第四インターナショナル世界大会に参加して(その1)

第18回世界大会で何が議論され、確認されたのか?
新しい困難な課題に向き合って

 第四インターナショナル第18回世界大会が、2月23日から28日までベルギーで開催された。2018年に開かれた前回大会から7年ぶりの世界大会となる。その間、新型コロナウイルスによるパンデミックの影響で、国際委員会が中止となったり、オンライン開催を余儀なくされたりと世界大会の準備は大きな困難に見舞われた。同時に、この7年間における多面的な危機の収斂と世界的な極右の台頭という大きな情勢の変化の中での世界大会開催だった。すでに『週刊かけはし』紙上では、世界大会で採択された決議のいくつかが紹介されている。また、「エコ社会主義宣言」や国際情勢決議については、討論のために大会に向けた草案を『かけはし』に掲載してきた。ここでは、世界大会に参加した日本支部のメンバーによる世界大会レポートを何回かに分けて掲載していく。世界大会で何が議論され、確認されたのか、その成果を東アジアや日本においてどのように具体化していくかという議論の手がかりになることを期待する。

7年ぶりの世界大会開催

 第四インターナショナル第18回世界大会が2月下旬に開催された。7年ぶりの世界大会である。前回大会に続いての参加だったが、実際に参加してみて、第四インターが綱領的・実践的・組織的に新たな前進を始めようとしている姿が実感できたことは大きな成果だった。綱領的に見れば、そのための鍵となったのは「エコ社会主義革命宣言」の採択とそれをめぐる討論だった。このレポートでは、大会で採択された決議を読むだけではわからない大会での議論や各国組織の代表らとの交流についても取り上げ、可能な範囲内で大会の実相が伝わるようにしたい。
 世界大会には、支部・シンパ組織・パーマネントオブザーバー組織・ゲストなど、アジア・アフリカ・南北アメリカ・ヨーロッパの各大陸の42ヵ国、60組織から約150名が参加した。参加した国は以下の通りである。

*アジア パキスタン、カシミール、スリランカ、フィリピン、香港、日本、インド、インドネシア
*アフリカ・中東 モロッコ、アルジェリア、南アフリカ、トルコ、レバノン
*ラテンアメリカ メキシコ、ブラジル、プエルトリコ、アルゼンチン、ペルー、ベネズエラ、パナマ、コロンビア、パラグアイ、ウルグアイ
*北アメリカ アメリカ、ケベック(カナダ)
*ヨーロッパ イギリス、デンマーク、スウェーデン、ノルウエー、ドイツ、ロシア、ベルギー、オランダ、フランス、イタリア、オーストリア、ギリシャ、スペイン、ポルトガル、アイルランド、ウクライナ、スイス

 この大会は「資本主義の世界的かつ多面的な危機(とりわけ緊張激化と軍国主義の台頭)と、それに対してなされるべき対応(とりわけエコ社会主義宣言の採択によって)について、深く議論する機会」(大会コミュニケ)だった。しかし、大会の準備過程が情勢の激変とコロナ禍によって大きな困難に直面したことも事実である。「世界で2018年の前回大会以降に起きた大きな激動、つまり新型コロナウイルス感染症、戦争、反乱、極右の台頭、深刻化するエコロジー危機などが、われわれに新しい困難な課題を突きつけてきたことを思い起こさせた。コロナ・パンデミックによって多くの戦闘的な活動、とりわけ国際的なレベルでの活動が停止を余儀なくされたことで、この大会の準備は特に困難なものとなった。集団的で多言語的な議論に必要な国際的な議論と交流の長いプロセスは、まだオンラインでしか会うことができないときに始まったからだ」(大会コミュニケ)。

大会への新たな世代の参加と亡くなった同志・友人への追悼

 世界大会の参加者を見て感じたことは、比較的若い層の参加者が多いこととそれと対照的にかなり年配の活動家の参加も目立っていたことだった。つまり、世代的更新が進む一方で、経験豊かで年配の世代がいわば「最後の頑張り」で大会の議論に貢献していたのである。大会コミュニケによれば、大会参加者のうち、ほぼ50%が50歳未満で30歳未満も8%を数え、活動歴20年未満の参加者が過半数を占めていた。次回の大会では、さらに活動家の更新が進み、とりわけビューローなど指導部の世代更新が進められるだろう。その点を意識した発言もいくつかあった。
 大会の冒頭、前回大会以降に亡くなった同志や友人に対する追悼が捧げられた。その中には、フランス支部の指導者で大統領選挙にも立候補したアラン・クリビーヌ、ペルーとラテンアメリカの農民運動、先住民運動、環境運動の歴史的指導者の一人であるウーゴ・ブランコ(邦訳書に『土地か死か ペルー土地占拠闘争と南米革命』がある)などが含まれていた。また、今年が没後30年となる第四インター指導者でマルクス主義経済学者のエルネスト・マンデルをも追悼した。会場の演壇横にはマンデルの写真が掲げられていた。
 さらに大会では、パンデミックや極右の暴力で亡くなった同志たち(とりわけフィリピンやブラジルにおいて)、ウクライナにおける戦争で亡くなった同志たち、香港とロシアから亡命を余儀なくされた同志たち全員に敬意が払われた。

