7.14ウクライナシンポ
ウクライナ戦争が問うもの
STOP!ロシアによる侵略、イスラエルによるガザ・ジェノサイド
【東京】7月14日午後2時から、九段上集会室で、「7・14ウクライナシンポ ウクライナ戦争が問うもの STOP!ロシアによる侵略、イスラエルによるガザ・ジェノサイド」がウクライナ連帯ネットワーク(SUN)の主催によって行われた。
林克明さん「チェチェンからウクライナへ―大ロシア帝国の野望と脱植民地主義闘争の30年」(著書に『プーチン政権の闇』高文研)と加藤直樹さん「侵略と抵抗―ウクライナ戦争の〈本筋〉とは何か 新しい国際主義の可能性を見出すために」(著書に『ウクライナ侵略を考える』あけび書房)がパネリストとして問題提起を行った。コーディネーターを原隆さんが行った。林さんはロシアがチェチェン独立を武力で弾圧したこととウクライナ侵略戦争がつながっていることを改めて明らかにした。加藤さんはウクライナ連帯運動を考える時、日本の平和主義が何にぶつかっているかを提起し、ウクライナ支援の具体的な運動のイメージを提起した。
(M)
ロシアによるウクライナ侵略、ガザにおけるイスラエルのジェノサイドの二つの戦争が同時進行している。これに歯止めを掛けられていない。共通する植民地主義の問題で許せない。自由と尊厳を求める未来を指し示す。ウクライナがどうなるかで世界は変わる。
プーチンとネタニヤフは似ていて、国際戦争犯罪人として訴えられた。両者とも国家主義者で植民地主義者だ。6月にはロシアのショイグ前国防相、ゲラシモフ総参謀長に逮捕状が出た。ロシアの戦争犯罪を不問に付すわけにはいかない。この戦争犯罪に対して不問に付し、ロシア軍の撤退さえ求めない和田春樹らの即時停戦論がある。彼らは中立を装いながら、ロシアの不法占領を追認している。
米欧・日本はダブルスタンダードだ。ウクライナの抵抗を認め称えるべきだ。米欧の援助の滞りによって、ウクライナの戦況は厳しい。ウクライナの戦いにもっと目を向けるべきだ。
ウクライナ戦争を米欧とロシアの代理戦争という見方があるが、それは一面に過ぎない。根本的にはロシア大帝国の復活と拡大をごちゃまぜにしたような論理。被害を受けている人々のことが大事、抵抗の思想。1994年、ロシアがチェチェンに全面侵攻した時から、今まで続いている。ロシアは大植民地帝国。他民族を侵略していってできた国だ。180から200の少数民族がいる。過去にものすごい抵抗をして、ものすごい犠牲者を出した。ロシアは民族の牢獄だ。
ウクライナ侵略戦争での戦死者の出身地。ブリヤード共和国(仏教徒)はモスクワの33倍だ。
チェチェン人の社会、ロシアと対象的。平等主義の国、王や貴族が出来たことがない。村落共同体、自治が確立している。長老たちが敬われる。身分制度がない。
1861年にロシアに併合された。蜂起と鎮圧の歴史。1918年、北コーカサス共和国として独立宣言した。第二次大戦中、カザフスタンに強制移住、半分ぐらいが死亡した。クリミア・タタール人も殺された。
1991年、ドゥダエフがチェチェン共和国の大統領に。94年第一次チェチェン戦争。ウクライナ戦争に直結していた。95年、ウクライナ義勇兵100人がウクライナを守るためにとチェチェン戦争に参戦した。2014年、ウクライナでチェチェン人が義勇軍(千人規模)を結成。2022年、チェチェン亡命政府、キーウに移った。北コーカサス共和国の復活めざす。
ロシア擁護論。論理的につじつまの合わないことで議論を作っていって、ロシアの侵略の責任を相対化させる議論。荒唐無稽さ。ブダベスト覚書、1994年に、ウクライナに残されたソ連の核兵器をロシアに引き渡す。その代わりにロシアとアメリカ・イギリスがウクライナの安全と領土的一体性を保障する。ウクライナがブダペスト覚書を破棄して、核武装を狙っていた。だから、しょうがなくプーチンはウクライナに侵攻したと書いている人がいた。
大前研一は、プーチンがウクライナに侵攻しなければいけなかったのは、ゼレンスキーがブダペスト覚書を再検討すると言ったからだと。つまりウクライナは核武装をしようとしている、だから侵攻したと。果してそうなのか。2021年の年末頃に、ロシアの侵攻準備が始まっていた。ゼレンスキーがブダペスト合意に言及したのは2022年の2月19日だ。再検討の内容はアメリカとイギリスとロシアが参加する形で和平会談をすぐやったらどうかという提案だ。大前研一が言っているような話ではない。
