2.24兵庫県政の正常化を求める県民集会

多彩な発言で民主主義の危機に抗う決意を共有

県政に新しい流れつくり出す!

 【大阪】2月24日、神戸文化ホール(中ホール)で「兵庫県政の正常化を求める県民集会」が開催された。主催は「兵庫県政を正常に戻す会」。同会は昨年11月の兵庫県知事選挙での斎藤陣営による一連のデマ・誹謗中傷、法令違反に関連して、兵庫県警と神戸地検が告発状に基づき厳正かつ迅速な捜査を行うことを求める県民集会を開催するために1月に設立された。
 午後1時開演で、午前九時から整理券配布となっていたが、開演の15分前には整理券はホールだけでなく三つのサテライト会場もすべて配布終了。ホールに900人、三つのサテライト会場も合わせると2000人、ほかにユーチューブでの視聴が2万人以上(主催者発表)。会場周辺や会場内に多くのボランティアがきびきびと参加者を誘導していて、県民だけでなく大阪・京都、東京など各地からも、団体の動員ではなく、多くの人が集まった。
 司会の子守康範さんは元毎日放送アナウンサー、現在は自分のスタジオから「朝刊チャック」をユーチューブで配信している。一人一人に語りかけるような口上で巧みに会場の一体感を作り出す。

 恐怖支配の県政
 が斉藤のやり方

 最初の発言は内田樹さん(思想家・武道家)。開口一番に「私は学生運動に関わって以来『正常化』を求めるような運動にかかわったこともないし、県政に関心を持ったこともなかった」。しかし斉藤知事の一連の発言・行動やメディアの報道姿勢が気になってネット上での議論を追跡し、いろんな場で発信してきた。斉藤知事の政策の問題ではなく(政策的には大したことはやっていない)、県政のあり方が問題だ。彼がやってきたことは主に「組織マネジメント」、つまり企業経営のやり方でトップダウンの効率的な県政に変えていくということだ。これは彼が大阪で橋下・維新の府政・市政から学んできたことだ。効率的な組織にするためには、職員の忠誠を確保するために「敵」をあぶりだし、徹底的につぶすことで恐怖を与える。斉藤氏の場合は、その途中で県政局長の内部告発から始まる問題の公然化と拡大によって頓挫しかかっているが、こんなやり方が許されるようになれば民主主義は失われるし、住民の生活と権利は守れなくなる。県政あるいは自治体はどうあるべきかについて改めて議論する時だ。それが民主主義を守る道だ。

 デマの恐さは
 拡散の高速さ

 作家・コラムニストのアルテイシアさんは竹内県議を追い込んだデマの怖さ、SNSだけでなく口コミでも真実の数十倍の速さで拡散すること、ターゲットとされた人たちを叩くことによって優越感やヒロイズムを満足させるという作用があることを指摘し、斉藤知事やその同調者についてはフェミニストの立場からも、トランプと同類のミソジニーが感じられるし、ミソジニーは女性の政治参加を躊躇させ、妨げるから許せないと力を込めて訴えた。

 切迫した思いが
 それぞれに結集

 次に司会の子守さんが発言。県政局長の内部告発と彼に対する懲戒処分についての最初の報道(小さな記事で、県職員の不祥事のように報道された)について違和感を覚え、「何かある」と考えて自分でネット情報や関係者への取材を重ねてきた。「自殺した県政局長は公務員としての責任感と誇りを大切にしてきたし、退職にあたっても後輩職員たちに県政は県民の生活をよくするのが仕事であり、自分の出世や利益を考えてはならないというメッセージを残していた」と言って彼が書いた最後の「県民局長だより」を読み上げた。
 社会学者の宮台真司さんはビデオ・メッセージで、世界的な現象となっている独裁的リーダーの台頭と民主主義の危機についてどう考えるかを対談形式で語った(音響の関係でよく聞き取れなかった)。
 「選挙ウォッチャーちだい」さん(ジャーナリスト)は、人がデマに騙されるのは「知らない」のが原因であり、たとえば立花孝志がどういう人間かを知れば、彼のデマに騙されることはないだろうと述べ、彼がNHKを退職した経緯や、彼と浜田聡[N党参議院議員]が統一教会と親しい関係にあること、時期が重なる二つの地方選挙に立候補すると示唆して地元住民を攪乱していることなどを指摘した。
 思春期アドバイザーの あかた ちかこ さんは23年4月の京都府議会選挙に立候補した時、街頭で政策を訴えても立ち止まる人は少ないが、貴重な出会いもあった。それでも名前と顔が知られていて、明るくて愛想のよさそうな候補に票が集まることに無力感を感じていた。しかし、今日はこれだけの人と出会えたことで希望が持てるようになったと主催者やボランティアの人たちを労った。
 最後に「兵庫県政を正常に戻す会」代表のドンマッツさんが閉会あいさつ。
 2時間余の集会だったが、人気ブロガーや元アナウンサー、作家など多彩な人たちがそれぞれの切迫した想いを語り、県政に市民主導の新しい流れを作り出していく決意が伝わってきた。
(文責・大阪支局A)

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