3.8ウィメンズマーチ東京2025
ジェンダー差別と性暴力NO!
家父長制の抑圧はねかえそう
【東京】3月8日国際女性デー、世界各地で100年以上女性が中心に家父長制による差別と抑圧への闘いを宣言する日、今年も世界各地で闘いと共同行動があった。東京渋谷でも世界各地の闘いに呼応し声を上げ行動すべくウィメンズマーチ東京2025が行われ、集会とデモが貫徹された。
家父長制とジェンダー差別は世界各地で著しい不平等をもたらし、日本では天皇制を筆頭にした政治体制として磐石な基盤となり人々を抑圧している。不平等と差別による抑圧は365日秒単位に存在し毎日が抵抗の日であるが、3月8日は国際的に統一行動を行い問題を再確認する点でも意義が非常に大きい。
集会は午前10時より渋谷の東京ウィメンズプラザにて行われた。参加者には関東各地や更に遠方から会場へ来た人々もいる中で開始時には会場が満席になるほど結集した。
集会開始時に書面として明文化はされていないものの1日を通し尊重すべきグランドルールが提起され、特定の参加者への差別と排除を禁じる旨を参加者全員で確認した。今日に至るまで家父長制により抑圧される様々な背景の人々がおり、時に境遇の相違から摩擦と理解のさまたげが生じる。そこに乗じた運動を分断する試みが継続されており、人権尊重と分断の圧力と闘う必要が再確認された。
オープニングは性暴力と差別と闘い連帯を歌う曲である「ナララ」が歌われた。朝鮮語で「蝶となれ」という意味であり、日本帝国主義による性暴力の制度化と強制連行を否定する策動に抗議する運動の中で歌われ、歴史を繰り返さず事実の否定を許さないという強い気持ちが込められている。各地で闘う人々がおり、多様な問題を提起する機会となる当日の行動の始まりを反映する歌となった。
「私たちに必要なのは女性の活躍より女性の人権だ」
次に竹信三恵子さん(ジャーナリスト)は、「私たちに必要なのは女性の活躍より女性の人権だ」をテーマに次のように問題提起した。
「新型コロナウイルスのパンデミックで生計を立てる職を失い生存が脅かされた人々の現状があげられ、中でも女性への打撃が大きい実情を当事者の証言をもとに切り込んだ。
現在でも日本では生物学的見地からの『男性』と『女性』の差異と社会の規範が強制する『男らしさ』と『女らしさ』の同一視は深刻で、個人の経済的事情、環境、得意不得意を鑑みることなく、杓子定規で『男女』の差異を強制する。
そうした規範が女性を非正規雇用や有期雇用へ追い込み、職を失いやすい立場に追い込まれる。差別があり女性が相対的に不利になれば個人の事情は配慮されない。身体的性別とジェンダー・アイデンティティの差別は貧困と失業と一体である」。
「現代の政治の世界ではアイデンティティーポリティクスと階級闘争を別個の問題と考え時には相容れないと分断を持ち込む言説もある。差別や抑圧と闘い平等を推進する闘いに参画していると自認する左翼勢力の中でさえも、アイデンティティーポリティクスをブルジョア的な産物とみなし敵対する解釈もある程である。しかし現場の人々の窮状と闘いに歩み寄れば、両者の問題は一体である事が把握できてくる」。
「パンデミックと性差別による抑圧に抗議し待遇を是正した女性の闘いと獲得した権利の事例を共有した。生き延びること、意思を表明すること、社会運動に至るまでの立ち上がる過程も闘いである。そうした勇気ある行動の先に労働組合をはじめとする支援団体との連携があり、変革の成果を獲得した背景は、現在も窮状にあっても事態を打開する機会と結び付いていない人々がいることも同時に物語る」と提起した。
竹信三恵子さんの提起によって参加者一人一人が連帯の主体となりうることと行動する必要性を、参加者全員で再確認した。
団結する場所がある
