5月連休のJR大回り

コラム「架橋」

 5月の5連休初日、費用をかけずに日帰りで小旅行をしようとJRの大回りに出かけた。大回りとは鉄道好きでなければ耳慣れない言葉だが、これは「大都市近郊区間内のみを利用する場合の特例」である。いわばJR運賃計算の特例措置と考えればわかりやすい。
 大都市近郊区間は、東京のほか、名古屋、大阪、新潟などにも定められている。具体的には上記の大都市近郊区間内であれば普通乗車券に限り、実際の乗車経路・距離に関わらず運賃が最も安くなる特例である。ただしルールとして出発駅から一筆書きで出発駅のひとつ手前駅で下車すること。また、改札口から外には出ていけない。さらに同じ駅を通過すると無効になるなど鉄道路線や時刻表、ルールを熟知する必要がある。さもなければ無賃乗車になるので注意が必要だ。さてボクの場合、延べ10時間程度の計画を立てた。
 予定では小山から両毛線で高崎、高崎から八高線で高麗川。高麗川から八王子に出て新宿へ。さらに新宿から山手線で東京。終点の間々田までは上野東京ラインを利用することにした。
 今回はいくら呑み助のボクでも車内トイレや駅構内トイレの有無を確認し、車内禁酒を原則とした。それは以前このコラムでも書いたが、前立腺がんの全摘により頻尿になってしまったからだ。
 電車は連休初日でも普通列車ということも手伝い満員ということもなく座って行けたのは幸いだった。一般の人たちから見れば何が楽しくて「大回り」などをやっているのかと訝しがられるだろうが、鉄道好きにとっては、最低料金での長時間乗車は至福そのものなのだ。
 気がついてみればもう新宿である。さすが中央特快は速い。夕方の4時台には東京駅から小金井行に乗ることができた。しかし、ここで少し不安が脳裏をよぎった。それは、終点の間々田駅の駅員が業務委託であり、遅くまでいない可能性がある。また、「大回り」の意味がわかるかどうかも心配だ。そこで面倒を避けるためにひとつ手前の野木駅で下車することにした。改札口で駅員に「大回り」と告げると差額の60円を徴収されて終わった。普通に計算すれば約6000円。これが一日の報酬だと考えれば悪くはない。 (雨)