9.11東京高裁控訴審不当判決糾弾
韓国サンケン電気労組支援で不当逮捕の尾澤孝司さんは無罪だ!
【東京】9月11日、東京高裁で、韓国サンケン電気労組の支援で不当に逮捕された尾澤孝司さんの控訴審判決があった。
刑事第5部伊藤雅人裁判長は、被告人である尾澤孝司さんを退廷させ、「控訴棄却」の判決を言い渡した。
サンケン労組支援の闘い
埼玉県新座市に本社を置く「サンケン電気」は、世界各地に支店や工場を持つグローバル企業である。
2016年。韓国サンケンでの製造部門労働者全員の整理解雇に端を発した「第一次サンケン闘争」では、日本の本社への遠征闘争、すなわち日韓労働者の国際連帯闘争を経て解雇が撤回され、組合員たちの一部は職場復帰を果たした。
2020年の「第二次サンケン闘争」で資本は、労組敵視と嫌悪をむき出しにして、会社そのものを廃業にするという暴挙に出た。第一次闘争の際に交わした「労使合意書」が無視された。地元韓国の地方議会、首長、当時の与党国会議員らが「廃業撤回」の書簡を、日本の官庁やサンケン本社にも送った。
2021年5月10日、尾澤さんは韓国・慶南地労委の和解勧告を本社に伝え、話し合いをするよう求めるために、サンケン本社の敷地に入ろうとした。阻止する警備員に抗議していたところを、到着した警察官に逮捕された。「暴行」「威力業務妨害」で起訴され、勾留は7か月半。さいたま地裁(金子大作裁判長)で9回の公判が行なわれ、一審判決は罰金40万円の有罪となった。
不当な訴訟指揮を糾弾する!
9月11日正午、東京高裁前では「支援する会」を中心に前段集会が開かれた。韓国から元韓国サンケン労組のオ・ヘジン分会長、民主労総慶南地域本部長のキム・ウニョンさんが駆けつけた。
午後1時になると傍聴席抽選への準備が始まった。この時点で100人を超える支援者らが集まっていたが、傍聴席は37人分。当選者は整理券を手に取り改めて列に並んだ。合同庁舎へ入る玄関でまず手荷物検査を受け、4階でエレベーターを降りると筆記用具や財布以外は職員に没収された。さらに429号法廷前の廊下で、ハンディ型金属探知機による検査があった。何重にも及ぶ執拗な検問で、支援者らが入廷したのは開廷時間午後2時直前になった。
法廷には、狭い傍聴席を囲むように10人の警備職員が立っていた。開廷宣言後、弁護団席の尾澤さんは裁判長に促され被告席に移動。その際に、これまでの数々の強権的かつ不当な訴訟指揮を批判する言葉を口にした。その瞬間に伊藤裁判長は「退廷」を命じ、尾澤さんは法廷の外に連れ出された。「主文言い渡し」と同時に、傍聴席から大声でヤジが飛び、さらに2人が退廷を命じられた。
判決は、一審判決を無批判に維持した。控訴審においては、尾澤さんの無罪を求める4000人超の署名提出も妨害し、3人の法学者による意見書も無視し、弁論も開かず初公判で結審するという、およそ「裁判」の名に値しない問答無用の独裁的な態度を、伊藤裁判長らは採り続けてきた。
退廷命令の連発に対し、傍聴席から抗議を続ける支援者らにも、命令が下された。号令一下、職員による女性支援者へのセクハラまがいの身体接触があった。一団が廊下から強制排除される際に、男性一人が腕にケガをした。この傷害事件に「責任者を出せ」と抗議が続いた。裁判所側はすぐに複数の制服警察官を動員した。開廷からわずか30分にも満たない、緊迫の時間帯に激しい攻防があった。
二審判決の不当性に抗議する高裁前の集会でキム・ウニョンさんは、「韓国内でもさまざまな裁判を見てきたが、被告人を無理やり退廷させるのを見たことがない。日本には人権も民主主義もないと感じた」と怒りを露わにした。猛烈な残暑のなか、韓国式のシュプレヒコールで、集まった人々は午後3時まで、抗議の声を上げ続けた。
(桐丘進)

不当判決に抗議する尾澤孝司さん(左)
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