8・6ヒロシマ平和へのつどい2024
反戦・反原子力・反ジェノサイド
イスラエルはガザ虐殺・パレスチナ占領をやめろ
【広島】8月5日夜、広島市中区で「8・6ヒロシマ平和へのつどい2024」が150人の結集で開催された。テーマは、「被爆・敗戦79年 反戦・反原子力・反ジェノサイド ─イスラエルのガザ虐殺、パレスチナ占領をやめさせよう─」。
被爆・敗戦79年
ヒロシマの訴え
まず、司会の大月純子さん(福島原発告訴団・中四国、日本基督教団広島府中教会牧師)が1977年からの集会の歴史的経緯を示したうえで、開会あいさつを兼ねて「被爆・敗戦79年 ヒロシマから」と題して発言した。
彼女は被爆二世としての被害者であり、加害者の祖父を意識しながら活動する。
母は8歳の時に広島で被爆し、翌年、広島を離れた。ゆえに、私は他県で生まれ育ち、23歳の時に「被爆二世である自分にも被爆の影響があるかもしれない」と命の不安を感じ始めた。
27歳の時(1997年)に広島に移住。「原爆後障害」について学んだ。広島の原爆による被害は、1945年8月6日だけではなく、79年経った今も続いている。母方の祖父が被爆当時の三菱重工業広島造船所の所長であった。三菱元徴用工裁判を傍聴し、元徴用工の方の証言を聞き、自分は被爆二世という被害者である前に、植民地支配・強制連行の加害者であることを痛感した。今ある加害性をなくしていくため、反戦、基地の問題に関わるようになった。
2019年のソウルでの平和大会に参加した。戦後補償を実現するためには、真相究明、謝罪、補償、再発防止のための策を講じることが必要。今、朝鮮学校に関わっているのも、その一環である。2016年から「高校無償化裁判」に関わるようになった。
朝鮮学校がなぜ日本にあるのか、なぜ民族教育が必要なのか。日本の植民地支配の歴史を学ばなければならない。朝鮮学校への高校無償化制度、幼保無償化制度の適用、自治体による補助金の再開を求め続ける。官制ヘイトをやめさせ、私的なヘイトクライムをなくしていく。
2022年ロシアによるウクライナへの軍事攻撃が始まり、それを止められないままに、2023年10月からのイスラエルによるパレスチナへの軍事攻撃、ジェノサイドが始まった。「原爆による大量無差別殺戮攻撃」、核ジェノサイドを体験したヒロシマからパレスチナで起こっているジェノサイドを止めていく。
私たちの国がアメリカに追随することをやめさせなければならない。米軍と自衛隊の合同軍事演習の中止、朝鮮民主主義人民共和国への敵視政策を止めさせ、朝鮮半島が自主的に平和的に統一するために。あらゆる差別や抑圧、搾取などの社会の中にある構造的暴力をなくしていくために、課題を共有し、連帯を深めたい。
死者への追悼と加害者への抗議ダイイン(8.6ピースプロムナード)
呉を巨大軍事拠点
にしてはならない
次に、西岡由紀夫さん(ピースリンク広島・呉・岩国 呉世話人、日鉄呉跡地問題を考える会共同代表)が「呉を巨大軍事拠点にするのか ─日鉄呉跡地問題─」と題して発言。
今年の3月4日、前年9月末に閉鎖した日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区(日鉄呉)の跡地について、防衛省が一括購入したい意向を、呉市や広島県に申し入れた。跡地面積は約130ha、マツダスタジアム36個分、現在の海上自衛隊呉基地 84 haの約1・5倍、これは、岩国基地の沖合移設(213ha)や辺野古の新基地建設(161ha)にも匹敵する。そこに「多機能な複合的防衛拠点」として3つの機能を整備する。①民間の誘致を含む備品などの維持整備・製造基盤、②防災拠点(ヘリポートや物資の集積場など)及び部隊の活動基盤(艦艇の配備、訓練場など)、③岸壁などを活用した港湾機能で、このため、防衛省は、現在、日鉄との間で、跡地の早期の一括購入に向けた交渉を進めている。
