蔵王の樹氷の危機は去ったのか
コラム「架橋」
5月14日号のコラムで私は「タケノコご飯のない春」と題して、「シナチクノメイガ」による竹林被害について書いた。その文章を書きながら蔵王のアオモリトドマツの惨状について、連想ゲームのように思い出していた。
4年ほど前の秋、法事で山形県の庄内地方を訪ねた帰り、久しぶりに蔵王温泉に立ち寄り、ロープウェイとゴンドラを乗り継いで、蔵王地蔵山頂駅まで登った。秋晴れの好天、西方の村山盆地の先には月山が、その南には朝日連峰、飯豊山、吾妻が連なり、月山の北方遠くには鳥海山も小さく見えたように思う。
それはともかく、私を驚かせたのは地蔵山頂駅から広がるアオモリトドマツの大群落の木々のことごとくが枯れていることだった。この一帯こそ、山形の冬の風物詩、蔵王樹氷原の中心である。
山頂駅近くの地蔵尊の前に説明版があり、木が枯れた原因はトウヒツヅリヒメハマキの蛾の幼虫の食害であること、対策の研究と苗木の植樹が試みられていること等が記載され、カンパ箱が置かれていた。
虫害対策が簡単にいくのだろうか、寒冷地の高山地帯での植樹は難しいのではと危ぶみつつ、カンパ箱にお金を入れたことを覚えている。
それから何回かの冬が過ぎ、そのたびごとに以前と変わらない広大な蔵王の樹氷原の様子がテレビに映し出されてきた。その映像を見るたびに、私はあの枯れ木群はまだ立っているのだな、いつまで立っていることができるのだろうと思ってきた。
25年の11月時点で蔵王のアオモリトドマツの虫害被害は止まっているようであり、植樹等も順調と報告されている。しかし、温暖化によって、夏場に蛾が生育しやすい環境になっているとの指摘があり、虫害の再発生が危惧されている。
もっとも、このまま温暖化が進めば、早ければ2040年前後には蔵王で樹氷は出来なくなると指摘されている。 (O)

