「1027」作戦の開始から1年 ミャンマー大使館へ抗議行動
軍政を終わらせるために
【東京】10月27日午後3時から、港区のミャンマー大使館に対して、「1027作戦の開始から1年/ミャンマー大使館への抗議行動」が在日ミャンマー人の呼びかけで行われた。約100人が参加した。
ミャンマー語でミャンマー大使館に向けて、弾圧に抗議するシュプレヒコールを繰り返した。そして、在日ミャンマー人が日本語で訴えた。
「日本人の参加に感謝したい。1027作戦は続いている。3つの少数民族とPDFも戦っている。80の街を支配下に置いた。マンダレー、ネピドー、ヤンゴンにまで到達するだろう。現地では命をかけて戦っている。在日ミャンマー人も戦う」。
「10月26日、4つの村で軍は国民を焼き殺した。生きたままバラバラにした。それが軍隊だ。国民を守ることなく、税金を取って人を殺している。自国民を殺している。人間として扱わない」。
「若者たちが戦っている。命をかけて全力で戦っている。革命が終わるまで戦う。私たちも戦おう」。
支援に駆けつけた熊沢さんが「1027から1年が経った。本当につづくのかと思ったがずっと戦いは続いている。抵抗軍が勝利を収めている。ミャンマー軍による攻撃によって被害が出ている。私の知り合いの弟も亡くなった。軍が国民を殺すのを黙っていられない。日本でサポートすることが出来る。最後まで助け、支えていく。それが我々の義務だ」と述べた。
発言がミャンマー語なので、理解できなかったので呼びかけ文を紹介する。
在日ミャンマー人からの呼びかけ
公開集会への招待状。
「1027」と聞けば、ファシスト兵士たちが静かに震えているのが現在の革命の転換点であることに誰もが気づく…。
10月27日で「1027作戦」開始から1年を迎える。 「波に次ぐ波でやってくる」というスローガンのもと、キャンプを次々と、都市を次々と占領し、軍事独裁政権が完全に根絶されるまで猛スピードで進撃を続ける。
私たちは、「1027作戦」で命を犠牲にした英雄と殉教者に敬意を表し、私たちの兵士たちが戦って成し遂げた未完の革命目標を実行し続ける。
近隣諸国の独裁を長引かせる可能性のある介入に対抗するために、革命同盟軍を全面的に支持する。私たちは日本のすべての民主勢力と民族同胞を招待します。
「前に進もう」 。
以下はミャンマーで起きていることを紹介する。
「1027」作戦とは
「1027」作戦は、ミャンマー東部シャン州で、三つの少数民族の武装勢力がミャンマー軍に対して一斉攻撃を開始した作戦の名前。三勢力とは、東部シャン州を拠点とする「ミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)」と「タアン民族解放軍(TNLA)」、それに西部ラカイン州に本拠を置く「アラカン軍(AA)」。
幾つかの町や大小400を超える軍の拠点、さらに貿易に不可欠な中国沿いの国境検問所などを奪い取った。次いで西部ラカイン州でアラカン軍も攻撃を開始し軍に打撃を与えた。その後、戦闘は西部のラカイン州にも広がり、国の東西から軍への圧力を強めていった。
こうした動きに民主派勢力も呼応して攻勢を強め、同時多発的な動きに対応が難しくなった軍は各地で拠点を奪われ、投降や脱走する兵士が増えていった。ミャンマー軍の兵力は40万人あるといわれていたが、2024年4月末現在、13万人にまで減少したとみられている。軍は2月、徴兵制を実施すると発表したが、多くの若者がタイ国境などに逃れた。
「1027作戦の第2弾」が始まった
マンダレー(ミャンマー第二の都市)の市民防衛隊(PDF)が、市内のミャンマー軍中央司令部を制圧する計画を明らかにし、大規模な戦闘もあると市民に注意を呼び掛けた。
「1027作戦の第2弾」が始まった6月27日以降、PDFはマンダレー管区のマタヤやシンクー、タベイチンなどの郡区でミャンマー軍基地を制圧しており、マンダレー中心部の制圧も計画している。
9月3日には、アウンミェターザン郡区の宮殿内にあるミャンマー軍中央司令部を迫撃砲で攻撃。大佐1人を含むミャンマー軍兵士7人が死亡し、30人以上が重軽傷を負った。
ミャンマー軍は都市部での警備を強化しており、周辺郡区では空爆や重火器による砲撃を繰り返している。
軍は最大の危機に直面
