9.16 9条の会・大阪 講演と交流のつどい

憲法9条件のバトンを手渡すために

横の繋がりを求めない、怒らない若者たち

 【大阪】9月16日、エル大阪で「9条の会・おおさか」の講演会が開かれた。
 開会のあいさつで「おおさかの会」の事務局次長の澤野義一さんは、「自民党の総裁候補者は全員憲法改正すると言う。コスタリカやパラオは軍隊を持たないと憲法に明記し、また、20数か国が実体として軍隊を持っていない。憲法9条は極めて現実的な平和を実現する手段である」と訴えた。

都知事選と若者たち

 「夢歩行虚構団」の一二三礼(ひふみれい)さんのピアノ弾き語りの後、菱山南帆子さんの講演に入った。菱山さんは今年の春から「総がかり行動」の共同代表に就いている。
 彼女は自民党総裁選に触れ、「自民党は総裁選を盛り上げて裏金問題等をうやむやにし、改憲に国民の意識を集中させようとしている。立憲野党も一致団結を」と、まず訴えた。
 そして、自分は1989年生まれと自己紹介し、今日の講演の本題、都知事選にみられた若者たちの動向と、彼らとの関わり方についての話に入った。
 「若い人たちは商店会のような組織にも参加しない。また、若い人たちは怒らないとも言われています。彼らにはSNSが大きな力を発揮しています。SNSには節約コンテンツがたくさん流れています。これらを見ていると物価が高いとか税金が高いとかいう怒りがだんだん消えていく。もっと工夫して生きようかなという気になってきます」。
 「怒ったり、デモに行ったり、労働組合に入るよりも、工夫して生活するほうを選んでしまう。つまり、自分の怒りを飼いならしてしまうわけです。会社に不満があっても、労働組合に相談するよりも、転職サイトを見る方が簡単です。会社にも都合がいい。給料が安くても、物価が高くても、手持ちの金を増やす方法というサイトをみればいい」。
 「こうして怒らない人が増え、怒ったり、真剣に関わることが恥ずかしいという気分が蔓延しています。若者も本当はおかしいと思っています。でも何をしていいのかわからない。このもやもやした気分を晴らしてくれるのが、やっても無駄という冷笑気分です。何もできない自分を慰めることができる。ユーチューブには冷笑マインドの人があふれています」。

若者が希望の持てる労働運動を、市民運動を

 「私たちの子供の頃に国旗・国歌法案が成立し、私たちは反対して立ち上がると、痛い目に合うということを学んでしまった。おとなしく生きていこう、目立たないように生きよう、そのための自己を監視するまなざしを持ってしまった」。
 「都知事選における石丸人気もこうした若者の気分の反映です。石丸さんの動画は人気があったが、蓮肪さんの動画は人気がなかった。蓮肪さんは魂のこもった演説をする。とても素晴らしいが、でも、疲れる。石丸さんのはどうでもいい話で、楽に聞ける。楽だから何度も聞くし、広がっていく。疲れ切り、絶望している若者は、疲れる話は聞きたくないのです」。
 「石丸陣営は大金を使い、ネットカフェに大勢の若者を行かせパソコンで石丸伸二を検索させた。次にネットカフェに入った人たちが、パソコンを開きTikTok等を見るとすぐに石丸伸二が出てくるようにした。政治に期待していないから、こういうことにすぐ騙される」。  
 「こういう若者たちに政治に希望が持てるメッセージを出せるのか。自民党や維新には実現できない政策を提示できるのか。その大事な一つがジェンダー平等の実現です。私たちの運動の中でも実現できていません。みなさん、顔とか身長とか体型とかについて話すのをやめませんか。ここから一歩一歩ジェンダー平等の実現に向けて進みませんか」。
 「若者たちは孤独です。弱音を許さない、違いを許さない社会の中で、他者に本音を言えないのです。そうした彼らに未来があるよと言えるような労働運動に、市民運動になっていく。彼らの話を聞き、彼らに語りかけ、彼らとの信頼関係を作り上げていく。そのことが若い人たちを運動に参加させていくキーポイントだと思います」と、彼女は話を結んだ。
 講演の後、九条の会・豊中、堺市の桃山台9条の会、大阪市の城東9条の会の報告があり、最後に「大阪医科歯科九条の会」の中村新太郎さんは、日本生命等の生命保険会社が核兵器に投融資しないと約束したことなどを報告して閉会の挨拶とした。       (山三)

菱山南帆子さんの講演(9.16)

週刊かけはし

購読料
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009  新時代社