2.5韓国市民の尹錫悦政権退陣民主化闘争連帯

朝鮮半島と東アジアの平和確立へ
日本と朝鮮半島の新たな連帯運動を

 【東京】2月5日、「『私たちは韓国市民の尹錫悦政権退陣民主化闘争に連帯します』連帯声明」は、参議院議員会館講堂で日韓両国の市民と国会議員による院内集会を行い、180人が参加した。
 昨年12月3日夜の、韓国の尹錫悦政権による非常戒厳令宣布をきっかけにして、現在、韓国において尹錫悦政権に対する抗議運動が高揚している。日本の市民運動圏では12月16日から年末までの2週間に「私たちは韓国市民の尹錫悦政権退陣民主化闘争に連帯します」という共同声明運動が取り組まれた。集会は、韓国の仲間たちを迎え、新たな連帯運動の取り組みに向けて行われた。

 集会は土井登美江さん(許すな!憲法改悪・市民連絡会)の司会で始まった。
 主催者あいさつが金性済(キム・ソンジェ)さん(日韓和解と平和プラットフォーム書記)から行われ、「12月19日の戦争させない!9条壊すな総がかり行動に来日したキム・ギョンミンさん(韓国YМCA全国連盟事務総長)をお迎えし、演壇から韓国民主化闘争への連帯を呼びかけた。その後、日本で『私たちは韓国市民の尹錫悦政権退陣民主化闘争に連帯します』連帯声明を起草し、昨年末までに140団体が賛同署名してくれた。韓国では毎週土曜日、尹錫悦政権退陣を迫る集会が行われ、日本へのメッセンジャー派遣が提案され本日の集会が実現した。日本の国会前の『19日行動』とソウル日本大使館前の『19日行動』が連帯メッセージを交換し続けられてきた」。
 「韓国民主化闘争は、大統領一人を退陣させるだけではなく、朝鮮戦争の終結をめざし、朝鮮半島と東北アジアの平和の確立に向かって進みつつある。さらに日米韓軍事同盟強化による大軍拡路線に突き進む日本に対して、今こそ憲法9条の精神が日本と朝鮮半島をはじめ東北アジアを戦争の危機から守る意義がある。2025年は、日韓基本条約締結60年、日本の敗戦80年、朝鮮半島の植民地支配からの解放80年の年だ。1910年以来の日本と朝鮮半島の歴史に対して誠実に向き合い、その歴史責任の深い反省が求められている。日本と朝鮮半島の南北政府との真の国交正常化をはたす道を模索し、実現する課題と韓国民主化闘争に連帯していこう」と呼びかけた。
 イ・ヨンソンさん(共に民主党国会議員)からのメッセージ紹介。

パク・ソグンさん(尹錫悦即刻退陣社会大改革緊急行動共同議長/進歩連帯常任代表)の報告

「尹錫悦退陣闘争の経過と課題」


 昨年11月には、尹錫悦退陣闘争はそれぞれ異なる流れがあった。最小綱領方式と最大連帯方式ですべての主張を合わせたひとつの広場を作ろうと提案された。11月16日、尹錫悦を拒否する1日大行進が異なる団体が共同主催した。院内野党も参加し、10万人の広場が開かれた。この闘争の流れは、11月23日の第二次市民大行進、11月30日の第三次市民大行進へと続いた。
 12月3日、尹錫悦大統領は、奇襲的に非常戒厳を宣布したが、即刻の市民の抵抗と国会の迅速な戒厳解除議決によって親衛クーデターは、第一段階で阻止された。翌日から本格的な抵抗運動が組織されはじめた。国会前で退陣集会、行進が行われた。国会で弾劾訴追案が上程される12月7日には、100万人以上が参加する集会が行われた。12月14日は、国会前に200万人が参加する集中集会が行われた。この日、国会で尹錫悦弾劾訴追案が可決された。12月21日から22日、トラクター農民たちとの連帯も実現した」。
 「1月19日、尹錫悦は、内乱を起こした罪によって逮捕された。これによって尹錫悦退陣の第三段階の通過となった。
 光化門広場では軽快な風刺、様々な人々が集まって『弾劾棒』という光る棒を持って行進を進め、若い女性たちが先頭にたっていた。『弾劾棒』を持って歌を唄いながらの抗議行動は新たな文化として定着している。
 尹錫悦退陣は、憲法裁判所の大統領罷免宣告が出るまでの第四段階が残っている。これから大統領選挙を通して政権交代の第五段階へと進められる。憲法裁判所の弾劾裁判は2月末か3月はじめに宣告される。以後、60日以内に大統領選挙を行うことになる。
 現段階で尹錫悦退陣運動の核心的課題は、内乱を早期に終息させる社会大改革を広場で客観化するものだと思う。尹錫悦即刻退陣社会大改革緊急行動は、11課題の小委員会を設置し、具体的な論議を進めている。
 日本の同志の皆様の力をお借りできればと思います。

