9.19今こそ変えよう! 再審法カウントダウン袴田判決
日本弁護士連合会、再審法改正をめざす市民の会
【東京】9月19日、日本弁護士連合会、再審法改正をめざす市民の会は、袴田巖さんの再審判決(袴田事件/9月26日/静岡地裁)に向けて日比谷野音で「今こそ変えよう!再審法~カウントダウン袴田判決」集会を開催し2500人が参加した。
総合司会の安田菜津紀さん(ダイアローグフォーピープル副代表/フォトジャーナリスト)は、「まもなく袴田巌さんの再審判決が言い渡される。無罪判決がのぞまれるのはもちろんだが、大事なのはその先の再審制度に対してどうやって切り込んでいけるか。今日の集会で深めていきたい」と訴えた。
第1部「袴田巖さんへの支援メッセージ」
主催者あいさつを渕上玲子さん(日本弁護士連合会会長)が行い、「袴田事件の死刑判決が確定したのは、今から44年前の1980年12月だった。日弁連は、1981年11月に袴田事件委員会を設置し、40年以上にわたり袴田事件再審を支援してきた。ようやく無罪判決が手に届くところまでやってまいりました。しかしこの間、袴田巌さんは、えん罪で死刑を執行される恐怖にさらされ続けました。その苦悩、絶望が想像を絶するとしか言いようがない。また、本日会場にいらっしゃっている袴田ひで子さん、家族、支援者の皆さんが並々ならぬご苦労をされてきたと思っています。あとひといき、ぜひともよろしくお願いします。
袴田事件無罪判決がでたとしても手放しで喜ぶわけにはいかない。1966年8月に巌さんが逮捕されてから58年も経過している。どうしてこんなに時間がかかるのか。しかも全国には今もえん罪をはらすことができない、苦しんでいる人が大勢います。その原因はえん罪被害を救済する、最後の砦となるはずの再審制度が機能不全を起こしているからです。私たちは袴田事件の悲劇を繰り返さないために再審法改正を実現しなければなりません」と述べた。
金聖雄さん(映画監督)は、袴田巖さんに寄り添い、見守ってきた記録をショートムービーとしてまとめ上映した。金さんは、えん罪被害者との交流を通して映画を製作してきたことを語り、「権力の汚なさに腸が煮え切る思いです。まもなく袴田さんの無罪が確定だと思いますが、この機会に再審法を改正しないと、今も苦しんでいる多くのえん罪被害者たちがそのまま泣き寝入りすることになってしまいます。再審法の改正を実現していきましょう」と発言。
袴田ひで子さん(袴田巖さんのお姉さん)は、「私たちの裁判はあと1週間です。判決がくだされます。巖は無実だと思っております。2014年3月27日に再審開始になり、拘置所から巖が出てきた時、もう勝ったようなものだと思った。村山浩昭先生のおかげで命をひろわれました。このごろの巖は、ちょっと年をとりまして、足が遅くなりまして車でドライブしています。だけど47年7カ月も拘置所にいたということで色々後遺症が出ています。
まだ拘禁症の後遺症があり、それでも裁判の結着がつくということは大変うれしく思っております。47年、巖が拘置所で頑張った、その頑張りを再審法改正にぜひ皆様のお力で実現させたい」と訴えた。
以下のように次々とアピールが行われた。
柴山昌彦さん(衆院議員〈自民党〉・えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連名会長)
日本プロボクシング協会袴田巖支援委員会の皆さん
大川原正明さん(大川原化工機事件えん罪被害者)
金平茂紀さん(日本ペンクラブ言論表現委員会委員長)
宇野朱音さん(布川事件の櫻井昌司さんの支援者)
佐藤和さん(イノセンスプロジェクトジャパン学生ボランティア)
袴田事件やえん罪事件に関心を持つ若者たち
第二部「再審を語り、再審法改正を訴えよう」
誤った裁判をやり直す再審制度は、欠陥だらけで機能不全状態にある。再審法改正をめざす市民の会は、「①再審無罪の事件の多くが、検察が隠した証拠を開示させたことが決め手だった。証拠開示を義務づける規定が必要だ。②再審開始決定に対し検察官が不服を申し立てることで、救済がが遅れたり取り消され、再審が有名無実化している。検察による不服申立禁止。③再審請求の審理にルールがなく、形式的な手続きで棄却する例が横行している。実質審理を担保する手続き整備が必要だ」と3つの改革を求めている。
「再審制度を斬る!」というタイトルで再審法に鋭く切り込む「せやろがいおじさん」(赤Tシャツ・赤ふんどし姿で社会問題に対しての問題提起を行うお笑い芸人)の動画を上映した。
「古館伊知郎さん(フリーアナウンサー)と再審のリアルを語り倒そう!」というテーマで古館さんが軽快な司会進行で再審法改正に向けて各ゲストの発言を引き出していった。
参加者は、稲田朋美さん(衆議院議員/自民党)、周防正行さん(映画監督・「再審法改正をめざす市民の会」共同代表)、津田大介さん(ジャーナリスト)、村上一博さん(明治大学教授・連続テレビ小説「虎に翼」法律考証)、村木厚子さん(元厚生労働省事務次官・郵便不正事件えん罪被害者)でそれぞれの経験と再審法改正に向けた思いを語った。
「心に響け~えん罪犠牲者に捧げるミニ・ライブ」と題して、獄友イノセンスバンド(うじきつよし、小室等、谷川賢作、こむろゆい、河野俊二、李政美)、かもん弓バンド(かもん弓、tоmо the tоmо、周防義和、)が熱唱した。
最後に「袴田巖さんの無罪判決と再審法改正の実現を求める一斉アピール」を発言者、狭山事件の無実を訴える石川一雄さん、参加者全体で行った。 (Y)
「袴田巖さんの無罪判決と再審法改正の実現を求める一斉アピール」(9.19)
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