11.30変えたらアカン!平和憲法市民集会

石破政権の改憲・軍拡STOP!

市民と野党の全力で改憲止めよう

 【大阪】11・30市民集会実行委員会主催の集会がエルおおさかで開かれた。山本健治さんが主催者あいさつをし、「高槻で、『憲法をかってにさせない会』として毎月2回勉強会、駅前でスタンディング活動してきた。ロシアのウクライナ侵攻が起きてからは、ロシア領事館前で抗議活動をしてきた。日本がかつて侵略をした国であることを忘れず、再び侵略をする国にしてはいけない。また、トランプが言った力による平和も許してはならない」と述べた。

期限を切った改憲宣言

 続いて大江京子弁護士(東京東部法律事務所)が講演をした。大江さんは、改憲問題対策法律家6団体連絡会事務局長として活動をしている。この団体は、改憲の動きに警鐘を鳴らし市民と共に改憲反対の運動をしていく趣旨で、2013年につくられた。
 2017年5月3日、【安倍首相が2020年までに新しい憲法を施行すると宣言】した。期限を区切った改憲ののろしだ。それに呼応し自民党が18年3月改憲4項目(自衛隊明記・緊急事態条項・合区解消・教育無償化)の改憲たたき台素案を発表した。これが今ゾンビのように復活している。2018年6月~21年6月までの3年間は、立憲野党ががんばって、改憲4項目の議論をさせなかった。野党は共闘!の体制が生きていた。2021年9月岸田政権ができ10月総選挙があり、野党共闘は思うように票を伸ばせなかった。その機会を捉えて、一斉に野党共闘バッシングが始まり、維新・国民民主党が改憲を打ち出し、立憲民主党・共産党を包囲し、改憲の大合唱が始まった。私はほぼ毎回憲法審査会を傍聴したが、このときの改憲派の攻撃はすさまじかった。そして、改憲5派(自民・公明・維新・国民民主・有志の会)は【国会議員の任期延長改憲】に狙いをしぼった。岸田首相は、【自分の任期中(2024年6月)に改憲】をくり返し発言した。
 21年秋の総選挙後の国会は、衆参両院で改憲勢力が3分の2を上回り(衆院では4分の3近く)、改憲派にとってはまたとないチャンスが到来した。絶体絶命の崖っぷち状況で2022年~24年の通常国会まで、改憲発議を阻止したことは、市民と労組、法律家による平和を求める運動の特筆すべき成果だ。任期延長改憲案作成も阻止した。

 新局面
 
 2024年10月の選挙により、改憲派(自民・公明・維新・国民・参政・保守)合わせても議席は3分の2に届かない。国民の怒りが表出、国民の経済的困窮の一方で、裏金・腐敗のやりたい放題の自公政権に対する怒りと不信が、自公政権惨敗という結果を生んだ。安倍一強以来の「自公政治を正す転換点」(東京新聞)となった。戦争へと突き進む政治(軍備増強・日米軍事一体化・9条改憲)の流れを止めて、平和と生活・個人の尊厳を守る政治(憲法に基づく政治)へのスタートラインに立った。このチャンスを絶対逃すまい!6団体はそのように見ている。
 国民は改憲を必要とは考えていないし、専守防衛を支持している。しかし、自衛隊が南シナ海で米英豪などと実戦的な演習を行っても、マスコミはほとんど報道しないし、世論の反発も見えてこない。軍事演習が行われるというのは、米国が戦略をつくり、それを日本が了承しているからである。「日本は明日のウクライナ」・「台湾は日本の生命線」・「台湾有事は日本の有事」などといった政治家やメディアの言説が一定の影響を与えていることも事実。危機感を煽る政府やマスコミの誘導がある一方で、国民には必要な情報が知らされていない。まず、事実を知ることが第一だ。事実を知らせるのはメディアの使命だ。

 新局面での改憲動向

 自民党の説明はこうだ。◦憲法に自衛隊が明記されても、何も変わらない。◦大震災から国民を守るには緊急事態条項が必要。◦北朝鮮が核ミサイルを開発し発射実験を繰り返すのは、我が国を狙っているから。◦中国の覇権主義に対し、日本が軍事力を増強し、日米同盟を強化すれば日本は安全。◦米国の核の傘は日本を守る。これらは本当なのか。
 新局面で自民党は9条改憲と緊急事態条項について本腰を入れてあらゆる手段を用いて仕掛けてくるとみるべきだ。2022年秋~24年秋は、改憲派は9条改憲について足並みがそろっていなかった。岸田首相が任期中の改憲に前のめりになったのはなぜか。それは、米国に約束したからに違いない。そこで改憲派が考え出したのが、大地震などで選挙ができないとき、国会議員の任期を一定期間延長するための改憲だった。そのような改憲では、憲法に緊急事態(大災害・武力攻撃事態んど)を書き込むことになる。しかし現憲法には54条で緊急事態の対策(参議院の緊急集会)が規定されている。この緊急集会について改憲派は、70日以内に限定されているからその集会は不適当だと主張していたが、憲法にそのような規定はない。その後、自民党はこの70日限定説を撤回した。おそらく、自民内部の衆院と参院の対立を解消するためだったと思われる。