翌5日、「ピースリンク広島・呉・岩国」は、小雨の降るなか、呉駅前で「防衛拠点にするな」と横断幕を掲げ、街宣活動をおこなった。これが新聞報道につながり、「防衛拠点反対」の声を広く届けることができた。
実際、わたしの携帯電話に、1930年生まれの女性から「中国新聞を見て同じ思いだ」「今の様子が戦争になっていった子どもの時代と同じように感じる」との危機感溢れる電話をいただいた。
「多機能な複合防衛拠点」なんていららない
同11日に開かれた呉市議会協議会では、防衛省地方協力局村井勝総務課長が出席して説明と質疑が行われた。村井課長は「呉は広島県海田(陸自第13旅団)に近く、長崎県佐世保(米軍・海自)、岩国(米軍航空基地)と連携しやすい重要な場所」と語る。
つまり日米一体化して戦闘が行われている前線に切れ目なく武器・弾薬・食糧を供給する兵站(ロジスティクス)の拠点にしたいということだ。また、ゾーニング(何をどこに置くか)はこれからで、呉市長は「意見は伝えていく」とした。同18日、私たちは呉市長へ「要請書」の申し入れを行った。旧軍港市転換法(軍転法)の意義を訴え、その広報活動とともに、「安保法制」以後の自衛隊の変容を認識し「自衛隊との共存共栄」という呉市の方針の見直しや、憲法第9条に照らして検討の視点を問うもので、次のように続く。
「折しも2016年3月に安保法制の施行以降、自衛隊は専守防衛の枠を大きく踏み外す方向に動いています。
例えば2018年からインド太平洋派遣訓練なる長期にわたる多国間共同演習が始まり、その一つの中心が呉配備の空母化が進む『かが』である。この演習は、インド洋、マラッカ海峡、南シナ海、東シナ海などを70日を超える日程で沿岸各国を歴訪し、各国との共同訓練を積み重ねるというもので、自衛隊ができる行動をはるかに超えています。同時に自衛隊の基地建設・強化が、与那国島、石垣島、宮古島、沖縄島、奄美大島、馬毛島に続く南西諸島から九州で進行し、さらに中国・四国地方においても民間空港・港湾の自衛隊使用まで展開されています。呉における『多機能な複合防衛拠点』の建設は、こうした文脈の中で海自呉基地のかつてない強化となるものであることを認識すべきです」。対応した呉市の大森総務部長に手渡した。
市民たちから
平和への動き
3月28日の4者(防衛省、日鉄、広島県、呉市)協議では、跡地の基本検討費を25年度予算に計上し、年内には機能配置図を呉市に説明するという。広島県知事が「防衛省案は規模や具体的な内容がなく、賛成も反対も言いようがない」というのももっともな話である。広島県は産業用地としての利活用を呉市と費用を折半して東京のコンサル会社「デロイトトーマツ」と契約して検討する。
こうした防衛省や呉市、広島県の動きに対し、それぞれ戦争につながる点で防衛省案に反対・撤回の要請などを出しながら、市民は、総がかり行動・呉を母体に、緩やかな連絡会組織として3回の準備会を経て、「日鉄呉跡地問題を考える会」を結成し、4月7日市民集会を開いた。会場一杯の120人が参加し軍事拠点を懸念する声の止まることはなかった。
同21日、小雨の降る中、呉市役所裏のふれあい広場で「市民県民集会」を開催し、呉市内をはじめ県内各地から約400人が参加した。
市民からの連帯のあいさつでは、自ら体験した呉空襲を紙芝居で伝える活動、1950年に横須賀・呉・佐世保・舞鶴の4市を「平和産業港湾都市」に転換する「軍転法」制定時の住民投票の経験、岩国基地の騒音に苦しむ市民の暮らし、防衛省への撤回の要請などを女性5人が語り、子どもたちの未来のために「平和の準備」を続けようとの集会宣言を採択した。
その後、市内をデモ行進して市民に訴えた。考える会では、今後、各地で学習会を開くなど、呉空襲や軍転法の歴史に学び、「多機能な複合的防衛拠点」に反対する市民の声をさらに掘り起こしつつ、呉市長宛「市民への説明会と意見交換会を求めます」という署名運動を展開した。署名の第1次集約として6月3日に呉市長に公開質問状と併せて2944筆を提出した。
