3・1辺野古県民大行動に560人

新基地反対!埋立ストップ!不変の決意

沖縄報告 3月3日 沖縄 沖本裕司

 第一土曜日の3月1日、米海兵隊キャンプ・シュワブゲート前で辺野古県民大行動(オール沖縄会議主催)が行なわれ、560人が集まった。最高気温が25度になる陽気に参加者の足取りも軽く見えた。
 進行役はいつものように福元勇司さん。はじめに、シュプレヒコール。「民主主義を破壊する基地建設やめろ!」「地方自治を壊す代執行やめろ!」「政府は玉城デニー知事と対話せよ!」「県民は知事を支えて頑張るぞ!」の叫びがゲート前にこだました。
 稲嶺進(オール沖縄会議共同代表)さんは「日本の若者が将来に希望を持てないという調査結果がある。若い人々が希望に向かってチャレンジしていくことができるよう、我々が何をなすべきか。基地のない沖縄の未来をつくっていこう」と呼びかけた。続いて読み上げられた知事メッセージは、「私は新基地建設反対の公約を掲げて当選し県民の負託を受けています。政府はこうした民意を一顧だにせず埋立工事を進めていますが、対話により解決策を求める民主主義の姿勢を粘り強く訴えていきます」とアピールした。
 辺野古弁護団の中村昌樹弁護士は「県と国との裁判は県が敗訴しているが、その実態は、双方の争いに裁判所は関与するものではないというもの。中身の判断がない。住民訴訟は原告適格が認められれば内容に入っていくことになる。3月4日は、知事の不承認を支持する住民の抗告訴訟、5日は、代執行の取り消しを求める住民の抗告訴訟の期日が予定されている。弁護団も諦めずに闘い続ける」と述べた。
 八重岳を守る会の日高達雄さんは、「遊休化していた八重岳の米軍通信施設が嘉手納基地からの最新鋭施設に更新される。電子戦部隊は新しい戦争の役割を持つ。強力マイクロ波による事故の可能性もある」と注意を喚起した。昨年結成された「八重岳を守る会」の呼びかけには「南西諸島が第一列島線という壁であるならば、八重岳はそこから突き出した〝眼”になるでしょう。……八重岳に電子戦の基地が作られ、戦争が始まれば、まっさきに相手国から狙われるのはこの〝眼”でしょう」と端的に記されている。
 宮城秋乃さんの無罪判決を求める署名は一カ月という短期間で、計2474筆にのぼったことが報告された。
 新潟県立大学から学生3人と共に参加した福本圭介助教は、「沖縄に基地が集中していることはヤマトに責任がある。辺野古の海に浮かぶ怪物のような工事船は本土の象徴だ」と述べて、辺野古県民投票から6年となった2月24日に新潟で行なったシール投票の結果について次のように報告した。――設問①沖縄の基地集中は差別だと思うか?について、回答者66人中、53人が「差別だ」と答えた。さらに②解決策をたずねたところ、「本土へ」が24人、「米国へ」が22人だった。小さいけれど希望がある。新しい道が開けるかもしれない。
 うるま市島ぐるみ会議の照屋寛之さんは、「日本の政治は冷たい風を沖縄に送ってきている。土砂搬出の宮城島で連日、ムカデよりも遅い歩みで搬出を遅らせる行動を貫徹している。4月27日の市長選にはタイガ必勝!」と呼びかけた。女団協の伊良波純子会長は、先日の東京行動をふり返って、「不慣れではあったが、女性たちが直接訴えたことに大きな意義があった。院内集会は140席が満席。悪いのは政府。内地の人々と連帯して闘っていきたい。米兵の性暴力をめぐる問題は沖縄だけの問題ではない。全国各地にある。ただ沖縄はあまりにも多いだけだ。声をあげられない人たちも一緒に、諦めることなく行動していこう」と述べ、大きな拍手を浴びた。
 国会議員5人が前に並び、屋良朝博さん(衆院3区)と伊波洋一さん(参院)が代表して発言した。伊波さんは、「戦争準備の安保三文書はアメリカの戦略。南西諸島を戦場にすることにNO! 日本列島にミサイルを配備する計画は日本を盾としアメリカを守るものだ。自衛隊は米軍と共に対中国戦に向かうのではなく、専守防衛に立ち戻れ!」と訴えた。
 県議会与党会派の仲宗根県議、現地闘争部の瀬長和男さんの発言のあと、高里鈴代さんのリードで、ガンバロー三唱を行い、プラカードを高く掲げた。

3月2日浦添西海岸の浜下りに50人

この美しいイノ―を埋め立てて軍港をつくるな!

