「むつ中間貯蔵施設」は下北半島の核ゴミ・永久貯蔵化の第一歩

操業に強く抵抗し抗議する

むつへの使用済み核燃料搬入を許すな

 9月26日午前、青森県むつ市に東京電力と日本原電が建設した「リサイクル燃料備蓄センター」(略称RFS)に使用済み核燃料の初搬入が行われた。搬入されたのは柏崎刈羽原発4号機のプールにあった69体で1つの輸送容器(キャスク)に収められ24日に専用船に積み込まれ、日本海を北上し津軽海峡経由で25日夕方にむつ市の関根浜港沖に到着、翌朝から搬入作業が行われた。
 24日搬出、26日搬入という情報を得て、新潟、青森で搬出、輸送、搬入に反対する行動が準備された。原子力施設現地の行動に連帯する行動が各地で行われた。東京では「再処理とめたい!首都圏市民のつどい」が9月25に計画していた月例行動を広げ、さようなら原発実行委員会との共同の呼びかけで経済産業省と東京電力に対する「9/25使用済み核燃料の搬出に抗議する緊急行動」をよびかけた。この行動に「核のゴミから未来を守る青森県民の会」から連帯のメッセージが寄せられた。この行動で配布された「とめよう再処理!共同行動ニュース」(2024年9月25日発行)に掲載されたメッセージを転載する。(編集部)
 国内初のむつ中間貯蔵施設に50年後の搬出先の見通しもデタラメなまま、核のゴミ・使用済核燃料が搬入され、永久貯蔵化されようとしています。
 アクティブ試験で放射能まみれになり、建設着工から31年も経過しながら竣工延期を27回も繰り返している核燃料サイクル施設の中核で、ポンコツとなっている六ヶ所再処理工場に搬出するからとの回答を経済産業大臣から口頭確認したとの理由で、青森県知事・宮下宗一郎は受入れを決めました。
 宮下知事は、本県初の原子力立地自治体出身の知事です。むつ市長時代から核燃マネーの取り分をめぐって、前職の知事と対立してきました。根っからの核燃推進派で、核燃マネーには県民としては恥ずかしいほど露骨です。
 50年後に、再処理工場に搬出が不可能になった場合の搬出先は、どうなるのか。発生元の原発が廃炉になり、事業廃止した場合はどうなるのか。
 東京電力と日本原電の原発は何基稼働し、使用済み核燃料は何トン発生するのか、うち何トンが六ヶ所で再処理し、何トンを中間貯蔵するのか、両電力のプルトニウム利用、プサーマル計画はどうなのか。
 アクティブ試験で放射性物質に汚染された六ヶ所再処理工場は、人が立ち入ることができないレッドセル内の機器設備が7割を占めます。放射性物質に汚染された1500キロメートルに及ぶ配管、これらの機器の安全性・健全性は保証されるのか。
 国の次期エネルギー計画を確認してから、安全協定の締結を判断すべきではないのか。
 リサイク燃料貯蔵株式会社と親会社である東京電力と日本原電それぞれの輸送、地域の安全と環境保全、そして製造から12年経過した中古キャスクから放射性物質が漏れ、汚染が発生した場合の対応と事故等の責任が不明確のままでよいのかなど、問題は山積しています。
 これら、我々「県民の会」が懸念している事柄を曖昧にしたまま、国も事業者もそして、青森県も受け入れる事にしたのです。まさに、中間貯蔵・全量再処理とは名ばかりであり、核のゴミの永久貯蔵される下北半島です。
「核燃サイクル・全量再処理」方針は、破綻しているにもかからず、いまだもって「錦の御旗」に掲げて、無責任な約束がまかり通っているのです。50年という期間は、単に時間稼ぎの期間です。国と受入れ自治体、事業者の責任のがれの先送りにすぎません。
 首都圏市民と連帯してたたかうこの機会に、「下北原子力半島」の現状について強調したいことがあります。
 「下北原子力半島」には、原子力船「むつ」の核ゴミが貯蔵されています。六ヶ所村には、再処理工場や低レベルと称される膨大な核のゴミの処分場など核燃サイクル施設が林立します。隣の東通村には東通原発、大間町には大間フルモックス原発があります。
 更には航空自衛隊基地や核爆弾装備疑惑のある三沢米軍基地があります。むつ市の海上自衛隊大湊基地には弾薬庫が新増設されることになっています。近隣の東北町には弾薬庫が、そして三沢天ケ森射爆場、六ヶ所村泊対空射爆場の軍事施設、おまけに再処理工場の隣には石油国家備蓄基地があります。
 これら住民無視の極め付きの危険施設が同居し、集中立地しているのが「下北原子力半島」です。国も原子力事業者も、さらには核燃施設を受入れる自治体も、危険性に対する感覚が麻痺していると断言せざるを得ません。一端事故が起きれば、青森県だけの影響にはとどまらず、日本全国に被害は拡大する可能性があります。
 主権者である国民が安全を確保できない、現在の政府の原子力政策は、民主主義とは相入れない政治です。チェルノブイリや福島原発事故を繰り返さないためには、原発や核燃施設の立地自治体と電力消費地が力を合わせて、一日も早い脱原発社会の実現を誓い、連帯のメッセージとします。

2024年9月25日 
核のゴミから未来を守る青森県民の会
共同代表 古村一雄

【核のゴミから未来を守る青森県民の会とは】

 労働団体・生協・農業者団体・反核燃市民団代・その他の団体や個人でネットワークを作り、2020年8月に「青森県を高レベル放射性廃棄物の最終処分地にしない条例」制定を求める署名運動を行い、青森県に請願をしましたが、2022年10月11日の県議会本会議で否決されました。その運動を継承することが必要として、2023年4月15日結成されたのが、「核のゴミから未来を守る青森県民の会」です。

(コメント)
 上記のメッセージは、本日(25日)の東電・経産省前での私たちの行動に対する連帯メッセージです。
 今月24日、東京電力は、柏崎刈羽原発(新潟県)の使用済み核燃料69体を青森県むつ市にある中間貯蔵施設に搬出し、26日に施設へ運び入れる予定となっています。柏崎刈羽原発6、7号機の保管プールは現在容量の上限に近づいており、3~5年で満杯となり原発を動かせなくなってしまいます。使用済み核燃料の搬出は、岸田政権が掲げる原発再稼働を進めるために行われたものです。再処理を前提に最長50年間の保管としていますが、再処理ができなければ核のゴミとして永久に留め置かれてしまいます。核燃料サイクルが破綻しているにもかかわらず、空論を盾に貯蔵し続けようとしています。50年後に政府や東電は責任をとれるのでしょうか? 真摯に現実を直視し、政策転換をはかるべきです。

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