投書 イラン女性モハンマディさんの平和賞受賞
SM
「今年のノーベル平和賞が、収監されているイランの女性人権活動家ナルゲス・モハンマディさんに授与されることになった。……モハンマディさんは2003年に人権活動団体「人権擁護センター」(DHRC)の副所長に就任し、女性の権利拡大や死刑廃止を求める運動を展開してきた。これまでに「国家の治安を脅かした」などの理由で13回逮捕された。5回の有罪判決で計31年の禁錮と154回のむち打ちを言い渡されている。
イランで昨年9月にクルド系女性がヘジャブ(髪を覆うスカーフ)のかぶり方が不適切だとして逮捕され、3日後に急死した。これをきっかけに、「女性、生命、自由」というスローガンの下、政府の抑圧に抗議するデモが拡大し、数十万人が参加した。治安部隊との衝突で500人以上が死亡したとされる。
モハンマディさんは獄中からSNS(ネット交流サービス)でデモへの支持を呼びかけた。ノーベル賞委員会は『デモに参加した人々も表彰する』と付け加えた。 女性からの反発の高まりで服装規定は一時緩くなったが、政府は最近、再び規制を強化する方針を示している。女性たちの切実な声に耳を傾けるべきだ」(2023年10月7日・土曜日『毎日新聞』朝刊5面、社説)。
「世界経済フォーラムが各国の男女格差をまとめた2023年版のジェンダーギャップ報告書によると、イランは146カ国中143位。男女平等からは、ほど遠い状況となっている」(2023年10月7日・土曜日『朝日新聞』朝刊2面)。
「……日本で人権擁護や女性の地位向上を訴える人たちからは、自由を追求する長年の活動をたたえ、日本政府によるイランへの政策変更の働きかけを求める声が上がった」(2023年10月7日・土曜日『東京新聞』朝刊21面)。
佐藤栄作やバラク・オバマが受賞するようなノーベル平和賞には疑問を感じるが、今回のナルゲス・モハンマディさんの受賞は歓迎する。今回のモハンマディさんの受賞は、女性への抑圧とたたかっている全世界の人びと・死刑廃止のためにたたかっている全世界の人びとへのはげましだ。
日本では、イランの権力とたたかう民衆を支援するようなマスコミ報道が十分だったとはいいがたい。イランの権力とたたかう民衆を支援するような投書も、私の見落としでなければ、見たことがない。イランの権力とたたかう民衆を支援する日本人によるデモも、聞いたことがない。私が知らないだけだろうか。
国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」日本代表の土井香苗さんによると、「日本は欧米各国に比べてイランとの関係が良い」(2023年10月7日・土曜日『東京新聞』朝刊21面)という。日本のマスコミは、これでいいのか。日本の民衆は、これでいいのか。日本の政府は、これでいいのか。私は、疑問に感じる。――この投書をマフサ・アミニさんと「イランの治安部隊に殺された500人以上の人びと」らにささげる。
(2023年10月9日)
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