11.9 Stop!辺野古埋め立てキャンペーン10周年記念シンポ&『〈会社〉と基地建設をめぐる旅』刊行を祝う会

大浦湾埋め立て企業は
 辺野古基地建設から撤退せよ

 【東京】11月9日午後6時半より、東京ボランティア・市民活動センターで「Stop!辺野古埋め立てキャンペーン10周年記念シンポ&『〈会社〉と基地建設をめぐる旅』刊行を祝う会」が開かれた。
 会場には「大成建設は辺野古の工事をやめろ!」「日本工営 辺野古の承認なき設計受注はオカシイぞ!」など、受注企業を批判する横断幕やプラカードが飾られて、10年間の運動の積み重ねを実感できるものだった。

1部 「戦争加担企業への責任追及―基地・兵器・強制動員をめぐって」

 Stop!辺野古埋め立てキャンペーンは、2014年2月に発足して10年、辺野古の海を埋め立てている企業(大成建設など)への抗議を始めてからも12月で10年となる。10周年を記念して、企業の戦争加担に関して活動を続けている方の報告を受けて、今後の展望をさぐった。
 報告者は次の方たち。加藤宣子さん(Stop!辺野古埋め立てキャンペーン共同代表)、杉原浩司さん(武器取引反対ネットワーク[NAJAT]代表)、竹内康人さん(強制動員真相究明ネットワーク会員)。

加藤さんの報告。埋め立て企業を追及して10年の闘い

 2013年末に仲井眞沖縄県知事の辺野古埋め立て承認を受けて、基地建設に群がっている企業に建設をやめさせることが重要だとして、2014年2月に辺野古埋め立てに反対するキャンペーンを始めたこと、10年にわたる受注企業への地道な抗議行動について報告した。今年7月には、「代執行を許さない受注企業への一日アクション」7社(大成・五洋・東洋・東亜・大林組・安藤ハザマ・日本工営)を行ったこと、大成・五洋・大林組に対しては、株主総会抗議や入社式抗議も実施、ハガキキャンペーンは3回実施した。
 加藤さんは、具体的な成果はあがっていないが、大成建設などは抗議行動を気にしている。これからも粘り強く闘うので参加してほしいと訴えた。

杉原さんの報告。「虐殺加担企業を名指し、追及すること」

1.この間の取り組みから

(1)10月16日~19日、東京ビッグサイトで行われた国際航空宇宙展(ガザ虐殺兵器展)への抗議。日本航空宇宙工業会が主催し、防衛省・外務省・経産省などが後援。参加企業はエルビットシステムズ(イスラエル最大の軍需企業)、ロッキード・マーチン、ボーイングなどが参加。初日・最終日には130人で抗議。展示ブースでも抗議し、エルビットのブースを閉鎖に追い込んだ。
(2)ジェノサイド加担企業への追及=BDS(ボイコット、投資引き揚げ、制裁)運動。
 無印良品のイスラエル進出やイスラエル軍事見本市へのソフトバンクの出展・協賛・講演を阻止した。エルビットシステムズと伊藤忠アビエーション・日本エヤークラフトサプライとの協力覚書の終了(24年2月)。マレーシアがファミリーマートの出店に圧力をかけたのが、同社を運営する伊藤忠のエルビットの協力終了になったのではないか。一定の成果が出ている。
 防衛省によるイスラエル製の攻撃型ドローン輸入を止める取り組みが必要だ。
 住商が運営する、スーパー「サミット」、ドラックストア「トモズ」、ケーブル通信のJ:COMを使わない。
 小型の自爆型ドローン310機分の取得費30億円を2025年度概算要求に計上。
(3)大軍拡・武器輸出加担企業への追及
 三菱重工:ミサイル特需、川崎重工:島しょ防衛用新対艦誘導弾、三菱電機:フィリピンに防空レーダー輸出など、IHI:米国にF35戦闘機のエンジン部品を売却。
 日本消費者連盟、主婦連合会とともに、ボイコット・ハガキキャンペーン。
 (4)ジェノサイドを行っているイスラエルへの燃料供給に反対するキャンペーン。

2.対企業運動の特徴と弱点、そして課題

 対象を絞り込み、相手の嫌がることをする、首都圏に官庁と企業の本社が集中しているので、緊急対応や集中的なキャンペーンが可能な余地を確保しておくのがポイント。
 敵基地攻撃兵器の製造(三菱重工・川崎重工本社/三菱重工小牧工場、川崎重工岐阜工場)→保管(祝園[ほうその・京都]・大分弾薬庫)→運用(湯布院駐屯地、琉球弧)の現場をつなぐ取り組みを。弾薬庫建設や司令部地下化で潤うゼネコンは辺野古埋め立て加担とも重なっている

