6・10大崎住民訴訟 放射能汚染廃棄物の焼却をやめろ
上告審勝利にむけて集会とデモ
【宮城】大崎住民訴訟は、宮城県大崎市において福島第一原発事故により飛散した放射性物質により汚染された廃棄物(8000bq/㎏以下)を、試験的に一般廃棄物と一緒に焼却するための経費、及びその焼却灰を最終処分場に埋め立てるための経費の支出が違法であるとして、同焼却施設周辺の住民らが原告(提訴時124人)となって、大崎地域広域行政事務組合から大崎市長に損害賠償請求をするよう求める訴訟である。
宮城県大崎市の住民は、2018年8月住民監査請求を行ったが、同年9月に監査委員が請求を却下した。大崎地域広域行政事務組合が同年10月から試験焼却(本焼却は2020年7月から)を開始することから2018年10月に仙台地裁に提訴したのである。2023年10月に仙台地裁は請求棄却判決、控訴したものの2024年12月25日に仙台高裁も住民の請求を棄却する判決を出した。
大崎住民らはこれを不当として今年1月上告していた。本訴訟は、一般ゴミ焼却場における放射能汚染廃棄物焼却が不当であることを訴える全国で唯一の裁判である。
最高裁への上告にあたり、全国にこの問題を広く訴えるために、大崎住民訴訟原告団と大崎住民訴訟を支援する会が共催、放射能拡散に反対する会が協力するなかで6月10日参議院議員会館にて院内集会と官邸前デモも実施した。
放射性物質汚染対処特措法は二重基準! 一刻も早い解消を!
「一般ゴミ焼却場で放射能汚染廃棄物の焼却に私たちは合意していません。放射能を全国にまき散らす焼却処分を止めるために、特措法の不当性訴え最高裁で勝利する!」と大崎訴訟原告団の阿部団長の挨拶で院内集会が開始された。
弁護団の松浦健太郎弁護士から「大崎訴訟の経過と全国的意義」について解説があった。
被告の大崎地域広域行政事務組合が試験焼却実施にむけた「予算決議」→「試験焼却の決定」→「予算執行」を、住民側との「覚書」と「申し合せ」という「契約」が有るにも関わらず無視して強行した違法性(住民自治の否定)について解説。
「覚書」には、「水質汚染のおそれのある重金属物質を含む廃棄物は一切搬入しないものとする」として明記され「本覚書に定めのない事項、その他疑義が生じたときは、その都度協議の上対応する」とあること。
また、「申し合せ」には、「ごみ焼却場の機能・設備等を変更する場合は、地元住民に事前に説明し合意を得るものとする」「住民から不安・疑問が出された場合は直ちにその改善に努める」とあることから、被告の行為は覚書違法、申し合せ違反であることを指摘した。
さらに「人格権侵害」について、焼却場周辺に放射能物質が拡散、汚染ないしそのおそれがあること、原告ら、周辺地域に生活する者が、飲食や呼吸等を通じて内部被ばくすること、被ばくすれば、健康被害が発生する強い危惧感・不安感を持ちながらの生活が強いられるとして人格権・生命健康の安全=憲法13条に違反すると指摘した。
続いて、草場弁護士から、原子炉等規制法では環境中に出せる放射能廃棄物は100bq/kgなのに、特措法は8000bq/kgと80倍に緩和され断絶していること、法律施行後3年後に検討し、措置を講ずると規定していたものの見直しはなく「立法不作為」で違憲であること、これによって憲法13条が保障する生命及び健康という人格権が平等に保障されることが阻害されていることを指摘し、特措法の違憲性について解説があった。
放射性物質の漏れを科学的根拠で立証
ちくりん舎の青木一政さんからは大崎訴訟の第二の全国的意義について解説があり、焼却場周辺でのリネン吸着法(麻布を屋外に一定期間吊しておき,それを回収し吸着された微小ばいじんのセシウム量を測定するもの)や土壌調査、焼却場における「排ガス検査」を通して、放射性物質の拡散を複数の科学的根拠をもって立証してきたことが報告された。
他県へ拡散される「県外焼却」を許さない!
大崎訴訟支援する会の芳川良一さんからは、大崎市が強行し他の自治体へ拡大している「県外焼却問題」について報告があった。
「県外焼却」とは、未指定廃棄物(風評被害を避けるために国に指定申請していない8000bq/kg超えのもの)で8000bq/kgを下回ったものを県外事業者に委託し焼却するというもので、処理事業者や焼却する自治体は非公開と、秘密裏に実施されている。
処理費用は、放射性物質汚染廃棄物処理事業費補助金(農林業系廃棄物の処理加速化事業)と震災復興特別交付金が宛てられ、環境省が後ろ楯となり宮城県が処理事業者を自治体に紹介するといったスキームで強行されている。
他県への拡散、他県民の平穏生活権の侵害は明らかで、非公表で責任も曖昧であり、一刻も早く県外焼却を止めるために宮城県と交渉を続けていることが報告された。
周辺住民だけがリスクを負うことは差別だ!
原子力市民委員会座長である大島堅一さんからは、「特措法は二重基準であり、緩い方に合わせるという規制緩和であり、規制基準も処理方法も決めるのが規制庁で規制と基準が分離していないこと」「この状況は一刻も早く解消すべきで、大崎訴訟の訴えは認められなければならない」「科学的観点から見ると、希釈、拡散すれば良いという考えで拡散リスク、再汚染への配慮がない」「社会的観点では、周辺住民だけが一般国民とは異なるリスクを負わされるという差別的状況であり、許されない」と大崎訴訟の意義を明確に表明した。
岩淵友、川田龍平、福島みずほ参議院議員が参加して激励と支援を表明。
福島さんは、「せっかく集めたものをベランダからばらまくようなもの」と指摘し、国会でも政府を追及していくと語った。
汚染水の海洋放出や、汚染土の復興再生利用などと同様に、薄めてばらまき、福島原発事故による放射能被害は、たいしたことは無く、事故被害を隠ぺいする政府の方針を踏襲した仙台高裁判決を覆えし、この問題を広く世論に訴え最高裁での真摯な判断を要求するとした「集会アピール」を採択して院内集会を終え、官邸前に移動して首相への抗議と焼却処分中止の声を上げた。(m)

放射能汚染廃棄物の焼却をやめろ(6.10参議院会館)
週刊かけはし
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009 新時代社


