12.10雇用共同アクション労基研包囲行動
労基法の骨抜きは許さない
労働基準は規制強化こそ必要だ
【東京】「労働基準関係法制研究会」(労基研)の15回目の審議が設定されていた12月10日昼前、会場の厚労省前で同研究会を包囲する行動が行われた。労働基準法の規制に抜け穴を開けることなど許さない、むしろ規制強化を真剣に審議しろ、と求める行動で、全労連や全労協など幅広い労組が結集する雇用共同アクションと労働法制中央連絡会が共催した。なお労基研審議は午後2時から行われ、行動参加者の代表がその傍聴に臨んだ。
厚労省が狙う
規制の空洞化
今年1月23日に発足した労基研は14回目の審議の後、同研究会の報告書作成に向け議論の「たたき台」なるものを11月12日に公表していた。これ自体猛スピードの進行だが、この日直前、先の「たたき台」を審議することもなくいきなり報告書案が発表された。異様ともいえる手回しの良さであり、厚労省の結論ありきの姿勢を浮き彫りにした。
元々この労基研は、労働基準の規制を緩めることに道を開きかねないとして、労働者や日本労働弁護団などの警戒を呼び、雇用共同アクションも監視・包囲行動を重ねてきたものだ。使用者目線の「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書を踏まえた論点整理が検討事項とされ、時を同じくして、デロゲ―ション(規制逃れ)を露骨に求めた経団連の「労使自治を軸とした労働法制に関する提言」が発表されていたからだ。
先に見たこの間の経過は厚労省の意図に関するその警戒を裏書きしている。そして今回発表された報告書案も、デロゲ―ションを明示してはいないとしても、「法定基準の調整・代替」などの表現でそこに道を開けているという。「たたき台」に記述された「一定の範囲内で個別の企業、事業場、労働者の実情に合わせて調整が可能なものとしていくという考え方」が、さらに1歩デロゲ―ションに近づけられた形だ。
財界志向やめろ
過労死直視しろ
この日の行動はこのような厚労省のもくろみへの反撃第一弾、多くの労組代表が怒りの声を上げた。
先ず、雇用共同アクション事務局長の土井直樹さん。デロゲ―ションの前記のようなごまかしを批判すると共に、長時間労働規制を先延ばしにしていることに怒りを表明、厚労省の財界志向を変えようと呼びかけた。
渡邉洋全労協議長も、自由な働き方という言い方が使用者の用語であることに注意を喚起し、そのような言い方を労働基準の規制緩和の名分にしようとすることは認められない、過労死の増加という実態をこそ直視しろ、と力を込めた。
全労協の柚木康子さんは、労基研はそもそも訳の分からない議論をしている、何のために労働基準を下げるのか、それでジェンダー平等に向かえるのか、女性が活躍できるのか、など直截に怒りを表明した。
日本マスコミ文化情報労組(MIC)の上田敬さんは、不平等な力関係を無視して労使合意で規制緩和を正当化しようとするごまかしを批判しつつ、情報業界の問題の核心は長時間労働だ、と実態を告発した。
農協労連の館野豊書記長は、誰にでも適用される基準という労基法の根本をねじ曲げるな、と訴えた。
最後は秋山正臣全労連議長。日本が8時間労働を謳ったILO1号条約を未だ批准せず長時間労働依存を続けていることを厳しく批判し、多様な働き方を理由に規制の弾力化をもくろむことなど認められない、と断じた。さらに、プラットフォーム労働など、問題のある働き方が増えている現状も踏まえれば規制の強化を議論することこそ肝心だと強調し、闘いはまだまだ続くと奮起を促した。
過労死がなくなるどころかむしろ増えている現実を前にこのような規制外しを許すわけにはいかない。参加者全体は、さらに闘いを強める決意を込めたシュプレヒコールのアピールで行動を終えた。 (神谷)

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