2.6繰り返す米兵による性暴力を許さない市民集会

なかったことにしないで!

 【東京】2月6日午後6時半から、衆議院第二議員会館多目的ホールで「なかったことにしないで! 繰り返す米兵による性暴力を許さない市民集会」が、米兵による少女暴行事件に対する抗議と再発防止を求める県民大会実行委が主催して行われた。沖縄から20人の女性たちがやってきて関係省庁への要請行動を行った。沖縄選出の衆参国会議員4人も参加した。

 【東京】2月6日午後6時半から、衆議院第二議員会館多目的ホールで「なかったことにしないで! 繰り返す米兵による性暴力を許さない市民集会」が、米兵による少女暴行事件に対する抗議と再発防止を求める県民大会実行委が主催して行われた。沖縄から20人の女性たちがやってきて関係省庁への要請行動を行った。沖縄選出の衆参国会議員4人も参加した。

 4項目の要求を採択

 伊良波純子さん(共同代表・沖縄県女性団体協議会会長)が開会のあいさつを行い、その後進行を担った。
 「2024年11月、少女誘拐性的暴行事件が起きた。それが発覚したのが昨年の6月、事件の報道に県民は怒り、心を痛めたと同時に事件が県民に知らされなかったこと、さらに4件の事件が隠されていたことに対し、多くの団体が抗議の声をあげた。7月10日に、沖縄県議会は全会一致で抗議を可決している。12月22日に、会場に入りきれない2500人で県民大会を開いた。その時、4項目の要求を採択した。1、被害者への謝罪と丁寧な精神的ケア及び完全な補償を行うこと。2、被害者のプライバシーの保護と二次被害の防止を徹底すること。3、事件発生時の県・市町村等自治体への速やかな情報提供を行うこと。4、米軍構成員等を特権的に扱う日米地位協定の抜本的改定を行うこと」。
 「この4項目は過剰な要求ではない。安全・安心、平和に暮らしていくための最低限の要求だ。年が明けて1月8日に、また同様の事件が起きている。これを受けて実行委は1月22日に、外務省沖縄事務所・嘉手納防衛局に三度目の抗議に行った。相変わらずの対応だった。今日は東京行動ということでやった。ここに来たら直接私たちの声を届けるという役割がある。これが出来たことは評価できる。先ほど議員集会があり、この市民集会がある。4項目を実現するために力を合わせていきたい」。
 実行委員会より、共同代表の高良沙哉さん(沖縄大学教授)が発言(別掲)。次にBe the change Okinawa代表の親川裕子さんが、昨年の10月に出された国連女性差別撤廃委員会は日本政府審査後の総括所見で、在沖米兵らによる女性への性暴力を防止することとあわせて「加害者を適切に処罰し、サバイバーに十分な補償を提供するための適切な措置を講じること」を勧告したことを報告した。
 アクション沖縄代表の報告、教育現場から沖縄県教職員組合女性部長が発言した。

性暴力を許さない女たちの歩み

 そして、高里鈴代さん(基地・軍隊を許さない行動する女たちの会代表)が「性暴力を許さない女たちのあゆみ」を明らかにし厳しく批判した。
 沖縄タイムスが2024年12月23日に「奪われ続ける尊厳と命」として1945年4月1日に米軍が沖縄に上陸してから2024年6月21日までに米兵による性暴力事件の年表が掲載された。
 「不条理いつまで12・22県民大会」で、県民大会の前にスクリーンに映し出したものだ。それのPDFにしたものを翌日、沖縄タイムスがテレビ欄に変えて発表した。
 「いかに沖縄の女性たちが米軍の上陸から80年に渡って、被害を受けてきたかという証拠だ。しかし、これも氷山の一角だ。以前はライス国務長官も謝罪した。4軍の外出禁止まで出た。そのように対応していたこともあったのに、今回はそのような対応はしていない」と歴史的な経緯を含めて批判した。
 次に、フェミ・ブリッジがオンライン署名を始めすでに4万2700筆集まり、さらに参加を訴えた。

