戦争と環境の壊滅的破壊

コラム「架橋」

 米国とイスラエルによるイラン戦争で、ホルムズ海峡の封鎖によって、原油などの輸送がストップしたことにより、エネルギー危機が起きている。
 TVで医療現場の話が取り上げられていた。「注射器や輸液製剤のバッグ、点滴をつなぐカテーテル、透析患者さんの命をつなぐ透析回路……医療現場における患者さんの命はこうした石油から作られる大量の樹脂製品によって支えられている。今回の石油ショックによって、このままでは多くの医療現場で数カ月以内に枯渇してしまうと予測されている」。
 今回のイラン戦争で、改めていかにわれわれの生活がプラスチック製品で溢れているかに気づかされる。着ている様々な衣類は必ず合成繊維が入っているし、買い物に行けば買った物は必ずプラスチック製のトレイや包装紙に包まれている。化石燃料からの脱却が叫ばれて久しいが、それに最も逆行するのが戦争で、今の中東危機は石油に依存する世界のあり方を問うているはずだが、こうした観点からの「戦争反対」の報道が極めて弱い。
 そんな中、韓国のハンギョレ新聞の報道があった。「戦争は気候危機を加速させる最も強力な炭素爆弾でもある。戦闘機は一度出撃するたびに数千リットルの灯油を燃やし、排出する二酸化炭素は、乗用車が7年間で排出する量に匹敵する」。
 「ロシア・ウクライナ戦争の最初の2年間に発生した温室効果ガスは約1億7500万トンだった。これはベルギー全体が1年間に排出する温室効果ガスよりも多い量だ」。
 「さらに恐ろしいのは戦争で焼けた森は、もう炭素を吸収できない死んだ土地となる。崩壊した都市を再建するために投入される莫大な量のセメントや鉄鋼を生産する過程でも、セメント1トンを製造する際には、1トン近い二酸化炭素が発生する」。
 イラン戦争では米国とイスラエルは一万数千回の爆撃を行っているようだ。これがどれだけ人的被害だけでなく、環境破壊を引き起こしていることか。「戦争は現在だけでなく、未来までも引きずり込んで焼き尽くしてしまっている」。侵略戦争をやめろ。(滝)