「日の丸弁当のお話」

コラム「架橋」

 少年時代に住んでた八軒長屋の隣家は大工の「ス~さん」。毎朝、自転車に弁当を結え荷台に大工道具を括り付け「颯爽」と出かけて行く。温厚で働き者のおじさんが一躍「長屋のヒーロー」になった時のお話。
 町民参加「自転車競争」に「スーさん出場」の話しに長屋は大盛り上がり。大会当日、6号線沿いに陣取り、いまかいまかと待ちわびる中「間もなく選手が来ます」と先導車が通り過ぎた。
 目の前を軽快車に乗った若者が走り去る。2番目! 交差点を曲がり手拭を巻き、印半纏を靡かせ普通自転車に跨ったスーさんが「大歓声」の中をすっ飛んでいく。
 結果は3着。賞品を小脇に抱えて戻った「長屋のヒーロー」囲んで長屋は沸き返った。戦後の貧しい時代に習った文部省唱歌「ひのまる」。
 戦前の二番は「朝日の昇る 勢ひ見せて ああ勇ましや日本の旗は」だったが「青空高く 日の丸挙げて ああ美しい 日本の旗は」に変えた。
 明治以降、少年を「忠君愛国」に染め上げ、「日の丸」はその象徴だ。ス~さんは、そんな時代を生きてきた。
 自民党憲法草案「国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする」「日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない」とする。
 「国旗毀損罪創設」PTは「個人の内心に立ち入ることは想定せず、国旗尊重義務等は設けない」と白々しく語る。
 立法の根拠不明が指摘されるなか、「もし」「仮に」「例えば」等が「立法趣旨」になるなら、権力にとってこの上もないものを得たことになる。
 敗戦により肩に食い込む三八式歩兵銃を投げ捨て、道具箱を肩に担ぐ平穏な日々が始まった。
 スーさんは、戦争で壊れた家屋を毎日毎日修理し修繕し、家族の団欒の場を作ることを仕事にしたのだ。
 高市が執着し「何でもないですよ!」と言う「国旗毀損罪」。土砂がドサッと外堀を埋め次は内堀・本丸〈憲法改悪〉を狙う・・。
 日の丸弁当を頬張りながら、「お花畑」で子どもと遊び、ちゃぶ台囲んでの団欒が一番良かったとスーさんが語る声がする。
 (朝田)