無実の死刑囚袴田巌さん再審完全無罪を

3・25~27 3日連続で再審公判

 【静岡】3月25日から3日連続の再審公判(第10回~12回)が行われた。この3日間は、証人尋問で検察側証人と弁護側証人による意見陳述と反論、最終日の27日は、双方の証人5人が裁判官に相対しての裁判官による尋問である「対質」が行われた。今回の公判はみそ漬け5点の衣類の血痕の色調変化が争われた証人尋問。

全国に広がる
完全無罪の声

 この間、清水・静岡市民の会をはじめとした救援組織や支援者は全国各地から駆けつけ、連日泊まり込む人、始発の新幹線で静岡へ駆けつける人、早朝から地裁前での小集会を準備し、8時40分からの傍聴券整理券配布に参集。10時過ぎのひで子さんや弁護団の入廷激励・送り出し、あるいは昼時の繁華街での宣伝行動、記者会見場の設営、片付けなど多岐にわたる仕事を力を合わせて行った。
 袴田巌さんを救援する清水・静岡市民の会をはじめとする救援組織は、3月だけでも部落解放同盟埼玉県連主催の石川さん不当逮捕61カ年集会、再審法改正院内集会、静岡地裁に対する傍聴席拡大、過剰警備の中止を求める要請行動。
 3月22日には2014年3月27日の静岡地裁による再審開始決定・釈放から10年にあたっての「報道関係の皆様」へとする記者会見を市民の会他、国民救援会静岡県本部、浜松・袴田さん支援クラブ、アムネスティ日本・富士山グループと共同して実施してきた。再審公判最終日の27日には法廷での闘いに併行して「日弁連再審法改正実現本部による静岡行動」の宣伝を静岡市の繁華街で共同して行った。

みそ漬け5点の衣類の血痕の色調変化が争われた証人尋問

 検察側証人が「赤みは残らない」それは「常識中の常識」と断言。地元紙は検察側証人から思わぬ“援護”とまで書いた。

3月25日(第10回)

 犯行着衣とされる「5点の衣類」に付着した血痕の色調変化を巡って検察側の二人の証人が証言した。検察側鑑定書を作成した法医学者7人を代表する神田芳郎久留米大教授は血痕に赤みが残る可能性について「いろんな状況を考えれば否定できない」と実験も行わず何等根拠のない「可能性」といった推論を述べるにとどまった。
 同じく検察側証人で法医学者の池田典昭九州大名誉教授(検察側鑑定書に加わることを拒絶)は、みそ漬けの血痕を放置すれば黒色化するとし、ほぼ全ての法医学者は「赤みは残らない」と思う。「常識中の常識」と断言した。また、5点の衣類が1年以上みそに漬かっていたにしては「白すぎる」と感じたことも述べた。

3月26日(第11回)

 前日の検察側証人の神田芳郎氏への反対尋問のあと弁護側証人で鑑定を手掛けた清水恵子旭川医大教授(法医学)、同奥田勝博助教(法医学)、物理化学の北大・石森浩一郎教授が証言した。
 再審開始決定の根拠となった鑑定を行った弁護側証人は「1年以上味噌に漬かった血痕に赤みが残ることはない」と断言 清水恵子教授は、検察側の共同鑑定書について「抽象的な可能性論を繰り返すだけで仮説の域を出ておらず、われわれの鑑定結果を左右しない」と述べた。
 北海道大学の石森浩一郎教授(物理化学)は、みそ漬け血痕が黒くなるメカニズムを化学的に示した清水教授らの鑑定を「問題ない」と評価。検察による化学反応の阻害要因を十分に検討していないとの批判について「(弱酸性と高い塩分濃度の)この二つのファクターで十分。赤みは残らないと言える」とした。

3月27日(第12回)

 証人尋問の最終日、検察側・弁護側双方の証人5人全員に同時に尋ねる「対質」が行われた。
 弁護側証人の3人は専門的知見を踏まえて赤みは失われて黒褐色化するとあらためて証言。
 検察側証人の池田氏は「20日間で黒くなるのは当たり前」と述べ、赤みがある状態で発見されたことを重ねて聞かれると「(発見の)直前に(タンクに)入れられた」との見方を示した。つまり事件発生から1年2カ月後の直前にタンクに入れられたと捏造を示唆するともとれる証言だった。
 もう一人の検察側証人の久留米大神田教授ら法医学者7人が再審公判に提出した共同鑑定書は、実験もせず3回のウエッブ会議でまとめられたものである。
 裁判終了後の記者会見で、清水教授は公判での主張を繰り返し、「血痕に赤みが残る可能性があるというのは抽象的な仮説。実証実験を通して示していただきたいと」述べた。間光洋弁護士は「共同鑑定書は有罪立証を支えるような証拠ではなく、これで踏み切った検察組織の問題性が浮き彫りになった3日間だった」と述べ、袴田ひで子さんも「一山も二山も三山も越えた」と述べた。
 次回公判は4月17日(水)、次々回は4月24
日(水)。(S)

証人尋問を終え「一山も二山も三山を越えた」と語った袴田ひで子さん(3.27)

裁判に併行し、街頭でも精力的にアピール(3.27)

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