福島原発事故から13年:東電は新たな危機を準備している!

危険な短期廃炉計画は転換せよ

原発回帰政策を止めよう

 3・11事故後13年過ぎた。
 1F原発が吐き出した放射性物質の被害は甚大かつ重大であり、全く回復していない。福島第一原発廃炉工事遂行には数多くの障害が存在し、廃炉工事は滞り、行く先を遮っている。燃料デブリの存在及び福島第一原発が排出した放射性物質が汚染させた放射能汚染ごみ等の難関は事故原発固有のものだが、使用済み核燃料の処理、および放射性廃棄物の処理は原発に共通の障害である。
 これ等の障壁から原発は「トイレ無きマンション」と呼ばれている。この弊害から逃れる道は原発利用の一刻も早い中止及び運転停止しか存在しない。この現実をよそに国はGX推進法を決定し原発利用政策に回帰している。
 そして、国・東電の1F事故の真実を覆い隠す策動が横行している。原発事故による損害、の賠償及び被害の回復責任は国・東京電力にある。しかし彼らは責任の言い逃れを言い始めている。富岡町にある東京電力廃炉資料館で国が発行する冊子「廃炉の大事な話」中で廃炉を進めるため、デブリの保管場所は地元自治体で話し合い民主的に決定を促している。「何と無責任な発言であることか!」。
 補助金で縛り付け強引に原発を建設し、運転を続けて来た歴史はまるでなかったかの様である。国・東京電力には廃棄物の処理を含め事故処理全責任がある。

東電の無責任さ
弊害は拡大一途

 東京電力は燃料デブリ回収成功を大々的にアピールした。
 しかし今回回収したそれは僅か数gの試験片に過ぎない。デブリ総量880Tに比較すると、全量回収完了を見通すには絶望的に少ない量であることは余りにも明らかであり工法も未定である。又新聞・TVはデブリ回収について、福島原発廃炉の最難関との評価には重大な難関が隠され、かつ無視されている。それは、放射能汚染ごみ、使用済み核燃料、未使用核燃料である。それらのすべてが保管方法不明である。
 国・東京電力の採用した短期廃炉計画の弊害が耐え難い程に拡大している。
 東京電力は反対を無視し海洋投棄を強行し続けているが、汚染水も又放射能汚染ごみであり本質は液体放射性廃棄物なのである。放射性廃棄物のうち、個体物は福島第一原発敷地内の整理、解体の進行に伴い続々と増え続けている。又液体の放射性廃棄物も同様である。とりわけ液体のそれは未だ総量は発表されていない(福島第一原発事故発生直後、排水口から海に流れ出した汚染水は放射性物質を高濃度で含んでいた)。
 流れている汚染水の公海への流出を止めるべく、東京電力は福島第一原発構造物の地下室へ貯蔵、排水溝中の汚染水の固化等の諸策を取り漸くそれは防止された。これらの固化された液体放射能汚染水中には放射性物質が高濃度で含まれており、福島第一原発の廃炉を遮る重大問題である。敷地に存在しているのは除染廃棄物保管庫の群と焼却設備である。そしてこれらの保管容器は耐久性に重大な欠陥が存在している。それは放射線に対するそれである。保管庫の素材が放射線により脆くなる等の現象であり、それぞれ年限の経過により入れ替え作業を余儀なくされている。そして廃棄物の一部は処理が滞り野積みされているのが現状である。
 国・東京電力は固体廃棄物のうち、可燃物は燃やし、液体廃棄物は放射性物質と水分を分離し水分は海洋投棄する方向である。これらの方針を遂行する過程で、労働災害が繰り返されている。労働者が相次いで放射能汚染水を被る(2023年5月、労働者5人が放射性物質を含む洗浄液を被った)。4月24日東京電力の指示により構内の高圧線を引きはがす目的でドリル作業中高圧線に触れる電撃事故が発生。又除染廃棄物の処理も重大な障害のひとつである。福島第一原発の陸側の谷には放射除染ごみが存在している。
 福島第一原発廃炉はその姿は未定であり、完了時期も又同様が現状である。この現実をよそに、県は自主避難者を避難者住宅からの追い出し、他方破格な条件で移住者拡大を進めている。単身者には一人60万、二人の家族には100万、又家族全員で移住する場合には18歳未満の子供には一人当たり100万という厚遇である。
 しかし放射線被曝基準値0ミリ㏜(シーベルト)等不都合な事柄を隠す方策及び言説が流布、横行し蔓延している危機的状況にある。福島第一原発は放射性物質を上空及び海水中に吐き出している。それは破綻を準備し危機を蓄積させている。蓄積されてきた危機は破綻を準備し、結果3・11事故を発生させた。放射性物質の閉じ込めよりも廃炉を優先させる国・東京電力の「短期廃炉計画」は新たな危機を準備している。国・東京電力の短期廃炉計画を転換させよう。国の経済産業省の原発回帰政策にストップを!     (浜西)

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