2.15 24けんり春闘第1波総行動
団結広げ全労働者の大幅賃上げを
生活と権利の破壊NO! 日本経団連糾弾
【東京】2月15日正午、日本経団連会館前は多くの労働者と立ち並ぶさまざまな組合旗や争議団の旗で埋められた。24けんり春闘全国実行委員会が呼びかけた同春闘第1波総行動。この間長期にわたって日本の労働者民衆の生活と権利の破壊を先導してきた日本経団連の責任を追及し、その姿勢の転換を要求する場として設定された。そしてこの場には、同実行委員会も呼びかけた各争議職場での行動を終日繋ぐ東京けんり総行動の午前の部を終えた仲間たちが続々と駆けつけた。
経労委報告反対!
今、政府、財界、連合に加えメディアでも「賃上げ」の大合唱が響いている。そこにはおそらく、各方面に広がる労働力不足という客観的要因も力を貸している。大企業の中には早くも大盤ふるまい(とはいえ定昇分を除けば、ほとんど実質賃金下落を相殺しただけに近いレベルなのだが)を明らかにしたところも出てきた。しかし問題は、その賃上げが労働者全体を対象にしたものとなり、2年にわたる実質賃金低下継続による生活破壊の克服に値するものとなるかだ。
労働者民衆の生活破壊を導いてきたのは、この30年以上政府と経営が結託した賃金抑制と権利破壊の政策にほかならない。それに協力を続けた連合にももちろん責任がある。そうであれば、それらの責任に頬被りした三者の「賃上げ」合唱にどれほどの真実味があるだろうか。
たとえば連合の場合、かれらの主力である大手民間が、下請けの中小や最低でも系列内非正規の仲間の賃上げ獲得まで、妥結せずに闘いを堅持するだろうか。現時点でストライキの準備さえ皆無のかれらにそのようなことがとうてい期待できないことは明らかだ。
あるいは大企業は、系列下請け、また運輸をはじめとした取引で、賃上げを可能とする納入単価引き上げを認めるだろうか。この間さんざん下請けや運輸業界などを痛めつけてきたのはかれらなのだ。日本経団連会長や、大企業代表者がいかにきれい事を言おうが、その部下たちはコストカットの徹底化で今なお評価されている。日本の製造業を代表するトヨタで露わになった検査偽装はその一端を見せたにすぎない。そして経営者たちは価格転化容認を匂わせつつも、そのコストカットの徹底化で蓄えられた500兆円を超える内部留保の放出には無言を貫いている。これでは彼らに任せる限り、価格転化があるとしてもおざなりなものにしかならないことは明らかだろう。
賃上げへの意欲をより強く押し出したと報じられている経団連の今年の「経営労働政策特別委員会報告」(経労委報告)にしても、基本的な考え方は、依然生産性基準原理が下敷きであり、その上での「構造的賃上げ論」(スキルアップし、生産性の高い部門への労働力移動による賃上げ)でしかない。その後押しを受けて、TVには転職仲介企業のコマーシャルが溢れている。賃上げはまさに結局は労働者の自己責任にされているのだ。
またこの考えである限り、業務の性格上決して消せない生産性格差を理由に、ケア労働などのエッセンシャルワークや権利保障としての公共サービス現業の低賃金も永久に温存される。当然これらの部門の労働力不足も改善されない。労働力移動の奨励はむしろ、これらの不可欠な部門の破壊につながる。
労働者総体の生活立て直しのためには、また社会の立て直しのためにも、政府と経営の賃上げ論、またかれらがつくってきた規制緩和と非正規化の社会構造をひっくり返すことが絶対的に必要だ。そこに向け、政府と経営がイカサマであれ賃上げを言わざるを得なくなっている今春闘ではなおのこと、団結と連帯を基礎にストライキを武器に労働者の要求を貫く闘いが求められている。
中小・非正規の置き去り許さない
この日の経団連前行動は、その意志を共有し固め経団連に突き付ける行動。24けんり春闘全国実行委員会を代表して冒頭発言に立った渡邉洋全労協議長は、その意志を鮮明に表明し闘いへの総決起を呼びかけた。そこではまず、大民間では7%回答で早くも妥結の動きがあることを厳しく批判、中小、非正規置き去りを許さない闘いとして今こそ労組が問われている、米国のUAWも引き合いに出してストライキの積極的展開が必要、と強調した。さらに全国一律最賃1500円/時の即時実施、外国人労働者の権利確保、などにけんり春闘として率先して取り組むことを基軸に大きな団結を引き寄せようと訴えた。
続いて、東水労、全統一労組、全国一般三多摩労組の仲間が決意表明。
東水労の仲間は、公務職賃金の基準になる民間水準が、現行制度では中小・非正規の仲間が置き去りになると大きく引き下げられ、この間ほとんど賃上げがなかったと指摘し、中小・非正規の底上げは公務労働者にとっても死活問題だと力説した。そしてその観点から、大企業には内部留保放出を求め、公契約条例の制定や公務非正規労働者の組織化に具体的に取り組むことを含め、公務の現場から連帯した春闘を作り上げると決意を語った。
全統一労組の仲間は、流山サービス分会の偽装廃業全員解雇攻撃との闘いを報告した。この攻撃は廃棄物処理をめぐる業務で違法作業の取り止めを求めたことに端を発していた。攻撃は、支配下の複数企業に対する県の認可取り消しを恐れた経営者の文字通り自分勝手な暴挙。何としてもはね返す闘いを春闘の中で展開すると決意が述べられ、支援が呼びかけられた。
三多摩労組の仲間は、ヤマトメール配達員雇い止めとの闘いを報告。この度ようやく団交にこぎ着けたが、ヤマトは当該の労働者をあくまで個人事業主と言い張り今も権利否認に固執しているという。その中で労災救済に焦点を当て労災適用を追求しつつ、全国的波及に挑戦すると決意を述べた。そしてこのヤマトメール問題の背景に、政府が「フリーランス」対策と称し労働時間規定外しなどの労働基準法改悪を策していることがあると指摘、それへの闘いの構築を訴えた。74歳になるという当該労働者も闘いの決意を述べると共に、問題の共有を訴えた。
発言の最後は韓国のオプティカル労組の労働者。本紙でも紹介した(2月12日号8面、2月19日号3面、8面)闘いだが、親会社である日東電工の不誠実な対応を追及し争議解決に責任を果たすことを求め労働者が韓国から来日し、1月25日にに結成された「支援する会」と共に日東電工東京本社前で行動を続けている。彼は、自分たち全員を解雇しながら日東電工が業務を移行させた韓国の企業が新たに30人も新規雇用していると明らかにし、日本電工が加盟している日本経団連にも、この不当な人権蹂躙行為の是正に指導性を発揮せよ、と強く求めた。
この発言を受け総行動は、争議解決に向け日東電工を指導するよう日本経団連に求める要請団を送り出し、「日東電工は交渉に応じろ」「経団連は指導しろ」などのシュプレヒコールで要請団を激励した。しかし日本経団連は要請書受け取りを何の理由も明らかにしないまま拒否、この30年以上続く権利破壊の姿勢にいささかの変化もないことを自ら暴露した。
労働者の闘いの対置とその戦線拡大の必要があらためて突き付けられている。総行動はその決意を込めて全員で団結ガンバロウを三唱、東京けんり総行動の午後の行動へと移った。
(神谷)

日本経団連は日東電工を指導しろ!権利破壊を続ける日本経団連に怒りのシュプレヒコール(2.15)
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