その後に様々な団体から女性差別、ジェンダー差別の問題が提起された。一つ一つの問題提起は国際女性デーの闘い、女性差別を告発した問題提起があらゆる不平等や抑圧の構造と連続していることが分かる内容であった。各問題を紙面で提起するには内容は膨大であり、全てを紙面で報告しきれないことが非常に悔しい。選択的夫婦別姓がままならない現状や、天皇制に女性差別が内包されている問題を国連が勧告した際の日本政府の感情的な反発も問題だとも参加者の中から意見があがった。新しい抑圧の構造は立法機関である国会の法案や与党と内閣を含む「民主的」な代表の中から新たに生産される現実と向き合わされる。女性差別をはじめジェンダー差別は、資本主義、家父長制、天皇制の存在そのものを克服せねば打開できないと、参加者は言葉にせずとも認識しうる内容になった。
集会の中の問題提起をする人々からは民意は他者に委任するものでない事が行動を通して伝わり、日常生活では孤立しているかもしれないが団結をする場所があることに改めて気付かされた。国際女性デーはそもそも米国の社会主義的な女性の闘いからはじまり、第2インターナショナルの決議の中で世界へ拡大し、1917年のロシア革命のはじまるきっかけになった歴史を持つ。闘争の主体は女性を中心としたプロレタリアートなのだ。地道な分析と運動は議会主義の枠では提起されることがない核心をつくラディカルな政策も訴え得る、その可能性を感じる集会となった。
世界の一角・渋谷で350人のデモ
集会の後、13時20分より渋谷の街でデモ行動を行った。2025年の国際女性デーはウィメンズマーチを渋谷で始めて以来、初の週末のデモとなる。運営に携わった人からも多くの参加者と連帯し、道行く人々に呼び掛けられる貴重な機会だと意気込みの意思が表明された。
デモが始まるはるか前から出発地点となる神宮通公園には多くの人々が集合し、会場に集まる人数は午前中の集会と比べ更に人数は多い。参加者も手作りの横断幕やプラカードも用意してきており、更に多くの問題が提起される場所になった。
同時に公園の中では同じ日の夕方に行われる共同炊事の機材も準備されていた。生活は困窮し食事や住居も保障されない、憲法25条の条文を支配階級は理解しようともしていないのだろうか。同じ場所でもう一つの闘いが行われている事実を突きつけられた。
デモはシュプレヒコールや鳴り物など参加者の様々な方法で道行く人々や当日に労働に携わる人々にも届けられた。デモの前に運営側は警察から急いで歩くようにと声をかけられるかもしれないが、自身のペースで歩いていい旨を参加者に伝えてくれた。道中からデモの内容に難癖をつけ挑発する人が過去におり、そうした経緯が運営側と警察との間の緊張関係をもたらしていたように思えた。幸い、当日は挑発する個人や団体はなく無事に貫徹し、デモ隊も萎縮することもなく毅然と貫徹できた。
デモの道中にはかつての宮下公園も通った。集会が行われ、この場を拠点に生活する人々や共同炊事が行われたことが思い出される。生存と闘いの拠点であった宮下公園は政治と資本により強制的に解体され大型商業施設としてデモ隊の前に立ち現れる。その時、デモ隊の中から宮下公園が破壊された問題を話す人の声があった。話していた人々の年齢は20代前半に見え、たまらず私も話しに加わり問題意識と情報を共有した。社会の理不尽に憤り闘いに加わる新しい活動家層も確実に拡がっている。宮下公園の破壊を許すなと突発的なシュプレヒコールも上がる。様々なシュプレヒコールが上がり運動の中で運動は発展していく様子を目の当たりにした。
当日は3月らしからぬ雪が降る寒い日であったが、ものともせずに参加する人々がおり闘いを貫徹した。国際女性デーの国際的な行動の一環としてウィメンズマーチ東京は世界の一角である東京の渋谷で行われた。今後の闘いは新たに連帯する人々も増えると共に、新たな問題が顕在化し提起される可能性がある。これからも日常生活における個人が主体となる闘い、集会やデモによる闘いを通し新たな闘いを経て新たな拠点を築きえると確信できる闘いとなった。
一人一人の行動は大きな闘いに発展しうる。もう一つの世界は可能だ。 (TS)

「女性差別撤廃条約選択的議定書の速やかな批准を」(3.8渋谷)

ウィメンズマーチ東京2025(3.8渋谷)
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