2.11大阪「建国記念の日」反対! 戦争NO!「日の丸・君が代」強制反対!集会

教育現場に天皇制を持ち込むな
170人が参加し、交流深める

 【大阪】2月11日、大阪・浪速区民センターで、「建国記念の日」反対!戦争NO!「日の丸・君が代」強制反対!集会が開かれ、170人が参加した。主催は「日の丸・君が代」強制反対・不起立処分を撤回させる大阪ネットワーク(ひのきみ大阪ネット)で、今年のテーマとして「生活破壊・人権抑圧を許さず、民主主義と人権・平和への前進を」が掲げられた。
 この2・11集会は、ひのきみ大阪ネット(およびその前身の「ひのきみホットライン大阪」)の主催で毎年開かれてきたが、会場のホールには多くの団体がブースを設置するなど、「日の丸・君が代」問題にとどまらず、さまざまな課題を共有する場としても大きな役割を果たしてきた。

 集会の冒頭では、ひのきみ大阪ネット共同代表の寺本さんが主催者あいさつをおこなった。寺本さんは「処分撤回の闘いでは、故山田さんの人事委での処分撤回、井前さんの大阪高裁での処分撤回、そして梅原さんの再任用拒否国賠訴訟での勝訴と三つの大きな勝利をかちとった。裁判闘争は昨年に一応の終結を見て、ひのきみ大阪ネットの活動も新しい段階を迎えている」と述べ、集会の成功と集会後のデモへの参加を訴えた。

「日の丸・君が代」処分をはね返そう!

 集会のメインとなる講演は、桜井智恵子さん(関西学院大学)が「『ケアする学校』と生政治」というタイトルでおこない、フーコーの生(せい)権力や生政治という概念を用いながら、権力支配の構造を人々が内面化して、自ら権力支配に身を投じてしまうという状況からどのように脱却していくのかを問題提起した(講演要旨は別掲)。
 講演に続いて、組合弾圧と闘う全日建連帯労組関西生コン支部の武谷さんがアピールをおこない、会場では支援カンパが訴えられ、6万円近いカンパが寄せられた。
 休憩のあと、桜井さんの講演に対する質疑があり、会場から寄せられた質問が司会から紹介され、桜井さんがその質問にていねいに答えていった。集会の後半では、大阪の被処分者の闘争報告、東京と名古屋からの参加者の特別アピール、さまざまな運動を担う仲間からの連帯発言が次々におこなわれた。

東京の被処分者は484人

 大阪の被処分者の闘争報告では、松田さんが大阪市教委や各学校に「卒業式を『卒業証書授与式』と呼ぶのをやめる」ように訴えるとりくみを報告し、奥野さんが「障がいを持つ子どもたちへの合理的配慮」の問題を国際機関に訴えていきたいと今後の闘いについて述べた。特別アピールでは、東京の青木さんと名古屋の小野さんが発言にたち、青木さんは「東京では10・23通達以降の被処分者は484人に上る。現在も不起立処分撤回第5次裁判闘争が闘われている。これからも連帯して闘っていきたい」と発言した。
 連帯発言は、朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪の大村さん、子どもたちに渡すな!危ない教科書・大阪の会の伊賀さん、大阪市教育行政のあり方を問う文書訓告取消の大阪弁護士会人権救済申し立てをおこなっている久保さん、夢洲カジノを止める大阪府民の会の山川さん、南西諸島への自衛隊配備に反対する大阪の会の堀さん、京都・祝園ミサイル弾薬庫問題を考える住民ネットワークからのメッセージ(代読)、市民デモHYOGOの梶原さんがおこなった。そして最後にひのきみ大阪ネットの山田さんが行動提起をおこない、参加者で会場の撤収作業をおこなったあと、デモ行進の準備に入った。
 デモは宣伝カーを先頭に、若者たちが多く集まる「アメリカ村」を経由して、難波までのコースでおこなわれ、歌も交えながら、休日で賑わう繁華街の人々に訴えを響かせた。(О)

桜井智恵子さんの講演
「ケアする学校」と生政治

桜井智恵子さん


 「日の丸・君が代」は私たちの心の中に、反論できないという構えを作ってきた。できるだけ違うことを言わない、周りに合わせて生きてゆくという時代の中では、反論するとか、浮くというのは許せないことになっている。高齢者の孤独死を防ぐために作られたアプリが、誰かにSOSを出すことのできない20代、30代に一番使われているという報道があって驚いたが、どうしてそうなったかは報道されない。いまは私たち自身が私たちを支配しているという構造になっている。
 困っている子どもや先生がいれば、なぜ困っているのかは横に置いて、まずケアしましょう、となっているのはどうしてかを考えていきたい。新しい学習指導要領では、学校の中身はグローバルな人を作るということは変わらず、小学校からきちきちの授業時間を入れている。その枠の外に置いていかれた人には「ケアをする」というのが「ケアの政策化」。90年代以降、問題があれば「心の問題」「親子関係の問題」という流れが強くなり、心理学と国家が結びつき、問題の背後にあるものを探るのではなく、とにかく「ケアする」ということになってきている。「ケアする学校」という考え方が便利に使われ、貧困など大変なところに置かれている親や子どもに対して、貧困をどうするかではなく、学力を上げるための「ケア」をするのだという。

「生政治」のロジック

 「ヤングケアラー」についても、ケアを受けている親などをきちんと社会的にサポートするのではなく、ケアをしている若い人に対象をずらしているところが問題。「ケア」を取り出して一番得をするのは、経済や政治に関わる人々で、自分の仕事は何も変えずにすむから。ケア労働は必要で、大事なものだが、「切り離した上で依存する」ものである「ケア」の取り出しは、資本主義の政策であることを考えなければならない。
 フーコーは、人々が規律を内面化し、それが権力となっていることを指摘した。人々の生死をもコントロールし、生産性の高い人を確保する、人々を限界まで働かせ、その一方で公衆衛生や「心のケア」をしていくという今のあり方は、フーコーの言う「生(せい)政治」そのもの。「人的資本」を作る(フーコーによれば、「収入を生み出す能力を備えた機械を作り出す」)ことの補完として「心のケア」がある。
 「かわいそう」という感傷主義、イバン・イリイッチによれば「解放されなければならない者に対して感傷的な関心をもつこと」は、「環境を強奪してきた社会において、何ひとつその代わりとなるものが知られない場合には」ごまかしになる。なぜケアが必要な状況にあるかの原因と解放の行方が見逃され、システム化された隔離へと向かうのが「生政治」のロジックである。人間的な価値にもとづく「主体」と配分に向けて、そうした話を「他の人々」としていくことが大事。

難波まで「天皇制反対!『建国記念の日』反対!」をアピール(2.11)

週刊かけはし

購読料
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009  新時代社