沖縄に対して構造的な暴力の行使だ

 「エンパワメント・ラボ・おきなわ」の上野さやかさんが訴えた。
 「防衛省などと交渉したが残念な気持ちだ。それはどこにも当事者への配慮、当事者の姿がまったく見えなかった回答だったからだ。当事者のケアーの話がまったくでなかった。沖縄防衛局での回答とほとんどいっしょだったからだ」。
 「当事者は安心して暮らせない。外に出るのが怖い。結局家の中に閉じこもり、自分を傷つけるような行為を行いながら、何とか命をつないでいる」。
 「沖縄の子どもたちは決して無力で可哀そうな子どもたちではない。出来ることはいっぱいやっている。それでも沖縄に対して構造的な暴力であると意識しなければいけない。広告の紙面は当事者が二度と繰り返してほしくないということで語ってくれたからこそ、こうやって表として現れている。だからこの思いを受け止めて、私たちは本当になくしていくというために、連帯していくことがものすごく大事だ」。
 二人の学生の訴え。 「根本に日米地位協定の問題がある。何回糾弾してもそれでも事件は起きる。あきらめず、できることはある。それは世論をつくることだ。沖縄以外でも基地のある所で基地の賛否を問う住民投票をする」などが考えられる。
 つづいて4人の県議会議員が発言し、東京12・22新宿行動に参加した女性たちが怒りと連帯の報告をした。今後とも米兵による女性への性暴力を糾弾し、そうした事件が起きないように闘うという力強い女性たちの訴えが発言者一人一人の強い気持ちを込めて発言が続いた。

自分たちの問題として

 基地・軍隊と男性による女性への性的抑圧の問題が一体となって、沖縄での米兵による女性への性的暴力事件が起きている。
 この問題は沖縄だけの問題ではない。かつて三里塚現地や組織内で起こしたわれわれの組織での女性への性的暴力事件を踏まえて、こうした問題に向き合って連帯していかなければならない。  
 (M)

 共同代表 高良沙哉さん(沖縄大学教授)発言から

米兵犯罪がなぜ起きるのか、その問題点

 「12月米兵による少女誘拐性的暴行事件があった。その当時被害少女は16歳未満だった。不同意性交となる重大犯罪だ。少女の人間としての尊厳を守ることができていない。このような事件が起こらない社会を作っていかなければいけない。被害者が過度に苦痛を強いられる法廷は間違っている。被害者のプライバシーや人権への配慮は必須だ。事件が隠蔽されていた半年の間にも、米兵による性暴力事件が複数起こっており、後続の事件の発生も防ぐことができなかった。日本政府は駐留受け入れ国として米軍に自国の兵士の管理を徹底するように毅然と求めなくてはいけない」。
 「米兵犯罪をめぐっては多くの問題点がある。第一に、地位協定の不平等性、日米地位協定17条5項Cには公務外の犯罪であり、日本国が第一次の裁判権を行使する事案であっても、被疑者の身柄が米軍にある時には日本による公訴提起まで米軍が引き続き、身柄を引き続き拘束し続けると規定されている。2023年12月の事件も公務外に起こったことだ。米軍から協力を得ながら、捜査を続けたということだが、そもそも特権的な地位が問題だ」。
 「第二に、地位協定の身柄引き渡し条項が95年9月の3人の米兵による少女暴行事件があったが、それを契機として運用改善がなされているが、実際には日本側からの身柄引き渡しがなされなくなっている。地位協定による特権的な地位の付与は米兵に優位性を与え、沖縄の人々に対する差別感情を再生産し、米兵による犯罪の背景になっている。すでに地位協定の運用改善の実効性は失われており、銘文改定が必要だ」。
 「第三の問題は県への通報体制が機能していなかった。97年の日米合同委員会において、米兵による事件・事故の通報体制が合意されている。しかし今回の事件で通報体制が機能しなくなっていたことが発覚した。実効性のある改定の実現が必要だ」。
 「第四に、基地内のパトロールの強化とか性暴力研修を強化するとか、そういった教育体制の見直しが発表された後、米軍人が地域住民の人権を尊重し、日本の国内法に従うようきちんと教育がなされなければならない。沖縄の人々は日本全体から見れば少数者で沖縄の声は日本に届きにくいかもしれない。しかし、少数者である沖縄は日本の防衛政策によって、約7割の米軍基地を負担させられている。この政策そのものが不平等で問題だが沖縄で起こっている問題、米軍駐留から発生するさまざまな問題を心においていただいて、皆さんと連帯しながら問題解決に向けていきたい」。
(発言要旨、文責編集部)

米兵による性暴力を許さないと衆院議員院内集会(2.6)

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