投書 石木ダム建設 反対の座り込み2000回!
2月17日(月)、長崎県と佐世保市が東彼杵郡川棚町で進める石木ダム建設に反対する座り込みが2000回目を迎えた。
ダムの付け替え道路予定地の座り込み現場には、現地の反対住民を先頭に、佐世保市や長崎市、福岡市などから80名が結集し、現地住民は「ここで暮らす幸せを奪わないで」「座り込みができなくなっても家に住み続ける。力での解決を許してはならない」と訴え、座り込みを続ける決意を新たにした。
石木ダムは、もともと、佐世保市の針尾島に工業団地を誘致することを目的に50年以上も前に計画された。
当初は川原(ごうばる)地区の多くの住民が反対し、1972年には当時の県知事と川原3郷の代表が、川棚町長を立合人として、「地元の了解なしではダムは作らない」という覚書にも署名した。
一方、針尾島の工業団地に進出する企業はほとんどなく、当初の計画は頓挫した。だが、長崎県と佐世保市は、石木川の本流である川棚川の治水と佐世保市への利水という根拠のない理由を持ち出し、ダム工事を強引に続け、反対住民への卑劣な切り崩しを続けた。更に1982年には、先の覚書を無視し、機動隊を導入し、抜き打ちで強制測量を開始したのだ。
石木ダム建設絶対反対同盟は阻止行動に立ち上がり、連日座り込みで杭打ちだけで強制測量を中止させた。
県と市は、この暴挙に続いて、2010年にダム本体着工前に建設に必要な付け替え道路の工事を開始した。反対同盟は支援者とともに連日、作業道路入口に座り込み、数次にわたる建設阻止行動を続けてきた。そして、2016年7月以降続けている「第4次」座り込みが2月17をもって2000回を迎えたのである。
このような長い歴史を持つ石木ダム建設反対の闘い。現在は13世帯50名の反対同盟が、連日の座り込みで不当なダム建設にストップをかけ続けている。
一方、昨年8月には、長崎県は治水に関する県公共事業評価監視委員会を長崎市で開き、県の担当者の一方的な経過説明と簡単な質疑で、工事期間の7年延長(完成時期を2025年から2032年に)と総事業費1・5倍増(285億円から420億円に)の提案を了承させた。監視委員会のメンバーにはダムや河川問題の専門家はおらず、最初から承認を前提とした委員会だった。
さらに本年1月~3月には佐世保市が利水に関する事業の再評価を市上下水道事業経営検討委員会に諮問し、住民やマスコミを隣室に隔離して進めている。
佐世保市は水需要予測の基礎となる人口予測について、国立社会保障・人口問題研究所推計の45年17・7万人を大きく上回る43年21万人という信じがたい数字を持ち出し、ダム建設の根拠にし、石木ダム建設を強行しようとしている。
しかし、ダム工事は付けえ道路の建設が少し進んでいるだけで、ダム本体では地盤調査のボーリング調査がまだ終わっていない。川原地区の地盤は数次の火山の噴火から流出した岩石から成っており、隙間だらけと言われている。地上にダムを造っても、水が地下から流出するのを止めるためにはコンクリートミルクと言われる流出防止剤をどれくらい注入する必要があるのか、まだ明らかになっていないのである。
必要性もなく、地盤に大きな欠陥を持ち、何よりも現地の住民の生活する権利を大きく踏みにじる石木ダムは、欠陥ダムであり、50年以上に亘り本体着工ができていない。反対同盟を中心に、佐世保・大村市・長崎市の各市からも多くの方が支援の座り込みに参加している。福岡市からも週1回の参加を続けている。
ダム建設を止めさせ、移転した住民の雑草地となり果てた水田を蘇らせ、川原郷を再び黄金の稲穂が揺れる山里に再生しよう。
(I・Y)

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