3.私たちは何をどこまで押し返すのか

 エマニュエル駐日米国大使が4月7日に発言をしていた。
 「岸田首相は2年間で、70年来の政策の隅々に手を入れ、根底から覆した。防衛費のGDP比2%への増額、反撃能力保有、そのためのトマホークの購入に踏み切った。防衛装備品の輸出にもメドをつけた。日本は今や米国にとって完全なる安全保障のパートナーだ」。
 この2年でここまでやられたわけで、私たちは少なくとも2年前まで押し返さなければいけない。どうやって押し返すかということを平和運動は議論しなくてはいけない。力をつけて立憲民主党に対してもしっかり声をぶつけていくなかで、国会も変わった条件を生かして、私たちが立て直すことが重要だ。

竹内さんの報告。企業の戦争責任追及 強制動員慰謝料請求権確定以後

はじめに

 現代戦争の特徴 宇宙の軍事化、予防先制攻撃(ミサイル防衛)、AI・ロボット兵器、平時と戦時の連続性。企業による兵器生産・基地建設・復興事業での利権拡大

1 強制動員企業の戦争責任
 ①2018年、韓国大法院強制動員判決、その後、2023年末から24年にかけても判決。
 ②日本政府は強制労働を否定、判決を国際法違反とする。
 ③2018年判決後、韓国で第2次訴訟。
 今後、動員被害者が勝訴する見込み、問題は未解決。韓国政府の第三者弁済では解決せず。

2 大倉土木(大成建設)と強制労働
 ①強制連行前史 新潟県、中津川(信濃川支流)虐殺事件
 ②強制連行期(1939~45年)
 ③大倉土木(1939~45年)の主な現場
 発電・隧道関係、軍需工場関係、朝鮮や台湾、中国、南方でも工事。
 ④戦時、陸軍は軍建協力会、海軍は海軍施設協力会で戦争協力

おわりに 強制連行の企業責任、その解決

 ①植民地支配の反省、韓国併合の不法、強制性、その下での動員の不法、強制性真相究明~事実認定、尊厳回復~謝罪・賠償、遺骨返還、記憶継承~追悼、教育。強制動員企業が中心になり、強制動員被害救済基金を。
 ②ビジネスと人権に関する指導原則(国連)に従うこと。

2部 『〈会社〉と基地建設をめぐる旅』(加藤宣子著)刊行を祝う会

著者の加藤宣子さんの発言

 パワーポイントを見ながら説明した。

 「ゼネコンと国策―辺野古受注企業の知られざる歴史―」を作った時に、国会図書館で「基地建設」で検索したところ、論文が一冊しかなかった。これってひどいと思い、こういう本がないので書いてみたいと決意した。陸軍の浜松基地は浜松市と日本楽器(現ヤマハ)が誘致した。浜松基地を作ったのが大倉土木だった。本を読んだり、基地の現場に行った。
 2014年8月辺野古に行き、海上で海保に乗っ取られた。船長は羽交い絞めにされ、私も動けなくされた。ものすごい怒りが持続した。
 土砂を切り出している安和を上空から見た写真――山は崩され、ズタズタにされている様子が映っていた。移植されたサンゴ、工業用ボンドで海底にくっつけられているだけ。大浦湾側の軟弱地盤に鋼管杭が打ち込まれている。
 全国の基地を巡った。浜松、旭川、佐世保、岩国、呉、小松、松代(大本営跡)。基地建設をめぐる旅で、各地の市史にもたくさん出てくる。各地の図書館にも行った。
 旭川はアイヌの土地を奪って基地を作った。呉は工廠が多く船の修理とか船を造っている。佐世保・米軍基地は人やモノを積むことが多い。小松基地は受刑者を使った。キャンプハンセンは沖縄の企業の國場組だけで作った。岩国基地は2017年に拡張が完成して、嘉手納がアジア最大の米軍基地だったが、駐留機数では岩国が最大基地になっている。呉は日鉄跡地を防衛省が買うことになっていて、広島周辺も巨大な基地群になっている。石垣島には火薬庫が作られている。
 各地の図書館ともう一つ重要な図書館がある。それが築地にある産業建設図書館。社史がそろっていて、貸し出しをしている。そこに通いひたすら社史を読んだ。建設会社は自分たちが作ったものを誇っている。基地であれなんであれ、そこに重要な情報がある。ひどい自然破壊があり、基地を作れば戦争は近づいてくる。日刊建設新聞などもあり、沖縄防衛局などの入札の情報が載っている。
 題名を「〈会社〉と基地建設をめぐる旅」とした。何でなのかというと、会社への違和感を大学時代から持っていた。24時間戦えますかというコマーシャルを見た時に、私は戦えないと思った。会社でない所で人生生きられないと思い、NGOに入ることになった。

 加藤さんのお話の後、竹内さんがギターで沖縄の歌と加藤さんをねぎらう歌詞を入れて素晴らしい歌を披露して大いに会場を沸かせた。そして、Stop!辺野古埋め立てキャンペーンの仲間たちが苦労をねぎらい、出版を祝う花束を加藤さんに送った。会社の戦争責任を問う集いとして内容が濃いものであった。ぜひ、皆さんも加藤さんの著作を購入し、運動に参加してほしい。
(M)

『〈会社〉と基地建設をめぐる旅』(加藤宣子著、出版社 ころから、1800円+税、11月22日発売)
 

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