呉市長は「防衛省案は、市民の誇りにも関連が深い、重要な選択肢」「戦後呉を拠点に置いた海上自衛隊が日本の独立と安全を守ってきたという思いが市民に強くある」と中国新聞のインタビュー記事(2024・4・12)で語っている。
6月20日、呉市から6項目の公開質問状の回答があった。しかし、その中で納得できる回答はなく、市民への説明会・意見交換会については、議会が市民を代表するとして呉市は拒否した。6月28日、防衛省への呉市からの要望骨子を協議する呉市議会協議会が開かれた。
考える会では要望提出は防衛省提案を事実上承認した上での行動になると判断し、12時から市役所前で抗議の街宣・ビラまきを行ない、市民に訴えた。傍聴した議会協議会資料には「防衛省による『多機能な複合防衛拠点』の整備という提案は重要な選択肢と考えており、同省がゾーニング案を検討するに当たり、呉市としての要望を提示したい」「防衛省からも、呉市がゾーニング案へ反映させたい要望事項などについて照会があり」「地元呉市としての要望骨子をまとめ」た。
こうした趣旨説明を受けて行われた協議の中で議員の意見表明が次々に行われた。軍事に関係するとして反対する声もあり、賛否は最終的に起立による採決が行われ、市と市議会連名の要望提出に決定した。反対は共産党市議2人で、社民党は「呉教育隊の移転」のみの賛成であった。
要望骨子は以下の7項目である。7月3日、呉市長・市議会議長が市ヶ谷の防衛省に出向き、要望した。
①産業機能②安全と環境への配慮③防災機能④自衛隊員等の増加⑤市民利用⑥研究開発拠点の整備⑦海上自衛隊呉教育隊の移転実際、現在の自衛隊のあり様は、2015年の「安保法制」(集団的自衛権の容認)以後、「専守防衛」から変容し続け、米軍と一体化しようとまでしている。
今年度末までには、陸海空3自衛隊共同の「海上輸送群」司令部が呉に置かれ、南西諸島への兵站輸送に当たることになる。その上に、日鉄跡地に「軍事拠点」を置く。
跡地は戦前の海軍工廠時代以来の製鉄所跡地であり、土壌汚染等も強く懸念され、工場の撤去と施設の建設には多年を要する。呉市長は中核市として土壌汚染対策法の責任がある。
このことを市長に要求しつつ、軍事拠点化反対の声をあげ、跳ね返していきたい。平和を愛する市民の皆さんとともに、全国・世界の仲間と連帯し、活動を継続していく。絶大なる支援をお願い申し上げる。
熱心な議論が行われた8.6ヒロシマ平和へのつどい2024(8.5)
広島市の平和行政の
歴史的検証が必要
次に、湯浅正恵さん(広島パレスチナともしび連帯共同体、広島市立大学国際学部教授)が「広島市の“平和行政”の行方」と題して発言。
明日の平和記念公園全体への警備・規制の強化に見られる、広島市「平和行政」の迷走と市民の困惑。過去半世紀の「平和行政」を支えてきた合意を反故にする市政になっていないか。
「平和行政」を支えてきた合意とは、「世界恒久平和」と「核兵器廃絶」。「核兵器廃絶」に矛盾する市政。広島市教育委員会が平和教材から『はだしのゲン』とビキニ事件を削除した。核抑止擁護「広島ビジョン」を発出したG7サミットの「成功」との喧伝。原爆投下責任「棚上げ」で、パールハーバーと平和記念公園の姉妹公園協定締結。「世界恒久平和」に矛盾する市政。
ガザ攻撃に
無関心な自治体
イスラエルのガザ攻撃への無関心。ガザ攻撃開始から4カ月経過し、国内およそ220の自治体が「ガザ地区における⼈道的休戦を求める決議」など、パレスチナの平和を求める決議を採択しているにもかかわらず、広島市や広島市議会は決議など出さず。外交は「国の専権事項」との回答。平和記念式典にイスラエル招待。「イスラエルの攻撃については世界各国の判断が定まっていない。イスラエルに『平和のメッセージに触れてもらいたい』。ロシア・ベラルーシは式典の円滑な挙行に障害をもたらす可能性があるが、イスラエルは問題ない」。