自衛隊明記の改憲案の意味

 この2018年たたき台素案は、9条1項2項を維持し、さらに9条の2を創設して、「前項の規定は、……国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、……。法律の定めるところにより……」との条項を付加する。
 この条文の【妨げず】という意味は、9条2項の無効化・空文化を意味する。【自衛の措置】には集団的自衛権が含まれる。【国民の安全を保つ】により海外派兵が可能となる。【法律の定めるところにより】は、憲法で自衛隊の任務や権限を縛らないことを意味する。

 さらにこんな意味が

 自衛隊が明記されると、自衛隊が戦力として憲法で保障されることになる。安保法制もフルスペクトの集団的自衛権も核共有も軍事法廷・徴兵制・徴用も合憲とされるだろう。基地建設の土地収用も可能となり、軍事上の秘密が拡大し、取材の自由も知る権利も制限される。「軍隊」が何をしようとしているかチェックできなくなる。福祉国家(憲法25条)の理念は軍事力増強の必要性の前に無力となるだろう。
 緊急事態条項(戦争・内乱・恐慌・自然大災害などの時)が創設されれば、立憲的な憲法秩序は一時停止、非常措置をとる権限(国会緊急権)を行政機関(内閣・内閣総理大臣)に委譲することになる。

危険な軍事オタク・石破首相

 石破首相は、岸田政権の安全保障政策を賞賛し、大軍拡を引き継ぐ意思を表明し、憲法改正については「総理在任中に発議実現」を表明し、裏金・統一教会問題には触れず、自らアピールしていた夫婦別姓制度の導入には触れず、原発再稼働に前向き、アジア版NATOをめざす。非核3原則見直し=日米核共有をめざす。日米地位協定を改定し米国の負担軽減のため、米軍基地の日米共同使用を提唱し、軍事法廷創設にも言及していた。彼は、戦前回帰が色濃い自民党憲法改正草案(1912年)作成の中心人物である。

 戦争はつくられる

 戦争はつくられる。戦争は人の心の中で生まれる。人の心の中に平和のとりでを築かなければいけない(ユネスコ憲章前文)。米国が、1990年イラク戦争に参戦する契機となったのも、連邦議会でのクエート人の少女ナイラの証言(「私が働いていた病院にイラク兵が突然乱入し、生まれたばかりの赤ちゃんを床に放り出し……」)だった。これは米国のPR会社がつくった作り話であったことがその後判明したが、この証言で米国民は雪崩を打ってイラク戦争支持に回った。

新たな危機にどう立ち向かうか

 武力による平和ではなく、「攻められない国になる」・「隣国との信頼関係をつくる」・「積極的に非暴力の形で、様々な非軍事の貢献をして信頼を得ることにより、この国の平和と安全を守っていく」。憲法の積極的非暴力平和主義の実践こそ、我々にとっての安全保障の道だ。軍事力増強、軍事同盟強化では、永遠に平和は訪れない。憲法の平和主義に基づく平和外交を行う政権を!  講演後の質疑応答の報告は省略する。

学園都市にミサイル弾薬庫

 続いて、八木武彦さん(「祝園ミサイル問題を考える奈良の会」共同代表)の特別アピール。
 祝園弾薬庫建設の公表は2023年12月、予算は102億円だった。ところが25年度予算案にはさらに192億円が上積みされている。米国から爆買いし近々搬入されるというトマホーク(射程1500キロ)の保管場所として祝園が決定した。もうひとつ保管予定とされている12式地対艦誘導弾能力向上型は全長9メートル、射程1200キロの敵基地攻撃ミサイルだ。祝園ミサイル弾薬庫は巨大な戦争装置。政府は、南西諸島を最前線の戦場とし本土全体をミサイル補給庫にしようと、全国130カ所にミサイル弾薬庫建設を打ち出している。
 祝園弾薬庫はXバンドレーダー基地、イージス艦を配備する舞鶴基地、あいば野日米合同演習場と連動している一大軍事拠点で、おそらく大阪港から船に積まれるミサイルは呉を中継して沖縄に運ばれる。そして、沖縄の短距離ミサイルと入れ替えられるだろう。それは米国の対中国戦争体勢構築の一環だ。有事の時は真っ先に報復攻撃の対象になる。
 祝園の軍事拠点は関西文化学術研究都市のど真ん中。周辺は、157を数える研究施設や大学、企業、住宅、国会図書館が立ち並ぶ、25万人の集住するエリアだ。防衛省は住民説明会の要望に一切取り合おうとしない。精華町では1960年頃に住民と町政が一体となった大規模な基地返還運動があり、その際に弾薬貯蔵量について当局と交わした確認書がある。
 祝園弾薬庫問題の急速な展開に対し、精華町以上に近隣地域(京田辺・木津・奈良・生駒・枚方・交野・宇治)が強く反応し、祝園ネットが設立され、その後精華町の住民団体:精華の会もつくられた。これから自治体をも動かす運動を展開していきたい。
最後に松岡幹雄さんが行動提起をし、憲法審査会の動向を監視していこうとまとめをした。(T・T)

大江京子弁護士

八木武彦さん

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