「となりの人と」
コラム「架橋」
認知症気味の友人に会いに帰郷する。「三羽ガラス」も歳を重ね、話題はいつも中学時代の失敗談と恋話。土産片手に電車に乗り込むと、流れる景色に昔の想い出が浮かんでくる。一昔前は木製の背もたれのボックス席で、見ず知らずの4人が「旅は道連れ世は情け」と時を過ごす。
暫くすると話好きのお年寄りがなんやかやと話かけてくる。日々の生活の豊富な話題に感心しいつのまにか「聞き役」に。途中「んじゃ気を付けて」「お世話様」と軽いあいさつでそれぞれの旅にと流れていく。
「時代の流れ」と言ったらそれで終わりだが「時間泥棒」が跋扈する今の時代。「コスパ」「タイパ」が大手をふり《ながら見》《倍速視聴》《スキップ視聴》《ネタバレ視聴》・・何だかんだのエトセトラ‼
東京の通勤地獄。座席無しの「空き箱」にぎゅうぎゅう詰めで運ぶ電車に乗った。旧国鉄は牛豚専用「家畜貨車」、JR仕様は人間専用「社畜運搬車」。「何はさておき金儲け」のなせる業に呆れ変える。
今やスマホ片手の人・ひと・ヒト。目に見えぬ貼り紙は「他言無用」「受付禁止」とか。
敗戦から85年、各国で排外主義が蔓延り、絶え間なく続く暴力と殺戮の戦争・紛争。世界の誰もが「平和な生活が一番」と言う。戦争によって形作られた時代変化を「新時代の幕開け」等と言う聞こえがっての良い言葉に置き換えて来た歴史。対話・信頼・尊重の向こうに文化・風習等の違いを越え「隣人」として互いが尊敬し共に生きている社会が見えてくる。外国人・マイノリティに向けられる剝き出しの「嫌悪」「敵意」「憎悪」のヘイトスピーチと排外主義。外国人労働者への攻撃も強まり労働相談も拡がっている。地に足を付けて反撃し一歩一歩共生への道を進む。
ぼんやりと窓外の景色を眺める時間は、己が歩みを振り返る貴重な時間にもなる。間もなく目的地、今日はどんな話題で盛り上がるのか愉しみだ。(朝田)

