総選挙結果/秋田県

自民党の選挙区独占破れる
野党共闘が元法相下す

 【秋田】1区・秋田市は自民冨樫氏、2区は立憲緑川氏が選挙区で初めて自民金田氏を破り、自民に一矢を報いた。3区は自民御法川氏となった。
秋田1区―
立憲寺田 VS自民冨樫
 冨樫陣営が公示日に開催した個人演説会に陣取ったのは石破茂元自民幹事長、石井浩郎自民参議院議員、佐竹敬久秋田県知事、穂積志(もとむ)秋田市長の面々。岸田首相も来県の予定とされていたが北朝鮮のミサイル発射対応のため急きょ取りやめとなった(10月25日には菅前首相が応援のため秋田県入りした)。このように党のトップと大物が来県したことに示されるように党をあげての総力戦体制を組み、地元にあっては県・市など行政の長をはじめ農業・建設・商工業など各業界の総力をあげた後援会組織を立ち上げ全面的な組織戦を展開した。
 一方寺田氏は10月22日イージス・アショア反対運動の地元新屋勝平町で行った個人演説会において、昨年のイージス・アショア撤回の成果を強調し、その運動の力を自身の選挙に取り込もうとした。
 また告示以降は「世代交代」を強く訴える選挙運動となった。寺田氏は連合秋田の推薦をうけており、中央からの応援もことわり徹底した個人草の根選挙スタイルでの選挙戦となり組織に頼らないものとなった。
 寺田氏が冨樫氏と争うのは2012年、14年に続き3度目となる。この過去2回の獲得した票(民主・社民・共産)を合算すると民主党が政権を放り出した2012年は、自民・公明票に1万4千票余り及ばないが14年は自公票を8千票余り上回っている。
 今回寺田氏は約
5600票の差で選挙区落選となった(比例復活当選)。
 投票数は58・24%で前回60・57%を2・33ポイントを下回り、これが全面的な組織戦略の冨樫氏有利となり、個人戦略の寺田氏はマイナスとなった。さらにこの戦略は、社民党の一部の立憲への合流という組織的な有利な状況や、全市民的反イージス・アショア反対運動の成果の取り込みに今一つ失敗したといえる。

秋田2区―

緑川VS金田
 1区と好対象となったのが2区の緑川(36才、立憲)の金田勝氏(72才、自民党の要職を歴任)に約8千票差をつけ当選となり、これまでの選挙区での自民独占の一角を突き崩す成果を上げた。
 今回で3度目となる判決は2014年2万5千票の大差で金田氏が勝利したが2回目の17年は「共謀罪」の担当大臣の金田答弁批判を受けたことも大きく作用したと思われ、緑川氏が1672票差まで迫った。
 2区においても金田氏は徹底した組織戦を展開し、佐竹県知事を筆頭に2区内の全15市町村の行政首長の支持を取り付け、党をあげての支援体制を取った。岸田首相・菅前首相、二階元幹事長などの党幹部が次々と応援に入った。
 しかし前回「共謀罪」という悪法を強行し批判を受け、追い上げられたのに続き、今回もこの一件は大きく作用した。
 これを裏付けるものとしてマスコミでも金田陣営の話として「公明・女性票も逃げた感じ」と報道された事実にも示されている。
 一方緑川氏は「新旧交代」と若さを前面に出した個人戦を展開したが、寺田氏と違ったのは、石田前社民党県代表(2区が地盤で今回社民党分裂で立憲に合流した県議)との二人三脚体制での選挙運動を展開したこと。この「合流」による組織的相乗効果を発揮したことによる票の上積みをねらったことがプラスに作用として働いたと思われる。

3区―
杉山VS御法川
 野党統一候補となった共産党の杉山氏(55才)と御法川氏(57才)の対決は13万4734票対3万8181票で自民の完勝となった。今回これまでに3区で競合してきた村岡敏英元衆議院議員が立候補を取りやめたことで村岡氏の地盤票も獲得することで御法川氏の大差での勝利につながった。
 杉山氏は「市民と野党の共闘」を強調し、「政権交代」「消費税減税」「農家の所得補償」などを訴えた。
 杉山氏の選挙では反イージス・アショア運動中の2019年7月の参院選で自民中泉候補を破った寺田静氏が唯一応援演説に立った。
 3区では前回2014年の共産候補の得票は、約1万1千票(得票率5%)であり今回杉山候補は約3万8千票(得票率22%)と前回比3倍以上の得票となり、野党共闘の成果が一定程度現れたものとなっている。
 今後今回の総選挙の成果と教訓を来年夏の参院選闘争に向けて生かしていかなければならい。
          (H)

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