1949年「広島平和記念都市建設法」。この法律は、恒久の平和を誠実に実現しようとする理想の象徴として、広島市を平和記念都市として建設することを目的とする(第1条)。憲法前文の第2段落と第9条の「両者をうけて」法律の第1条の「表現を決めた」と述べている(寺光忠『ヒロシマ平和都市法―広島平和都市記念建設法註解』 1949)。
1970年広島市政の最高目標として「国際平和文化都市」が広島市基本構想に明記。1971年の平和宣言「この無惨な被爆体験の教えるところは、核兵器の廃絶と戦争の放棄である。」(山田市政(1968─1975)。荒木市政(1975─1991)における「ヒロシマの心」と「被爆の実相」を伝えることが大切だとトーンダウンする。
広島市基本構想・計画(1978)「被爆体験の継承」「被爆実相の周知徹底」が項目に。市政の行動目標は「恒久平和」「核兵器廃絶」から、「ヒロシマの心」「被爆の実相」の継承と世界化に変容。日米安保や核抑止政策への沈黙。広島市の「平和行政」と政府の安全保障政策の共生。
2011年の福島原発事故による低線量放射線被曝の問題で、ヒロシマの「被爆の実相」に問題を突き付けた。安倍政権下の安全保障政策の変質。安全保障会議 (NSC)の設置、国家安全保障戦略の策定、防衛計画の大綱策定、防衛装備移転3原則の策定、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)発表、日米「政府一体」「切れ目ない」「安全保障」、平和安全法制の整備。
日本政府は「核兵器禁止条約」に参加せよ
これらの動きに対して広島の平和・反核市民運動も立ち向かった。包括的な「被爆の実相」の解明要求(「黒い雨」裁判・福島原発裁判)。「ヒロシマの心」の世界化だけでは不十分として日本政府への「核兵器禁止条約」参加要求。核抑止政策の否定。日米同盟強化と軍事化への危機感。
「世界恒久平和」「核兵器廃絶」目標への回帰。広島の「平和行政」における「核兵器廃絶」「世界恒久平和」目標の形骸化。「ヒロシマの心」「被爆の実相」目標の限界。「核兵器廃絶」「世界恒久平和」から乖離する日本政府の外交と安全保障政策への迎合。「広島平和推進基本条例」(2021)による新たな合意形成の失敗。『平和行政のまがり角ー広島市平和推進基本条例の制定過程を検証するー』(西日本出版 2024年出版予定)を参考にしてほしい。
朝鮮半島の平和を
次に、尹康彦さん(在日韓国民主統一連合広島本部代表委員)が「朝鮮半島の平和実現のために」と題して発言し、韓国からの訪問団、「広島原爆79年朝鮮人犠牲者追悼団」、「壁を扉に! 平和統一市民会議」の孫美姫さんが発言した。
ミャンマー人のメッセージ
次に、広島市立大学留学生のアウン チー ミインさん(Hiroshima Myanmar community代表)が「広島に住ミャンマー人から日本に住むみなさんへ」と題して発言した(別掲)。
次に、具志堅隆松さん(ノーモア沖縄戦命どぅ宝の会共同代表、沖縄戦遺骨収集ボランティアガマフヤー)の「沖縄からのメッセージ」、武藤類子さん(福島原発告訴団団長)の「福島からのメッセージ」が代読された。
「『パレスチナ解放』と植民地主義の清算」
次に、田浪亜央江さん(広島市立大学教員、中東地域研究)の「『パレスチナ解放』と植民地主義の清算」と題しての発言を受けた。
昨年10月13日から毎日、原爆ドーム前で仲間と交代でスタンディングを行っている。中東アラブ地域の専門家としてパレスチナをこの10年間訪問しながら見てきた。ゴラン高原にロケット攻撃、ヒズブッラーは攻撃を否定。そもそもシリア領で反イスラエル感情がある。イスラエルが司令官を殺害。
また、ハマースのハニーヤをテヘランの住宅で殺害した。第二次インティファーダの指導者、マルワーン・バルグースィ―は人気でトップ。イスラエル建国以来のイスラエルの暴力が昨年の10・7を引き起こした。
2018年7月19日のユダヤ民族国家法の第7条で、国家はユダヤ人入植の発展を国家的価値とみなし、その確立を奨励、促進、強化するために行動するとある。それまでは入植を堂々とできなかった。大きな転換点。
