投書「作業所の朝」を読んだ

SM

新聞に、作業所利用者の詩が掲載

新聞に詩が載っている。こういう詩だ。

 私は精神障害者の作業所に通っている 今は就労継続支援B型事業所というらしいが どうもしっくりこない 私には「作業所」が似合ってる 作業所は八時半に開(あ)く 早出の職員が掃除やお茶の準備をしている それを手伝う人そうじゃない人 少しづつ人が集まり 作業ができるように整えてゆき 静かに騒がしくなっていく いつも同じ光景に見えて なのに新鮮な気持ちになる 私は作業所の朝が好きだ 作業は九時半に始まり 内職仕事には工賃が支給される 時給は百五十円 その金額に ある人は自尊心を傷つけられて ある人は「少しでも稼げた」と 回復へ手応えを感じた 馴染めなくてやめた人や 復職でき卒業していった人 そして亡くなられた人もいる たくさんのいろんな形の別れがあった 私は作業をせず ノートに向かい合い 詩やエッセイの真似事(まねごと)をしている 「朝が来るのは当たり前ではない」 心の居場所失わぬよう ノートに書き留めて大切に仕舞い込む ずっと好きでいたいと思う この作業所の朝を ずっと過ごしたいと思う この作業所で朝を(おわり)

 タイトルは 「作業所の朝」、作者は 大橋聖子(さとこ)さんだ。詩は「第51回 部落解放文学賞・受賞作」で、詩を掲載した新聞は『解放新聞』(部落解放同盟中央機関紙)だ。「作業所の朝」は『解放新聞』第3159号(2025年12月15日)に掲載されている。私は、ふりがなをほとんど省略するなどした。正確なものは、『解放新聞』を読めば分かる。

「知らないふり」をするのをやめろ


 私も、作業所にいたことがある。私は、発達障がいだ。ASD(自閉スペクトラム症)だ。工賃(給料)は月1万円程度だった。超低賃金だ。私は、その後、就労移行に移り、障がい者雇用で就職した。だが、給料は月10万円前後の低賃金だ。精神障がい者は、賃金の面でも差別されている。だが、日本の民衆の多くは、作業所のことも障がい者のことも知らない。「知らないふり」をしている。ドイツの民衆が、「アウシュビッツ」のことを「知らないふり」をしていたようにだ。イスラエルの民衆が、「ガザ」のことを「知らないふり」をしているようにだ。映画「関心領域」の主人公たちのようにだ。これでいいのか。これでいいのか。これでいいのか。あなたは、人間として、これでいいのか。私は、そう問いたい。

高永淳さんの詩を読んで、泣く


 なお、『解放新聞』第3158号(2025年12月5日)には高永淳(コヨンスン)さんの「書く」という詩が、『解放新聞』第3160号(2025年12月25日)には吉川長命(ちょうめい)さんの「この世はいったい」という詩が掲載されている。前者が「第51回 部落解放文学賞・受賞作」で、後者が「第51回 部落解放文学賞・佳作」(受賞作と入賞作の合計3作品とも詩部門)となっている。高永淳さんの「書く」という詩を読んで、私は泣いてしまった。字数の関係で高永淳さんの詩と吉川長命さんの詩は紹介出来ないが、全文が『解放新聞』に掲載されている。『解放新聞』は、解放新聞社(06-6581-8516)や模索舎(新宿の書店03-3352-3557)で扱っている。
(2026年6月11日)

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