2021年2月のクーデター以来、軍は最大の危機に直面している。ミン・アウン・フライン総司令官は昨年12月、異例にも“政治的対話”による問題解決を呼び掛けたが、少数民族側は応じていない。国連人道問題調整事務所(OCHA)によれば、10月の蜂起で新たに60万人以上の国内避難民が発生、クーデター以降の国内避難民は計300万人を超えた。また国民の3人に1人に当たる1860万人が人道支援を必要としており、その数はクーデター前の約19倍。OCHAは人道支援のため9億9400万ドル(約1030億円)が必要と見積もるが確保のめどは立っていない。国外に逃れたロヒンギャの人たちの苦境も続いている。
シンクタンクの米国平和研究所(USIP)の推計によると、軍事政権は、哨戒拠点や基地、司令部など軍事拠点5280カ所の約半数のほか、以前は国軍が統制下に置いていた少数民族地域の60%で実権を失いつつある。
ミャンマー国軍は現在、バングラデシュ、中国、インド、タイとの主要な国境地帯でさまざまな反体制グループの混成軍と戦闘を繰り広げているが、タイの政府当局者と外交関係者によると、今後6カ月間でそうした地域の実権をすべて失う可能性もあるという。
ミャンマー軍を支えるロシアと中国
ミン・アウン・フライン総司令官は2021年6月と、2023年7月にもロシアを訪問、反欧米で連携するとともに軍事技術や経済協力の強化を懇請した。ミャンマーが数少ない支援国であるロシアと関係を強める一方、ウクライナとの戦争で孤立するロシアも軍によるクーデターを支持する立場を明らかにしている。ロシアはミャンマーへの武器輸出を拡大させており、さらに軍事訓練にミャンマー軍兵士らを招待するなど軍事交流もしている。
また中国は国境を接することや少数民族問題も関わり、すべての面でより深く重層的な関係にある。中国は一帯一路政策でミャンマーに接近する動きを強めている。中国内陸部からミャンマーの領土を南下すればベンガル湾やアンダマン海に至る。このルートを用いれば、マラッカ海峡や南シナ海を経ずに中東の石油・天然ガスをパイプラインで中国まで輸送できる。
中国はミャンマーにとって輸出、輸入とも最大の貿易相手国だ。さらにミャンマーは地下資源が豊富なことから、中国は翡翠やルビー、金の採掘、銅山などの鉱山開発事業に取り組んでいる。
ロシア、中国のミャンマー軍への支援をやめさせなければならない。
国民統一政府(NUG)・ゾー・ウェー・ソーさんの日本政府への訴え
今年5月に、NUGのゾー・ウェー・ソーさんと少数民族組織のカレン民族同盟(=Karen National Union 以下 KNU)議長のパドー・ソー・クウェ・トゥー・ウィンさんの代表団が日本への緊急支援の要請を行った。NUGのゾー・ウェー・ソーさんがNHKのインタビューに答えて、以下のように日本に対して支援を訴えた。
—ミャンマーとしては、現状は変わってきている。去年、おととしとは同じ状況ではない。変化を理解し、政治変化をうまく利用し、経済制裁することや軍、独裁者に対していま空爆をしている軍用機の燃料をカットすること、軍が武器を購入するための外貨をカットするほか、国際組織と手を組んで、近隣国と手を組んで、そういう政治変化をサポートできると思います。
しかしそれ以上に重要と考えているのが、教育と保健分野の支援です。いずれもクーデター後、壊滅的被害を受け、緊急支援が必要です。民主派が支配した地域には教育と保健分野に関してはNUGがサービスできるように、少数民族と手を組んで頑張っているので、国際社会に対して、支援を求めているところです。
軍は自分の利権だけを見てクーデターを起こした。みんなを困難な状況にしました。その結果、若者の未来が失われているわけです。 このような国の将来のため、若者のため、私たちは今の時期、すべてを捨てて闘っているわけです。日本としても、教育分野への支援実績があります。ぜひ支援をお願いしたいと思います—
日本政府は既存のODA(政府開発援助)案件を継続したままだ。過去に、ミャンマーの軍事政権に援助を提供し、返済されなかった債務の多くを免除し、間接的にミャンマー軍の体制を支えてきた。軍を通さない援助を日本政府は行うべきだ。
(滝)

ミャンマー大使館抗議行動(10.27)
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