7.20「しないさせない戦争協力関西ネットワーク」総会と記念講演会
代執行で工事を強行しても、辺野古新基地建設は必ず破綻する
辺野古一帯の自然破壊をやめろ
【大阪】7月20日(土)14時から大阪PLP会館で、「しないさせない戦争協力ネットワーク」の総会と記念講演会が、100余人の参加で開催された。総会で共同代表と新しい事務局体制を確認した後、「沖縄平和市民連絡会」の北上田毅さんの講演が行われた。
強引な土砂搬出作業が招いた安和の死傷事故
北上田さんは安和桟橋の土砂搬入口での死傷事故から話を始めた。「辺野古埋め立て用の土砂の海上搬送では、5万㎥/月が限度だった。しかし、大浦湾埋め立て用土砂の海上搬送では33・7万㎥/月運ぶ計画である。今年になってダンプカーによる強引な搬送が目立ち、ダンプカーの出入り口と国道の接続地点では、国道を通る一般車両との事故が増えていた」。
「抗議闘争では構内に入ろうとするダンプカー一台ごとに、抗議者が牛歩で接近し運転手を説得する。それに合わせてダンプカーも一台づつ出入りする。抗議闘争と警備側の暗黙の了解事項である。しかし、今回の事故は前のダンプカーが停止しているのに、後続のダンプカーが急発進したことによって引き起こされた」。
事故を利用して反対運動を潰そうとする警察、業者、国
北上田さんによれば、警察、自民党、産経新聞等の右派マスコミは、「警備員が亡くなったのは、抗議行動をしていた女性が原因。抗議行動を阻止するためのガードレール設置を認めなかった玉城知事が悪い」というキャンペーンを繰り広げ、この女性に対する損害賠償を求めるよう、警備員の遺族に示唆しているという噂さえあるという。
この女性は大腿部を複雑骨折し、内出血により瀕死の重傷を負ったのである。重大な交通事故の場合、普通、運転手は業務上過失致死傷罪の容疑で身元を拘束され調べられる。しかし、この運転手は事故直後に、当該のダンプカーに乗って帰ったそうだ。
玉城知事は沖縄防衛局に事故原因が究明され、安全対策が取られるまで、土砂搬送を中止するよう申し入れ、現在、土砂搬送は中断されている。しかし、北上田さんは「7月下旬には再開されると噂されている。機動隊と警備員を大量に増員して、辺野古のように門前にバリケードを作り、私たち県民が近づけないようにして再開するのではないか。原因を究明し安全対策が取られるまで、搬送作業を再開させてはならない」と、この話を締めくった。
沖縄県を完全に無視して工事を進める防衛省
北上田さんは「1月から大浦湾の海岸部への石材投入が始まった。護岸工事で使うケーソン(コンクリート制の箱状の物体)の仮置き場を造るための工事である。大浦湾埋め立て用の土砂は、辺野古の埋め立て地に仮置きされている。弾薬積載エリアのK5─K7護岸の工事はほぼ終わり、大浦湾の一番北のA護岸工事での直径1mの鋼管の試験打ちが始まった。地盤改良作業船が自由に動くための浚渫工事も、ケーソン護岸工事も始まる。問題になっている軟弱地盤が続いている場所である」と話を続けた。
「軟弱地盤に砂杭を打ち込むと、軟弱土が沸き上がる。それを防ぐために海底に394万㎥の海砂を敷く。沖縄での年間の海砂採取量は81万㎥程度である。海砂採取には大規模な自然破壊が伴う。ちなみに、西日本では海砂採取は全面禁止になっている」。
「新基地建設の開始以来、沖縄県は45回防衛局に行政指導をしてきたが、彼らは完全に無視している。県は埋め立て承認の再撤回をすべきだが、手をこまねいている。私たちは県議選で辺野古新基地建設を争点にするよう訴えてきた。しかし、代執行で工事が強行されたことであきらめムードが広まり、選挙では話題にもならなかった」。
工事の強行で破壊される大型サンゴ
「試験杭打ちで移植予定のサンゴが損壊した。県は移植が終わるまで工事を中断するよう申し入れたが、防衛局は一切聞き入れず、原因究明も、対策も取らずに工事は継続された」。
「中山元知事が埋め立てを承認した時でさえ、埋め立て実施時には県と協議をするという留意事項があった。この留意事項を無視して工事は強行されている。9年3か月とされている大浦湾の工事期間が、大幅に遅れることが確実だからである。洗浄されるはずの石材は、洗浄されないまま海に投下され、石材を投下すると海面が白濁するのがわかる」。
「工事のピーク時には、100隻を越える作業船が稼働する計画になっている。しかし、100隻での作業は不可能で、防衛省もそのことを認めている。また、日本には70m以上の海面下で、地盤改良工事ができる船は無い。50m用の船を改良するのだが、民間の船なのにその費用は国が負担する」と、北上田さんは工事期間が大幅に遅れる理由を次々に挙げた。
北上田さんは最後に、「美謝川の整備工事で周囲の山は無残な姿になった。辺野古ダム周辺の山からの土砂採取で、辺野古一帯の自然は完全に破壊されるだろう。工事車両の増加による交通事故の増加も懸念される」と、工事に伴う様々な危惧を述べ、講演を終えた。(О)
![](https://www.jrcl.jp/wp-content/uploads/2024/07/28241-1.jpg)
工事破綻について丁寧な解説を行う北上田毅さん(7.20)
週刊かけはし
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009 新時代社