7.20学習会「軍事力強化に翻弄される現場から」
日米比軍事連携進行を実感
首都圏の運動に問題提起
【神奈川】7月20日、「すべての軍事基地にNO!ファイト神奈川」は横浜・開港記念会館において学習会「軍事力強化に翻弄される現場から」を開いた。参加者は50人だった。
まず、星野潔さんが2月に揚陸艇部隊「運用開始」開所式を行った横浜ノースドックの現状を伝えた。山下ふ頭に面した立地ながら、横浜スタジアムが20個入る広さだという(2万6000平方メートル)。2023年1月に2プラス2でノースドック再編強化が発表されて以降、星野さんが続けてきた監視活動の成果が示された。
もともと兵站として、音響測定艦が出入りし、オスプレイなど航空機関連物資なども秘密裡に搬出入される場所であったようだが、注目しているのは弾薬輸送艦の入港、揚陸艇における陸上自衛隊と米軍の連携・訓練などだそうである。
そういったことが九州、沖縄、南西諸島を中心に想定されるミサイル戦における弾薬、物資補給体制の一環として進められていることを物語る。住民がいる地域の犠牲を前提にした作戦がそうして進められることへの憤りを星野さんはにじませて、さらなる抗議行動への参加を呼びかけた。
木元茂夫さんは2024年4月の日米比首脳による共同ビジョン声明から何カ所かを抜粋しながら自衛隊、米軍の連携がどの段階にあるのか、分析の一端を伝えた。これによると、フィリピンには、憲法で日本の9条よりも強い軍事基地への制限があるためはっきりした表現を避けるが、マルコス大統領主導で明らかに米国寄りに傾いていることがわかる。バリカタン演習でオブザーバーだった自衛隊は近く本格参加に踏み込むのではないかとの見通しを木元さんは示した。
そして、各公海上を米ロ中大軍艦が通行して緊張が生じたことの実例をいくつかあげながら、起きた自衛隊艦の衝突事故を日本で報道する際のごまかしにも触れた。中国艦隊他の配備実態を比較し、ノースドックを含む神奈川、広島県呉周辺などを結ぶ弾薬輸送から兵站分野で一段と踏み込んだ自衛隊、多国間の連携が進んでいることを強調した。
ネメシスという簡易な?ミサイル搭載車両の存在も例示しながら、どういった速度、積載量の船艇がどう展開されうるのかという話は、首都圏周辺にいてなお、中国を仮想敵とする戦争を食い止めるために私たちにできることがあるかを提起している。
フィリピンでの
現状も明らかに
大橋成子さんは、1992年の米軍基地撤去から、2014年の防衛協力強化協定をへて、2023年には米軍基地を4カ所増設して9カ所にすると公表したフィリピン政府の姿勢には、同時に経済開発も一体のものとして含まれていることを報告した。
バリカタン演習が2023年には最大の1万7000人でおこなわれたことを聞くと、やはり沖縄方面と並んで、あるいはそれ以上にフィリピンを主戦場とにらむアメリカ帝国主義の思惑は、フィリピン民衆の生活をほんろうしていることが歴然としている。
演習が1カ月以上に及ぶため沿岸漁業者の反対は根強く、社会保障の後退は明らかで、先住民族の生活はニッケル銅山(ミンダナオ、パラワン)の鉱床開発などで犠牲になっているという。またマルコスが対米追従に動くしかない理由として1兆円とも言われる「親」マルコス時代からの隠し財産の存在も有力だという。沖縄島を連想しながら聞いたことの中に、道路事情の極端な悪さと日本資本も関与する地下鉄建設の前途多難がある。閉鎖された米軍基地がIT企業、カジノ特区として活用されている様子などを含め、どういう経済成長を志向するかということと、軍事化にどういうテンポで進んでいくかということに大きな関心を向けていかなければいけないと思った。
海上自衛隊他の不祥事、事故多発を受けて会場から質問があり木元さんが答えていたが、処分の中で最も大きかった特定秘密保護指定の違反については、シミュレーションを描く自衛隊上層部の想定とは違う隊内の実態があって、その根底には人員不足がある。
また川崎重工の汚職にしても、乗り手不足でドル箱の「P1」哨戒機が予算を組んだ通りに納入されない背景には人員不足もあるのではないかと、見解を述べていた。詳しくは、すでに紹介されている元東京新聞記者の半田滋氏の見解が参考になるという。
最後に、パワーアップした原子力空母ジョージ・ワシントンの再「母港化」について、横須賀平和船団の新倉さんから発言があった。8月24日に市民アンケートを街頭で行い、住民投票を成功させる会として取り組むことなどをアピールした。 (海田)
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