キム・ギョンミンさん(韓日和解と平和プラットホーム共同代表/韓国YMCA全国連盟事務総長)の報告
東アジア諸国間の平和模索共に

 大韓民国の民主主義と朝鮮半島分断体制は、深く関わっている。韓国の軍事独裁勢力は、北からの脅威から大韓民国を守るという名目で独裁と人権弾圧を行ってきた長い歴史がある。尹錫悦政府も2024年4月の選挙での大敗以降、繰り返された失政、腐敗事件によって支持率が20%以下に落ちた。戦争挑発、非常戒厳のカードを使うのではないかという危険があった。韓国の民主化は、平和運動の形態で進められてきた。
 アメリカの対中国圧迫戦略という東アジア覇権、石破のアジア版NATO、韓米日軍事同盟は、中国、ロシア、北朝鮮を排除し、制圧するという限界がある。南北間の緊張を高め、尹錫悦政権の戦争挑発と非常戒厳宣布の誘惑をつくる環境を提供してきた。
 北が2023年12月、大韓民国を交戦中であり、敵対国として規定することによって、すべての対話を断絶した。形式的な側面からみれば分断体制から両国体制へと転換したと言える。
 両国体制に基盤を置いた朝鮮半島平和政策に対する模索が必要だ。とくにトランプ政権による米朝対話の可能性、日朝国交の可能性は、東アジアと朝鮮半島で新しい環境、軍事的環境が開けるきっかけとなると思う。東アジア諸国間の平和の模索が必ず必要であり、日本と韓国の市民社会がともにはたらきを始めればと思う。

チェ・ヒョンファンさん(全国金属労働組合クミョム支部 韓国オプティカルハイテック支会/支部長)の報告
韓国オプティカルハイテック労組の闘い

 「日東電工は火災保険の補償金を本社の利益として懐にいれてしまっているが、燃えてしまった工場では2人の女性労働者が屋上に上って籠城の闘いを続け、すでに1年以上も経っている。
 私たち組合員は、広場で叫ぶ尹錫悦退陣だけでなく、『新しい民主主義』のために闘っている。腐った政治家が逮捕されるだけでなく、多国籍企業と国家が労働者をないがしろにしない人間の尊厳が守られる真の民主化を望んでいる」と述べ、日本の仲間たちに支援を訴えた。

 労組の闘い経過─韓国オプティカルハイテックの親会社は日本の日東電工。
 2022年10月4日、火災で工場棟が全焼。保険も下り、再建が可能であったにもかかわらずオプティカルハイテックは会社清算することを決める。
 現在、7人の組合員が労組事務所で闘い続けている。24年1月8日には女性組合員2人が屋上での無期限の高空籠城に突入(以降、25年2月10日で400日目)。

 日本の市民も
 次々連帯表明

 続いて日本側市民の連帯発言が以下の仲間たちから行われた。
 小田川義和さん(戦争させない・9条壊すな!総がかり行動共同代表)、12月3日の韓国戒厳令の現場にいた布施祐仁さん(フリージャーナリスト)、渡辺健樹さん(日韓民衆連帯全国ネットワーク共同代表)、菱山南帆子さん(戦争させない・9条壊すな!総がかり行動共同代表)、武田隆雄さん(平和をつくり出す宗教者ネット共同代表)。
 半田歓喜さん(日韓ユース平和フォーラム)が「韓国民主化闘争連帯声明」を朗読した。
 閉会あいさつを野平晋作さん(ピースボート共同代表)が行った。
 集会では、立憲民主党、共産党、社民党の国会議員があいさつした。(Y)

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