投書 やまゆり園事件10年
障がい者は「あってはならない存在」ではない
抹殺の対象でも、同情の対象でもない、 同じ人間だ
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事件は2016年7月26日未明、相模原市緑区の県立知的障害者施設「津久井やまゆり園」で起きた。元職員の植松聖(さとし)死刑囚が園に侵入し、入所者19人を殺害、職員2人を含む26人にけがを負わせた。「意思疎通のできない重度障害者は生きている意味はない」と差別意識を膨らませた末の凶行だった。
新聞各紙の論調
新聞社説(『産経新聞』は「主張」欄)は「事件10年」をどう報じたか。
『神奈川新聞』。「国をはじめ県も相模原市も、対応を怠っている」。「障害のある子を排除し続けている通常学級の変革なくして共生社会は実現しない」(2026年7月26日・日曜日3面)。
『毎日新聞』。「報酬の拡充など担い手を増やす施策が求められる」(7月25日・土曜日13版5面)。
『朝日新聞』。「(犯行は)命に優劣をつける優生思想が社会に根強く残っていることを、鋭くあぶり出した」。「障害者向けGHの建設計画に対する住民の反対運動が各地で起きる。障害者への虐待も年々増える」。「私たちが生きる社会は、障害者の存在を共同体の負担ととらえ、市場原理で命の選別を許す考え方と地続きになっていないか」。(7月25日13版S10面)。
『産経新聞』。「再発防止に向けた法改正(精神保健福祉法)は頓挫したままだ。平成13年に大阪教育大学付属池田小学校で児童8人を殺害した男も、措置入院後から退院後の犯行だった」(7月26日13版☆2面)。
レイバーネット2.0の指摘
インターネットのレイバーネット2.0。社説や主張ではないが、「仲間を殺すな!相模原障害者殺傷事件10カ年追悼集会」という記事。
「かつてナチス・ヒトラーはドイツ民族こそが世界で最もすぐれた民族であると称して障害者を組織的に抹殺しました。日本でも『不良な子孫の出生を防止する』とうたう優生保護法が1996年まで存在していました。障害者は社会に『あってはならない存在』と扱われてきました。その背景には生産性の基準で人間を測る資本主義の価値観があるのではないでしょうか。障害で『著しく労働能力が低い者』は最低賃金制度から除外できると現在も法律で定めています。障害者が働く作業所のいわゆる『福祉的就労』の場合も最低賃金が適用されません」。「『意思疎通ができない』と犯人は決めつけましたが、それは『声』を聞こうとしない社会の側の問題ではないでしょうか。障害者はけっして同情や救済の対象ではありません。かわいそうで気の毒な存在ではありません。『社会のお荷物』では断じてありません」(東京東部労組・須田光照さん)。
「事件10年」を「社説」で無視したメディア
なお、『読売新聞』『日本経済新聞』『東京新聞』は、7月25日と7月26日の社説では、「事件10年」について触れていない。私の誤解でなければ、『地平』『世界』の8月号、『週刊金曜日』の7月24日号・7月31日号も「事件10年」について何も触れていない。
私は、『神奈川新聞』『朝日新聞』『毎日新聞』社説(の紹介した部分)、レイバーネット2.0の須田光照さんの記事(の紹介した部分)に共感を覚える。『産経新聞』「主張」(の紹介した部分)に違和感を覚える。須田光照さんは「資本主義と障がい者差別の関係」についてさりげなく触れているが、天皇制も障がい者とは相いれない存在だ。私はそう考える。私はあえて言いたい。天皇制批判抜きの共生社会論はナンセンスだ。
真の共生社会のために
人間は、みんな平等だ。天皇制はいらない。資本主義でもスターリン主義でもなく「人間的で民主的な社会主義」を実現しよう。
【おことわり】①「事件10年」からだいぶたってから、8月3日の社説で『東京新聞』(統合版11版5面)は「事件10年」について触れている。②「やまゆり園事件」は決して許されない犯罪だ。だが、私は死刑制度にも断固反対する。③この投書は、8月4日までの情報をもとにしている。
(2026年8月9日)

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