 3月2日昼、浦添西海岸パルコ前で、「那覇軍港の代替施設」を口実に進められている埋立と軍港建設に反対する浜下りの行事が行われた。主催は、浦添西海岸の未来を考える会、美ら海を未来に残したいうちなーんちゅの会など。進行役は里道昭美さん。「この海は私たちのもの」との呼びかけに、子どもたちも多数集まり、イノーの海の散策を楽しみ、ビーチクリーンも行った。右手遠方には、地質調査のボーリングを行なう巨大な施設が目に入る。
 浦添西海岸は中南部に残る唯一ともいえる広大な浅瀬の海だ。浦添市長選挙では、埋立・軍港建設を容認する市長が当選したが、浦添西海岸の埋立・軍港建設に関する市民の民意がきちんと確かめられたことはない。この日の集まりでも、ガマフヤーの具志堅さんが「県民投票をやるべき」と訴えたように、西海岸の埋立・軍港建設は、浦添の未来、沖縄の未来を左右する重大な問題である。
 米軍はすでに沖縄に数カ所の軍港を有している。東海岸には大型の強襲揚陸艦も着岸可能なホワイトビーチ(850mのA桟橋、450mのB桟橋)があり、弾薬埠頭として天顔桟橋、さらに金武町のレッドビーチもある。辺野古・大浦湾を埋め立てて造られる岸壁は強襲揚陸艦が着岸可能だ。米軍の強欲には限りがない。1976年に返還合意され、その後ほとんど遊休状態にある那覇軍港の代替として、最新鋭軍港施設を要求しているのだ。
 日本政府の政治家や官僚たちは沖縄の未来について真剣に考えない。「安全保障」を口実に、米軍の求めるまま沖縄の各地を基地として差し出すのである。沖縄はますます破壊され傷つく。しかし、政治は変えられる。そのためには、倦まず弛まず、市民が、県民が当事者として大きく声をあげ続ける以外にない。

戦争止めよう!沖縄・西日本ネットワーク結成集会

鹿児島会場とオンラインで約500人が参加


 2月22日(土)午後、鹿児島県よかセンターにて、戦争止めよう!沖縄・西日本ネットワーク結成集会が開かれ、各地の反戦・反基地闘争の現場から鹿児島の会場とZOOM、合わせて約500人が参加した。私はオンライン視聴した。オンラインでは悪質なネット攻撃が何度もあったが、最後までオンライン発信が行われた。
「互いを知り、運動とつながり、戦争を止める!」をスローガンに、呼びかけ団体には、ノーモア沖縄戦命どぅ宝の会、ミサイル配備から命を守るうるま市民の会、石垣島の平和と自然を守る市民連絡会のほか、さつま町の弾薬庫問題を考える会、平和を求め軍拡を許さない女たちの会・熊本、大分敷戸ミサイル弾薬庫問題を考える市民の会、ローカルネット大分・日出生台、辺野古土砂ストップ北九州、平和といのちをみつめる会(福岡)、ノーモア沖縄戦えひめの会、ピースリンク広島・呉・岩国、京都・祝園ミサイル弾薬庫問題を考える住民ネットワークなどが名を連ねた。
 沖縄・西日本ネットワーク結成のきっかけは、2023年11月23日、巨大なスイミーバイの寄せ書きが記憶に新しい、奥武山陸上競技場で開催された県民集会(沖縄を再び戦場にさせない県民の会主催)と交流会だった。その後、愛媛、沖縄、広島、大分での交流集会を経て、ネットワーク結成に至ったものである。
 「第1部地元からの報告」で「西日本で進む軍事強化」と題して基調報告を行った高井弘之さん(ノーモア沖縄戦えひめの会)は「これまで各地で個別に行われてきた運動を連帯させ共に闘おう」と訴えた。
 鹿児島県内からの報告は、①馬毛島への米軍施設に反対する市民団体連絡会の長野広美さんが、「当初、国は〝10日間の訓練を年2回ほどやるだけ”と説明していたが、計画がどんどん拡大した。160億円の買収価格も不合理、豊かな自然が破壊され、馬毛鹿の絶滅も危惧される」と述べた。
 ②戦争のための自衛隊配備に反対する奄美ネットの城村典文さんは、奄美大島が与那国・石垣・宮古・沖縄島につながる自衛隊ミサイル基地をされ、軍事訓練が日常化している現状を報告し、平和への取り組みを続ける決意を語った。
 ③さつま町の弾薬庫問題を考える会の武さとみさんは、一昨年12月、自衛隊がさつま町内に弾薬庫建設を計画しているとの新聞報道に驚き、仲間と共に会を立ち上げ、白紙撤回を求めて活動してきた経緯を語った。
 そのあと、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会の高田健さんが連帯アピールに立ち、「戦争する国になろうとしている政治を力を合わせて止めよう」と訴えた。

