3.2上野千鶴子さんがオンライン講演

介護保険の危機にあたって

医療介護を守りぬこう

 【岩手】3月2日、盛岡市民文化ホール(マリオス)で、「安心して暮らせる地域へ~医療・介護を守り抜こう‼3・2県民集会」が、開かれた。地域医療を守る岩手県連絡会の主催で、オンラインも含めて200人近い参加であった。上野千鶴子さんがオンラインで、「ケアする人、ケアされる人、どちらも守りたい~介護保険の危機に当たって~」と題する記念講演を行った。

劣悪な介護現場

 家族介護が当たり前で、家族の負担も大きく、介護を受ける側も権利意識が弱く、虐待も多かった介護保険制度のできる前の時代を振り返り、制度ができて24年立った今、受ける側の権利意識の向上や、介護職の人材が育ってきたことを大きな成果として強調された。そのため、「在宅一人死」が可能になったことが紹介された。
 その一方で、この制度を逆行させようとするような動きが加速し、介護保険が危機に直面している状況が報告された。ホームヘルパーの3人が、労基法も守れない訪問介護の職場を事業者責任にして放置する政府に対して、このままでは訪問介護が崩壊するとして国家賠償を求めて裁判になっていること、労働条件が劣悪な中で、介護の資格を持つ人の半分近くは介護現場で働いていないことなど、せっかく育った人材が苦労し・辞めていく現状があること、介護施設の倒産が激増していることが報告された。また、利用者の負担も大きくして、介護保険を利用しにくい方向へ誘導し、介護の再家族化・市場化の方向へ誘導しようとしているように見えるとの主旨の指摘があった。ユーチューブで「史上最悪の介護保険改定」「こんなはずじゃなかった、介護保険」もぜひ見てほしい。防衛費を少し回すだけで介護保険制度は十分維持できると訴えられた。
 講演後に、久慈地域医療を守る会から県立久慈病院の医師不足の解消を求める活動の報告、岩手県ホームヘルパーの会から深刻な人材不足や報酬引きさげで、訪問介護事業が危うくなっていることが訴えられた。 
(S・T)
 
 

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