10・14袴田巌さんの完全無罪判決(確定)報告集会
おめでとう 巌さん
証拠開示制度の確立と、検察官の不服申し立てを禁止する再審法(刑事訴訟法第4編)の改正を!
【静岡】9月26日の袴田事件再審公判における無罪判決を受けて、当日から検察による控訴を許さないための闘いが始まった。
27日からは静岡では連日のように弁護団・支援者による静岡地検に対する上訴権放棄を訴える要請行動・宣伝が行われた。
9月29日には、静岡県弁護士会が主催して再審法改正全国キャラバンの一環で、再審法の改正実現に向けての集会が開催されたり、静岡の行動に呼応するように中央でもオンライン署名や東京高検前での控訴断念の訴え、東京弁護士会館での市民集会、袴田死刑囚救援議員連盟による法務大臣に対して「控訴」なら指揮権発動の要請や無罪確定を求める緊急院内集会が開催された。
10月3日、日本プロボクシング協会袴田巌支援委員会の皆さんが「潔白」を意味する白いバンテージを巻いた拳を上げて控訴断念を求める要請書を東京高検に提出。10月7日、袴田弁護団も東京高検に対する上訴権放棄の要請を行った。
10月8日、午後4時半から事件の地元である静岡市清水のJR清水駅前で控訴断念を求める宣伝を始めようとしていたところへ仲間から「検察の控訴断念」のニュースが飛び込んできた。静岡地裁構内にある弁護士会館では急遽、記者会見が行われることになったとも報じた。こうして、連日の「控訴断念」へ向けた行動が実を結んだ。
「検事総長談話」を批判!
10月14日、静岡市の静岡労政会館で「袴田巌さんの完全無罪判決報告集会」が「袴田巌さんの再審無罪を求める実行委員会」の主催で開催された。8日の検察の控訴断念により翌9日無罪判決が確定、文字通りの勝利を祝う喜びの報告集会となった。集会には弁護団、支援者およそ250人が参加した。
集会は主任弁護人であり弁護団事務局長である小川秀世弁護士から無罪判決が確定したことを受けて判決が指摘した三点の証拠の捏造①検察官作成の「自白調書」②みそタンクから見つかった血染めの「5点の衣類」③袴田さんの実家から見つかったズボンの共布について主要に触れる一方、その他の証拠では袴田さんを犯人とすることはできないとしてDNA鑑定や履けないズボンでの犯行実行の矛盾を無視したことにも及んだ。
また8日に発表された「検事総長談話」について、「無罪判決には論理的・経験則に反する事実誤認があり控訴して上級審の判断を仰ぐべき内容である。巌さんの置かれている状況を考えて控訴を断念」と述べたことに触れて、無罪判決を受けた袴田さんを依然として犯人視する許しがたい内容であることを厳しく批判し、1.速やかに検事総長談話を撤回すること2.検察庁を代表した冤罪被害者である袴田さんに直接謝罪すること3.冤罪を作った原因を明らかにし、二度と繰り返さないために捜査・公判手続き全般にわたる厳正かつ真摯な検証を行うことを改めて求めた。
巌さんとひで子さんが勝利を確認
集会には、姉の袴田ひで子さんが一足早く到着、「長い裁判にご協力、感謝申し上げます」と述べ、「巌にはきょう富士山を見に行こう」と家を出たこと、巌さんの様子を「(無罪の確定)がまだ半信半疑でいるようなところがある」と説明し、みなさんの祝福によって「無罪と言うことがはっきりわかると思う」と述べた。
会場に巌さんが到着した。映画「ロッキー」のテーマ曲が流れる中を巌さんが車椅子にのって登場、姉のひで子さんと会場中央の花道を進む。花道の両サイドからは袴田弁護団の弁護士が次々と手を差し伸べ、その手をしっかり握る。ステージに上がった二人に花束とレイが贈られる。
マイクを向けられた巌さんは「長い闘いがございましたが、私の、やっと完全な無罪が実りまして闘いに出てまいりました」と述べた。 挨拶の後、巌さんは退席、ロビーでは日本プロボクシング協会袴田支援委員会のみなさんと世界ボクシング評議会(WBC)から授与された「名誉チャンピオンベルト」を掛けて記念撮影に収まった。
集会には弁護団、鑑定に係った学者、支援活動を続けてきた仲間から無罪確定までを振り返っての現在の心境が語られた。田中薫弁護士は、主任弁護人であり弁護団長であった西嶋勝彦弁護士が1月に急逝し無罪確定のこの場にいないことを悔やんで「一緒に喜び合えないのが残念」と述べた。西嶋弁護士の長男の一樹さん(44)は「せっかちな性格だったので、もう大丈夫だろうと逝ってしまったのかもしれない。完全決着の報告を聞かせてあげたかった」と述べた。弁護団を構成した弁護士が次々と登壇し、この事件に関わることとなった経緯から始まって現在の心境を語った。
袴田さんの供述調書を鑑定し、「無実の人の虚偽自白」(捏造された自白が無実を証明する)と鑑定した奈良女子大名誉教授の浜田寿美男さん、DNA鑑定を手掛けた筑波大の本田克也名誉教授も駆けつけてくださった。
支援団体からは日本プロボクシング協会袴田巌支援委員会のみなさんが登壇し、無罪確定をWBC会長に報告・お礼したこと、先方からは情熱と努力に感謝・称賛する。弁護団に敬意を表するとの回答をいただいたことが紹介された。フリー袴田!NOW!を皆で三唱した。
ほかにアムネスティ日本の武田さん。静岡の救援会を代表して日本国民救援会静岡の森田さんから挨拶をいただいた。
集会の最後にミュージシャンの会津里花さんが登壇、時間がない中で申し訳ないことになったがwe shall overcomeや故郷を合唱、ひで子さんもマイクを握った。
(S)
報告集会であいさつする袴田ひで子さん(10.14)
あいさつする袴田巌さん(10.14)
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