2022年12月29日のネタニヤフ政権(6度目)。極右政党との連合で史上最右翼政権。司法改革における、軍と諜報機関の危機感。ヨルダン川西岸地区・エルサレム問題。トランプ政権による2018年5月14日のエルサレムへのアメリカ大使館移転、2020年1月28日「和平提案」(エルサレム全域のイスラエル首都化によるパレスチナとイスラエルの切り離しによる二国家解決、ハマースを排除した自治政府の統治)。過去最高のペースで進んだ入植とパレスチナコミュニティの破壊が引き起こされた。
ジェノサイドを早く止めなければ
2006年のガザ封鎖以降の状態は「占領」との言葉では済まない異常事態ということを理解してほしい。欧米や日本をはじめ、国際社会のほとんどが、西岸政府とのみ公式な関係をもつ。イスラエルが許可した物資のみ搬入され、電気水道、ガスなどの供給量をイスラエルがコントロール。発電所の燃料不足による停電が時には数日間に。透析患者や集中治療を受ける患者、新生児等に深刻な影響。08年、12年、14年、18年、21年にイスラエルが大規模攻撃。攻撃後、ガザ封鎖を強化し、2021年に「アイアン・ウォール」の最終的建設完了を宣言し、越境を「あり得ない」ものに。未処理の下水が海に放出され、環境悪化が深刻に。
2012の国連レポート、「ガザは 2020年には人が住むのに適さない場所になる」。2014年以降、カタールが公務員の給与(規定額の60%)はじめ公的部門の支払いを肩代わり。
2023年7月以降、カタールの援助が遅延し、さらなる苦境にあった。失業率は50%以上、若者の失業率は64%。
10・7以降の注目すべき動きは以下。12月29日にICJ (国際司法裁判所)へ南アフリカ、ジェノサイド条約上の義務違反の疑いに対し、軍事作戦の即時停止などの暫定措置を求めてイスラエルを提訴。2024年1月26日「ジェノサイドの疑われる行為」防止の「あらゆる措置」命令。13カ国(2023・7現在)の参加・参加表明。ニカラグア(2・16)、コロンビア(4・5)、リビア(5・10)、メキシコ(5・24)、パレスチナ (6・3)、スペイン(6・28)がジェノサイド防止条約に基づき原告支持の立場でICJに参加。モルディブ、エジプト、トルコ、アイルランド、ベルギー、チリ、キューバが意向表明。イスラエルの支援要請を受けてドイツによる介入参加表明に国連人権委員会専門家らによる猛烈な批判が出る。さらにドイツの旧植民地の例えば、ナミビアからは(1・13 付の対ICJ プレスリリース)「ドイツはナミビアの地で、1904から1908にかけて20世紀最初の大虐殺を行い、無実のナミビア人数万が、最も非人道的で残酷な状況で命を落とした。
ドイツ政府はいまだに、ナミビアの地で犯したジェノサイドの償いを十分に行っていない。したがってゲインゴブ大統領は、独連邦共和国政府が伝えた、(中略)衝撃的な決定に深い懸念を表明する」。
植民地主義の清算今こそ!
今後の展望:植民地主義の清算に向けて2001・8・31─9・8ダーバン会議(反人種主義 ・差別撤廃世界会議)に集結し、「反テロ戦争」のなかで見えにくくなっていた植民地責任を問う声がじわじわと活性化してきた。
2004~パレスチナ市民社会によるBDS(ボイコット・投資撤収・制裁)呼びかけの広がりとその反動(ドイツや米国の一部州でのBDS違法化)。2013~BLМ(ブラック・ライブス・マター)運動が、2020に世界的に知られる以前から差別の交差性、植民地主義の背景を問題化し、パレスチナとの連帯運動を底上げしてきたこと。パレスチナ生まれの/パレスチナ ・ルーツのパレスチナ人に限らない、多様なアイディンティティをもつ、特に若者を担い手とするパレスチナ解放運動の世界的盛り上がりから世界的な脱植民地化 ・植民地主義清算の動きとパレスチナ解放運動の連携の深化は当然の流れ。日本の社会運動・市民運動、一人一人の思考のあり方や想像力をいかにに脱領域化しうるかが問われる。