侵略した側の流しているデマにそのまま飛びついて、侵略されている側の尊厳を否定するような論議に憤りを感じる。
最近、キーウの小児病院をミサイルで襲い、45人を死亡させた。毎日空襲警報があり、親族が死ぬ、同僚が死ぬ。日本帝国が負けて崩壊した。あの時の気持ちがどれだけのことだったのか。先の見えない抵抗がいつまで続くのか。
ウクライナでロシア名を変えていく動きが起きている。プーシキン像を倒したり、通りの名をソ連式からウクライナ式に変えていく。そういったことが不寛容のように語る人もいる。三島由紀夫が亡くなった時、思想はともかく立派であったと死を悼んだ。この時に、金芝河が「どうってことねえよ」と詩を書いた。
ナチスに占領された当初フランス人は抵抗しない。電撃戦であっという間に占領されたのでショック受けた。とにかく戦争は終わってほしい。国民の総意みたいな感じで、親独派の右翼のビシー政権が樹立された。フランス共産党もドイツを歓迎する。ヒトラーとスターリンは協定を結び、ポーランドを分割したりしていた。スターリンの指示を受けるフランス共産党は敵性組織ということで弾圧されていた。ドイツがやってきた。フランス共産党のことを良くしてくれるだろうと歓迎した。すでに抵抗を呼び掛けていたドゴールに対して、あいつらはアメリカやイギリスの支援を受けて、フランスに戦争を持ち込もうとしている、そうした西側資本の戦争屋に対して断固反対しなければいけない。我々はドイツの下で復興がんばろう、サボタージュなんて考えてはダメだという声明を出した。占領当局に逮捕されていく。ナチスが共産主義者の味方でも何でもないことに気づく。学生が抵抗し、強制労働においやられた労働者が抵抗していく。そうしてレジスタンスがフランス全土に広がっていった。
歴史は先が見えない、ジレンマに満ちている。
ウクライナ戦争はロシアが侵略という加害を行い、ウクライナが被害者だ。被害主体であるウクライナの人びとは何を選ぶか。その選択を尊重する。
先のことを考えたい。侵略されているウクライナの側に立つことは共有できている。その時に悩むことがいくつか出てくる。日本の平和主義。安倍は親プーチンで18回会っている。岸田政権はウクライナ支援をやっている。そのこと自体いいことだ。中国がロシアを後押ししている。インドがロシアの石油を爆買いしている。ロシアの兵器も買っている。ここでは積極的に中国を敵視している。同じ時に日本の海上自衛隊は中国の領海に入った。岸田政権はウクライナ戦争をなるべく東アジアに引きつけることで、対中国の敵対関係を強化したい思いがあった。北朝鮮、韓国を巻き込み、世界規模の冷戦にリンクしていく方向に強くなっている。
日本の平和主義の状況をどういうふうに考えられるのか。ウクライナが欲しがっている防空システムを、アメリカを媒介にして渡している。これに対してどう考えるか。ウクライナが悪い、悪い所に武器輸出してはいけない。こうすればすっきりする。しかしそれは日本の平和主義の自殺だと思う。ウクライナの側に立つということと、どのように整合させていくのか。簡単に答えがでないことだ。難問とにらみあっていかないと日本の平和主義は鍛えられていかないはずだ。
②国際連帯の迷い道。パレスチナでジェノサイドが続いている。欧米の二重基準が強調されるようになった。国際的な普遍的な足場を作るべきだ。
ウクライナに連帯すること、何ができるか。ヨーロッパ、救急車を送る。台湾、ウクライナ人の運動に参加している。
•エールを送ること、社会運動の左翼・アナーキスト・LGBT。
•ロシア企業の石油購入に抗議行動の写真を送る。ウクライナの人がどう考えているのか、具体的に知るべきだ。ウクライナのツイッターアカウント。ウクライナの市民社会の活発さが見えてくる。
(発言要旨、文責編集部)
会場から。杉原浩司さん。具体的な連帯を。ロシアからの天然ガス輸入問題。現状を把握すべき。ロシアへの経済制裁、どうなっているのか。リサーチを始める。②沖縄・琉球弧の問題で、ウクライナ侵略戦争をロシアの自衛権行使と主張する伊勢崎賢治などを呼んでしまう。いいことではない。届く言葉を考える必要がある。
ウクライナシンポジウム(7.14)
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