提案された決議案と日本支部としての大会準備討論

 今回の世界大会には、6本の決議案があらかじめ提案されていた。そのうち、「エコ社会主義宣言」、国際情勢、社会運動、党建設任務の4本は、2024年2月の国際委員会で草案が採択され、世界的な討論に付されていた。その後、昨年10月のビューロー会議で国際情勢決議案が改訂され、さらにウクライナ決議案とパレスチナ決議案がこのビューロー会議で採択された。こうした決議案をめぐって、世界各国の支部やシンパ組織などからの、そして個々のメンバーや連名での修正案や意見書が多数提出された。世界大会初日に配布された討論ブレチンには、各決議案にこうした修正案や意見書の内容を反映させた再改訂版が収録され、それにもとづいて討論がおこなわれた。こうした議論を経て、討論の内容をも考慮した最終改訂版が参加者に配布され、それらが採決に付された。最終改訂版を作成するために、その日の討論が終わった後、夜遅くまで決議案の加筆修正をおこなう起草委員会が連日開かれていた。
 昨年3月に世界大会の第1次草案が示されて以降、日本支部は決議案の翻訳を進め、「エコ社会主義宣言」(草案)と国際情勢決議案を『かけはし』紙上に掲載してきた。国際情勢決議案については、ビューローによる改訂版も今年新年号に改めて掲載した。そして、世界大会に向けた討論への貢献として、数ヶ月に及ぶ討論を経て「エコ社会主義宣言」と国際情勢決議案に対する意見書をビューローに提出した。「宣言」に関する意見書は、今年1月に亡くなった福島の斎藤同志が起草したもので、「福島第一原発事故は終わっていない」として、原発の新増設阻止、既存原発の廃炉、そしてエコ社会主義社会移行後も重大な問題として残ることになる核廃棄物処理について、「宣言」への明記を求めるものだった。また、国際情勢決議案に対する意見書では、東アジア情勢の基本的性格を指摘し、日本政治情勢についても分析したもので、東アジア情勢の基本的枠組みについては世界大会に提案された改訂版にほぼそのまま取り入れられた。

世界大会での議論はどのように進められたか
 世界大会での議論は、決議案についてまるまる4日間おこなわれ、残る1日半は組織問題を中心とした議論、決議案の採決、新たな国際委員会の選出に充てられた。討論時間は午前3時間、午後4時間が確保され、夜間には前述の起草委員会のほか、資格審査委員会や女性会議、LGBTQ*会議、反レイシズム会議などが開かれた。また、2日目の午前中には、地域会議が開かれ、アジア、中東・アフリカ、ラテンアメリカ、北アメリカ、ヨーロッパに分かれて、各地域の情勢や特徴的な課題、今後の地域ネットワーク作りなどについて討論がおこなわれた。
 使用される言語は、英語、スペイン語、フランス語の3カ国語でボランティア・メンバーによる同時通訳をレシーバーを通じて聴くことができるようになっていた。私の場合、発言者が英語で話す場合はイヤホンを外してそのまま聴き、スペイン語やフランス語の時にはイヤホンをつけて英語の同時通訳を聞く形だった。ただ、通訳者のレベルの問題やスピーカーの発言スピード(早口で喋ると通訳がついていけないので、あらかじめ注意されていたのだが・・・)、出身地域による言葉のくせなどもあって、正直なところ発言を正確に聞き取るのが難しい場合もあった。
 討論はあらかじめ事前通告をおこない、議長団が議案への賛否、ジェンダーバランスなどを考慮して、発言の順番を決めていた。発言時間は、議案の提案や総括発言は別にして、一律5分間と決められていた。一つの決議案の討論では、まず決議案の提案を起草者がおこない、次いで対案や全体的な修正案の提案があり、そのあとで数十人が次々と発言していく。最後に再び決議案と対案のそれぞれで総括発言があって、討論が締めくくられる。
(つづく)
(大森)

第四インター第18回世界大会開始直前の撮影