市民による平和宣言2024
「市民による平和宣言2024」が提案され拍手で採択された。8・6行動提起を受けて、閉会あいさつを湯浅一郎さん(8・6ヒロシマ平和へのつどい元代表)から受けた。
「グラウンド・ゼロの集い」のデモ(8.6)
グラウンドゼロの集いと
反ジェノサイド広島デモ
8月6日7時から原爆ドーム向かい側のピースプロムナードで「グラウンド・ゼロのつどい」が行われた。
司会は、ピースリンクの平賀伸一さん。発言者は、西岡由紀夫さん、関西共同行動の古橋雅夫さん、南西諸島への自衛隊配備に反対する関西の会の根本博さん、首都圏の小倉利丸さん、ピースサイクル全国ネットの小田愉さん、田浪亜央江さん、韓国からの「広島原爆79年朝鮮人犠牲者追悼団」、ミャンマーのアウンチー ミインさん、支援者の小武正教さん、人民の力の実国義範さん、アジェンダ・プロジェクト、上関原発止めよう広島ネットの渡
田正弘さん、在日韓国青年同盟の韓誠宇さん。
8時15分からは、死者への追悼と反戦・反核・反ジェノサイドのダイインを行った。その後、中国電力本社前まで、「反戦・反原子力・反ジェノサイド広島デモ」を行った。参加者100人。
中電本社前では脱原発座り込み行動を行った。8月8日からは長崎へ向かった。
(久野成章)
小倉利丸さんがアピール(8.6)
広島に住むミャンマー人から日本に住む皆さんへ
ミャンマー軍に対する制裁を強化し民主化の実現へ
アウンチーミィン
皆さんこんにちは。私はミャンマーから来たアウンチーミンと申します。本日は、広島の平和の日に、ミャンマーでの現状についてお話しし、日本に住む皆さんと一緒に平和を願う機会をいただき、大変光栄です。
ミャンマーでは、2021年2月1日に軍事クーデターが発生しました。このクーデターによって、民選政府は倒され、軍が権力を掌握しました。民主主義を求めて立ち上がった国民たちは、軍による激しい弾圧を受け、デモ隊は銃撃され、町や村は空爆されました。このような状況は現在も続いており、多くの犠牲者や難民が出ています。クーデター以降、2023年7月時点で約2000人以上の市民が国軍によって殺害され、約10000人以上が逮捕されています。逮捕された人々の中には、ジャーナリストや活動家、学生などが含まれており、彼らは非人道的な環境で拘束されています。軍事行動によって国内各地で人道危機が深刻化しています。約30万人以上が国内避難民となり、彼らは安全な場所を求めて逃れていますが、基本的な生活必需品が不足しており、厳しい状況に直面しています。
しかし、ミャンマーの人々は決して屈せず、民主主義を取り戻すために戦い続けています。私自身もこの3年間、日本人の協力を得ながら、難民支援の活動を続けてきました。この運動は徐々に成果を上げており、軍から逃げ出す兵士が増えてきました。彼らは「国民を殺したくない」という理由で軍を離れ、兵士の数は減少しています。
それにもかかわらず、軍は兵士の数を補うために、2023年2月に18歳以上の若者に対して徴兵制を導入しました。この徴兵制は、日本に住む技能実習生などのミャンマーの若者も対象となっています。特にロヒンギャの人々は強制的に拉致され、兵士として戦場に送られています。ミャンマーは多くの民族が共存する国ですが、このままでは民族同士が憎しみ合い、殺し合う事態に陥る危険があります。
日本は民主主義と平和を大切にする国です。私たちミャンマー人も、日本人のように自由に意見を言い、民族同士が平和に暮らしたいと強く願っています。しかし、ミャンマー軍は若者の自由を奪い、望まない戦場に送り出そうとしています。だからこそ、多くのミャンマーの若者たちは他の国へ避難を希望しているのです。
私たちは、異なる民族が手を取り合い、平和なミャンマーを築くために努力しています。しかし、私たちだけでは力が足りません。日本の皆さんにお願いです。ミャンマーの若者たちを助けるために、日本政府へ意見書を提出し、難民支援の活動に協力していただけないでしょうか?
