東京高裁の合憲判決を糾弾する

「結婚の自由をすべての人に」東京2次訴訟
性的マイノリティの権利保障を

 11月28日、東京高等裁判所(東亜由美裁判長)は、「結婚の自由をすべての人に」東京2次訴訟について、「法律上同性の者同士の家族に関する法制度が存在しないことは、憲法に違反しない」と不当判決を言い渡し、原告側の控訴を棄却、国への賠償請求を認めなかった。
 同性カップル8人の原告団は、法律上の性別が同性であるカップルの婚姻を認めない民法や戸籍法の規定は、①「婚姻の自由」を定めた憲法24条1項、②「個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚した立法」を定める24条2項、③「法の下の平等」を定める14条に違反すると訴え、国に損害賠償を求めた。
 1審の東京地裁は24年3月、現行の規定や同性カップルの利益のための制度がない現状について「個人の尊厳に関わる重要な人格的利益を一切享受できない状況にある」と認め、憲法24条2項に「違反する状態」と判断していた。だが制度の構築は国会に委ねられると丸投げ姿勢だった。

国の主張をほぼ受け入れ

 高裁判決は、「憲法改正当時の社会状況などを総合すれば、憲法24条は、伝統的な婚姻形態である両性、すなわち異性間の永続的な精神的、肉体的結合を目的とした人的結合関係を「婚姻」と定めたと解される」などと強引な解釈を行った。
 また「異性同士の関係を『婚姻』として定めたものと解釈されている」と断定し、「同性同士にも適用されるとは解釈できず、同性同士の『婚姻』を保障しているものとは言えない」とした。憲法24条2項についても、「国会の立法裁量の範囲を超えるものとみざるを得ないような場合には当たらない」として合憲と判断した。
 「法の下の平等」を定める14条の違反に関しては、「夫婦とその間の子どもを一つの家族の姿として想定する制度設計はなお合理的なもの」とし、「法制度がないことを原因として、法律婚を利用できるかできないか区別が生じていることについては、合理的な根拠に基づかないとまで断じることが困難」とした。これまでの家族主義と家父長制的あり方の防衛のために多様性を無視した論理展開を行った。
 そもそも憲法24条の「両性」の文言は同性間の人的結合関係に法的な保護をしないという趣旨ではない。配偶者としての法的身分関係の形成ができることが、個人の人格的存在と結びついた重要な法的利益であり、男女間と同様に同性間でも尊重されるのは当然だ。判決は、固定的な「家族の姿」をでっち上げ、大きな誤解をしている。婚姻は、自然生殖可能性が不可欠が目的ではない。
 これまでの国の暴論、すなわち「婚姻の目的は男女が子どもを産み育てながら共同生活を送る関係を保護するもの、カップルの間で自然生殖可能性のない同性カップルは当てはまらない」(東京地裁での国の主張)などと差別主義に満ちた生殖関係保護説を土台にしている。

札幌高裁の憲法24条1項の解釈を想起せよ

 札幌高裁(24年3月14日)は、「憲法24条1項は文言上両性間の婚姻を定めているが、個人の尊重がより明確に認識されるようになったとの背景のもとで憲法24条を解釈することが相当である」と社会状況の流れをひきあいにだしている。「同性婚導入」の流れがあるのだから「憲法24条1項は、婚姻をするかどうか、いつ誰と婚姻をするかについては、当事者間の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきであるという趣旨を明らかにしたものであり、このような婚姻をするについての自由は、同項の規定に照らし、十分尊重に値する」と当然のごとく断言していたではないか。
 さらに「憲法24条2項は、婚姻及び家族に関する事項についての立法に当たっては、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚すべきと定めている。そうすると、性的指向及び同性間の婚姻の自由は、個人の尊重及びこれに係る重要な法的利益であるのだから、憲法24条1項は、人と人との間の自由な結びつきとしての婚姻をも定める趣旨を含むものであって、異性間の婚姻のみならず、同性間の婚姻についても、異性間の場合と同じ程度に保障していると考えるのが相当である」と強調していたではないか。
 不当な判断をしていながら東京高裁判決は「性自認などに従った法令上の扱いを受けることは重要な法的利益であり」、「このままの状況が続ければ憲法違反となることは避けられない」と明記し、結局は「現時点ではまずは国会内で審議が尽くされるべき」と無責任な姿勢を貫徹した。つまり、政府・国会の立法不作為、同性婚法制化のサボタージュに対して、最終的な結論については最高裁に委ねるという限界性がある。

同性婚の法制化を行え

 これまで ①札幌高裁(24年3月14日/憲法24条1項違反) ②東京高裁(24年10月30日/同性婚を認めない規定は「違憲」) ③福岡高裁(24年12月13日/憲法13条の幸福追求権の侵害」) ④名古屋高裁(25年3月7日/憲法14条1項、24条2項に「違憲」) ⑤大阪高裁(25年3月25日/憲法24条2項、14条1項違反)と立て続けに違憲判決が出ていた。司法の流れは、ほぼ「同性婚法制化」を求める傾向にあった。だが東京高裁判決は、この流れに対して真っ向から歯止めをかけるものだ。
 自民党右派、天皇制家父長制維持を基本柱とする日本会議、神道政治連盟、旧統一協会の「婚姻・家族制度解体反対」勢力は大喜びだ。「産経新聞」(11月29日)にいたっては、高裁判決について「同性婚 国家・家族踏み込む」「法の下の平等に反せず」と持ち上げ、わざわざ天皇主義者の八木秀次(麗澤大教授)を引っ張り出し「憲法前文で合理性説明 画期的」というコメントを掲載する始末だ。高裁判決は女性差別主義に満ちた家父長制の存続、性的マイノリティに対する差別・嫌悪などの連動をさらに勢いづけるものだ。
 同性婚を可能とする国は多く、国連自由権規約人権委員会は、同性婚を享受できるよう指摘している。国民に対する各メディア調査でも同性婚を容認する割合はほぼ半数を超えている。
 東京高裁判決は、「同性同士の家族に関する法制度がないことによって、同性同士が婚姻の本質を伴う結合関係の形成自体が侵害されているわけではない。法制度全体の適用を受けることはできないとしても、扶養義務や財産分与などは契約で代替する方法があり、人口比で約93%相当の人々が住む自治体がパートナーシップ制度を導入している」からいいではないかと!  だがパートナーシップ認定制度の実態は自治体による制度という制約があり、異性間の婚姻以外について一切手当をしていない。同制度によって同性婚ができないことによる不利益が続いる。明らかに憲法24条に違反しているのだ。
 性的少数者の権利擁護、同性婚の法制化を実現せよ。 (遠山裕樹)

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