歴史的衆院選の意味

コラム「架橋」

 日本初の女性首相、戦後最短の選挙期間、戦後最多の議席獲得。第51回衆議院議員選挙は記録づくめの自民圧勝で終わった。メディアの事前予想を塗り替える316議席単独。他党に14議席を配分するほどの爆発的な結果であった。
 早くから高市早苗人気を煽った大手マスコミは直後「白紙委任ではない」「慎重な政権運営を」と、横並びで巨大与党への懇願を活字にした。高市は絶大な権力を手中にし、政権幹部は「もう参院には意味がない」(2月10日・朝日)とまで漏らした。歴史的な事態である。
 高市の宣伝攻略は大当たりし、無名の新人にまで大量票をもたらした。私は選挙終盤に「中道改革連合」の候補の集会に参加。本人らと練り歩いた。共産、社民、あるいは市民運動系統一戦線の候補者以外では、初めての経験だった。
 独断的解散の強行で仕掛けられた奇襲攻撃は、それでも米不足や物価高や社会保障すなわち「生活」そのものが争点になるはずであった。だから私は「惨敗」と罵られ袋叩きにあった新党の発足に「足し算の論理」で期待をし、選挙区では手ごたえや勝算すら抱いていた。是が非でも「反自民」。1票でも勝てる可能性のある候補に賭けた。
 ネット上には「強さと豊かさ」を求める若者たちによる反発なのか。高市への批判に「すぐに戦争と結びつけるプロパガンダ」「むしろ戦争を煽る悪口」などと倒錯した反批判があふれている。「ガチ高市」「プロ顔負けのドラマー」――公約や政治課題を無視したファンたちの人気投票により、野党が駆逐され絶滅した国会の光景すら目に浮かぶ。だが「何かやってくれそう」な最高権力者には内外の重い課題がのしかかり、その思想信条も問われてくる。
 有権者の「右傾化」が選挙結果を左右したのか。実は「愛国主義者は排外主義者より少なく、大半の『右派市民』の価値観はブレブレ」だという(「右派市民と日本政治」松谷満・朝日新書)。作り笑顔や弁舌が効かなくなる局面がくる。ギフトばらまきと同様、早晩返り咲いた裏金議員たちも必ず再犯する。
 希望でも絶望でもない、時間をかけた冷静な情勢分析が必要だ。学習と行動を続け、街頭へ。 (隆)