具体的には、難民としての受け入れや、ミャンマーの民主化運動への支援が求められます。
さらに、日本に避難を希望するミャンマー人が増えている現状を考慮し、日本の入管法の改正が必要です。現在の入管法では、多くの難民が厳しい状況に置かれています。私たちは日本で安全に暮らし、平和を享受したいと願っています。そのためには、難民としての受け入れや支援体制の強化が急務です。具体的には、難民申請のプロセスを簡略化し、支援施設の充実を図ることが重要です。入管法の問題はミャンマー人だけの問題ではなく、日本に住む外国人全体が考えるべき問題だと思います。入管法に問題を感じており、広島に住む中国人や韓国人と連携して声を上げたいです。
日本は国際社会においても重要な役割を果たしています。ミャンマーの現状を国際社会に訴え、各国と協力して圧力をかけることで、ミャンマー軍に対する制裁を強化し、民主化を促進することができます。また、日本国内でもミャンマーの現状に関心を持ち、支援活動を広げることが大切です。
私たちミャンマー人コミュニティは、日本国内でさまざまな支援活動を行っています。特に、若者たちが平和な未来を築くために立ち上がり、互いに助け合う姿勢を示しています。私たちは、日本の皆さんと共に、平和と自由を守るために戦い続けたいと考えています。
私は、同じミャンマー人同士が殺し合うことなく、憎しみ合うことなく、平和に共存することを強く望んでいます。そして、そのためには日本の皆さんの力が必要です。どうか、ミャンマーの若者たちを助け、平和を実現するためにご協力をお願い申し上げます。これは広島に住むミャンマー人としての切実な願いであり、平和を求める発表です。皆さんと共に平和を築いていけることを信じています。どうかご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。
原爆ドーム周辺での入場規制・「表現の自由」圧殺に反対する
原爆ドーム前を、陣取り合戦の場にするな
原爆ドーム周辺では、1981年8月6日、ある市民団体が呼びかけた「核を告発するダイ・イン」を皮切りに、様々な団体がいろいろな集会を行ってきた。
2011年までの30年間(荒木市政、平岡市政、秋葉市政)は、市民が多様な表現をする開放的な自由な場であった。ところが、2011年からの松井自民党広島市政の発足、3・11福島原発事故後の第3次反原発運動高揚下、突然、原爆ドーム前に「8・6ヒロシマ大行動実行委員会」(中核派)が登場し、原爆ドーム前の風景は一変した。
2012年8月6日、平和記念式典に出席した野田首相(民主党政権)に対して、中核派による大音量の「野田政権打倒」の声が参列者席(メイン会場)に接近したデモ隊から直撃した。この時、自民党はこの大音量を問題にしなかった。
2012年12月に第2次安倍政権が発足し、2013年から安倍首相が出席し、この時から参列者席(メイン会場)に接近したデモ隊の「安倍帰れ」の大音量に対して、自民党・右翼・極右から「大音量を何とかしろ」という声が上がり、以来、10年間、原爆ドーム前は、中核派と極右と右翼と広島市職員と警察官が制圧する異様な場になった。様々な小さい多様なグループは排除された。
そして2023年8月6日早朝6時に、極右、右翼、中核派の場所取り合いによるもみ合いがあり、広島市が言うところの「衝突事故」(事故から半年以上経った2024年2月28日に中核派5人を不当逮捕)なるものがあった。
2024年8月6日広島市はこの事件を唯一の口実にして、この事件とまったく関係のない市民の表現の自由を圧殺した。
すなわち、当日の午前5時から午前9時までの間、「大きな音を発するもの(マイク・拡声機・楽器類等)、プラカード・ビラ・のぼり・横断幕等の持込み」、「ゼッケン・タスキ・ヘルメット・鉢巻等の着用」、「(6カ所の)入場口前で手荷物検査を拒否すること」を禁止するというものである。広島市は、平和記念公園での「平和記念式典の参列者席(メイン会場)内の警備体制を強化するためと称して、昨年のG7広島サミット並みとまではいかなかったが近年の8・6警備としては異例の態勢を敷いた。
パレスチナ・ガザへのジェノサイドを続けるイスラエルに対し国際司法裁判所が暫定措置を命じ、国際社会の目が厳しくなるなかで、長崎市は招待しなかったが、広島市は今年の式典にイスラエルを招待した。これに対する日本中からの抗議の声も封じようとした。
「8・6ヒロシマ平和へのつどい2024実行委員会」は緊急のオンライン署名(「松井一實広島市政による原爆ドーム周辺での入場規制・「表現の自由」圧殺に反対する緊急共同声明」)を集めて(7月28日から7月31日までの間で)1万4千筆の署名を広島市に提出することにより世論形成の上で広島市の姿勢に大きな釘を刺した。
当然、8月6日の朝を、原爆ドーム前を、陣取り合戦の場にするなというのが私たちの立場である。
(久野成章)
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