免中。法案の送還の対象になっている。日本人と結婚していれば送還されないだろうと思っていた。しかし、仮放免から突然理由なく収容された。『日本にいらない外国人は皆帰ってもらう』という入管。日本生まれの外国人はこの国を豊かにする」と発言した。そして夫からのメッセージを読み上げた。
 「入管制度を変えるべきだ。人間としての扱いをされていない。日本人と同じように生きたい。今回の入管法も廃案へ、お力を貸してください」。
 当事者の発言が二つ紹介された。
 「両親が働けない。子どもは奨学金をもらって学校に行っているが進路に迷っている。悲しい思いをしている。みんなで反対しよう」。
 「32年前に来日した。入管法改正に不安を持っている。考え直してほしい。外国人は犯罪を犯すと言われるが間違っている。難民認定に第三者機関を設置してほしい。在留資格許可を出すべきだ。総理は外国人が安全に暮らすための決断を。私たちを信じて下さい」。

入管制度その
ものが問題だ
 立憲民主党、共産党、社民の国会議員が多数参加した。石川大我議員(立憲、参議院)。「改正案を必ず止める。野党提出の難民保護法案が与党案といっしょに審議することになった。来週火曜・水曜日に参院法務委員会がある。夜の6時から7時に有楽町駅イトシア前で宣伝行動をするので参加してほしい」。
 牧山ひろえ議員(立憲、参議院)。「2005年に、難民申請している間は送還しないと法改正があった。しかし、仮放免中は就労を認めないなど人間の生活ができなくされた。入管はなんでもやる、外国人に冷たい国だ。人権保護国を作らなければならない」。
 石橋みちひろ議員(立憲、参議院)。「外国人の不当な収容問題について、運動団体と相談しながら、半年以上かけて新しい法案を作った。与党案は死刑執行のボタンを押すようなもので絶対に通してはいけない。難民保護法は人を保護するものだ。野党案を支持してほしい。未来の架け橋としていっしょにがんばろう」。
 鎌田さゆり議員(立憲、衆議院)。「入管法改正案は人殺しの法案だ。ウィシュマさんは殺された。言われなき差別を受けさせるな」。
 福島みずほ議員(社民、参議院)。「難民の扱いについて、国連から二度も勧告を受けたのに何も検討していない。難民認定制度を変えなければならない」。
 仁比そうへい議員(共産、参議院)。「入管は2007年から収容者18人の命を奪っている。しかし、それを検証していなし、報告書さえ作っていない。個々の職員の資質だけの問題ではない。無期限で収容できる制度は他にない。そして強制送還行政だ」。
 高良てつみ議員(沖縄の風、参院議員)と石垣のりこ議員(立憲、参院議員)のメッセージが読み上げられた。

人びとの熱い
思いに応えて
 クルド人Mさんを支援する会の周香織さんは「2004年、13人のクルド人難民が東京の国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)で、日本に保護を求めたが、トルコ政府との友好関係を優先し、強制送還した。この時は、ニュージーランドとカナダ政府が受け入れた。おかしいのは日本だ。入管制度が問題だ。法改正ではこの事態は変わらないし、強制送還を止められない」と法改正を批判した。
 ウィシュマさんの遺骨を抱えて登壇した宗教者が「ウィシュマさんの遺骨を預かっている真宗大谷派の名古屋の寺からやってきた。人の道から外れた国は耐えられないし、未来はない」と話した。北関東医療相談会からやってきたキリスト教者は赤い法衣を着ていた。「今日着てきた赤の法衣は殉教者の血の色だ。ウィシュマさんは殉教者だ」と話し、「廃案にするぞ」と苦しみ、怒りを表現し叫んだ。
 収容ではなく、安全・安心な暮らしをグループ。エッセイストの小島慶子さん、作家やバンド、全国難民弁護団連絡会などの弁護士からの発言。気候危機と難民・移民問題と闘う人などたくさんの人が発言した。
 移住連の鳥井一平さんが「入管法ノー」を提起し、全員でコールした。鳥井さんは「このコールは1990年代にオーバーステイ者が30万人いた。この人たちの強制送還に対して、『ノー』コールを始めた。入管行政が弱い程、社会はよい。外国人の犯罪は増えていない。非正規滞在者の犯罪は少ない。増えているとキャンペーンしているのは入管庁の方だ。違いを尊重する、多文化共生社会をつくっていこう」と発言し、「入管ノー」コールを国会に向けて5回繰り返した。
 最後に反貧困ネットワークの瀬戸大作さんが「今日の集会には4000人が集まった。先週の日曜日の高円寺には3500人。5月21日には青山の国連大学前で1万人集会を実現しよう」と締め繰り、ロヒンギャ難民のミョーさんが、収容所で自殺した人が書いた文字をあしらったTシャツ「PLS. HELP US!!!」を掲げながら、「仲間を殺すな、法案を止めよう」と訴えた。午後8時半終了の予定が午後9時半を回っていた。それほど、参加者の止めたいという熱い思いと運動の広がりを実感する集会となった。入管法改悪を止めよう。 (M)

「難民」の人権を踏みにじる入管法改悪に怒りの声(5.12)


 
  

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