9.19「郵便局員過労死家族会」発足の集い
死をもたらす苛酷な職場環境に怒り
【東京】9月19日午後2時30分から参議院議員会館において、「郵便局過労死家族とその仲間たち」(郵便局員過労死家族会)の発足の集いがおこなわれた。
過労・パワハラによる死に怒り
郵便局で過労、パワハラにより自死・突然死した人の遺族を中心につくられた。共同代表は小林明美さん、(2010年12月自死した、さいたま新都心郵便局で働いていた男性の遺族)。
また同僚からのいじめで局からパワハラを受け、退職を強要されそれが原因で2019年に自死した札幌豊平郵便局に勤めていた男性の遺族も共同代表になっている。
集会は倉林事務局長の司会ではじめられ、共同代表の小林明美さんが「声を出すことは大変。私の場合はたくさんの支援を受けて解決した。今度は私が恩返しする番だ」とあいさつした。次に会の趣旨について、「過労死家族会は被害当事者・遺族として相互に協力し助け合うことはもちろんのこと、相談窓口を通じて被害の予防に取り組むことを決めています。また日本郵政グループ各社に対し、過労死・過労自死・精神疾患を起こさない実効ある取り組みを求める」とした。
韓国での体験にも学びつつ
つぎに弁護団の尾林芳匡弁護士が「郵政と過労死を考える」をテーマにスピーチした。さらに国会議員から社民党の大椿ゆうこ参院議員は「大阪西郵便局で軽微な交通事故を起こした20代の社員に対し3人の管理者が叱責した直後の昼休みに局舎2階で自死した」現場を訪れた話や、7月に韓国を訪問した際、キム・ヨンジュン財団を訪ねキム・ミシュク理事長と話をしたことを紹介した。
キム・ミシュク理事長の息子キム・ヨンジュンさんは火力発電所で働く非正規労働者で、24歳の誕生日を迎えた直後に発電所で一人で夜勤の仕事をしている時、ベルトコンベアに挟まれて亡くなった。
母親のキム・ミシュクさんは事故をキムさんの自己責任と主張する会社に対し、民主労組とともに声を上げ、加害企業を処罰できる法整備を求めて文在寅大統領に働きかける活動を続けた。安全措置義務に違反して産業災害を起こした事業者・経営責任者を処罰する重大災害処罰法が2021年に制定された。母親のキム・ミシュクさんは会社から受け取った和解金で「キム・ヨンジュン財団」を設立し、非正規のない社会、事故被害者をつくらない社会を目指して活動している。
過労死自死の遺族に謝罪せよ
大椿議員の話を聞いて、韓国のように「重大災害処罰法」があれば真っ先に日本郵政グループは該当するでしょう。「過労死等防止対策推進法」はあっても、企業に対する罰則規定はふくまれていない。企業への罰則規定を含んだ法律も必要ではないか、と感じた。
共産党の伊藤岳参院議員からは国会の総務委員会で「さいたま新都心郵便局過労自死の遺族に対して謝罪せよ」と日本郵便の幹部に詰め寄ったことなどが話された。
れいわ新選組共同代表の大石あきこ衆院議員と、共産党の山添拓参院議員からメッセージが寄せられた。北海道、東京、栃木から参加された遺族、家族会から訴訟の現状、地域での取り組み等の発言があった。
「なくしたい、郵便局の職場の過労死、パワハラ」
これまで2001~2024年までに郵便局員過労死家族会が把握している突然死、自死の事例は25件あり、労働災害が認められたのは2件で、あとは声も出せずに終っている。2024年6月までに4件の死亡事例が確認されていて、そのうち3件は新東京郵便局で、「深夜勤」で働いている非正規社員(60代1人、50代2人)であり、持病もなく突然死(心不全)でなくなっている。新東京郵便局は区分局で数千人が働いて、翌日配達物の種分けをしている。
「深夜勤」は通常の夜勤手当より1・5倍の手当となるので、賃金が低い非正規社員の中には「生活」のために「深夜勤」を専門に働いている例もある。
郵政民営化以降、郵政の職場は経営上の不祥事や事務の効率化、営業ノルマ、スキル評価、人件費削減による人員不足で、過酷な労働を強いられている。とりわけ郵便局の集配の職場では非正規で働く期間雇用社員の労働強化につながっている。
すべての職場で働く人たちの人権が守られ、安心、安全に働ける職場環境をつくるためにも、この「郵便局過労死家族会とその仲間たち」の活動に期待するとともに、支援していきたい。 (YK)

人権が守られ、安心、安全に働ける職場環境を
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