2.15『沖縄報告』出版記念講演会

沖縄の歴史的闘いの10年

 2月15日(土)午後、東京都江東区の総合区民センターで、『沖縄報告~辺野古・高江10年間の記録』の出版記念講演会が開催された。会場となった6階第2研修室は、仙台、静岡はじめ関東一円から集まっていただいた旧友、知人の皆さんで満室となった。
 進行役は、京極紀子さん(バスストップから基地ストップの会)、稲垣豊さん(ATTAC首都圏)のお二人。幕開けは、女性四人の歌サンシングループ・とぅるるんずによる「祝い節」「繁盛節」。続いて、柘植書房新社の上浦英俊さんがあいさつに立ち、「はじめ定価は4000円と考えていたが、沖本さんから‘それでは沖縄で売れないよ’と言われ3000円とした」などという裏話を披露し、販売促進を呼びかけた。
 私はパワーポイントに沿って約一時間余り、「沖縄の歴史的闘いの10年を振り返る」と題して、沖縄報告を書き始めたいきさつ、今回の単行本発刊の経緯、翁長知事誕生に始まる10年間のカギとなるポイント、済州・台湾・韓国・鉄原・香港・金門・南京など国境を越える交流、アジアは一つという歴史的物語としてのサツマイモの話などを語った。講演内容のパワーポイントのPDF版、および、当日の各パートの動画があるので、希望する方はお知らせください。
 休憩は30分。サータアンダギーとホットコーヒー・温かいお茶を味わいながら、安里屋ユンタ、涙(なだ)そーそー、花などの歌サンシンでくつろいだ。
 スピーチは、棣棠浄さん(郵政シルバーユニオン)、佐藤定夫さん(ブログ「呆け天残日録」)のお二人。佐藤さんが「沖縄報告」を写真と共にブログに上げていただいた回数は198回に達した。あらためて佐藤さんにお礼申し上げたい。そして、ブログには以下のような詳細な記事が早速あがった。
 2・15『沖縄報告~辺野古・高江10年間の記録』出版記念講演会: 呆け天残日録
 会場からの発言が様々に行われた後、参加者全員で「沖縄を返せ!」の大合唱とカチャーシーの舞いで締めくくられた。最後は記念の集合写真。その後、近くの中華料理店に場所を移して、懇親会が行われた。有難く楽しい集まりであった。

2025.3.1 辺野古県民大行動に560人。 新潟県立大の教官・学生。

2025.3.1 辺野古県民大行動に560人。 プラカードを掲げてガンバロー。

2025.3.1 辺野古県民大行動に560人。 うるま市民会議の横幕。

2025.3.2 浦添西海岸パルコ前。「この海は私たちのもの」 。美しいイノ―の海。

2025.2.15 『沖縄報告』出版記念講演会。とぅるるんずによる オープニング

2025.2.15 『沖縄報告』出版記念講演会。各地から60人余が参加。

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